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ウイズコロナの時代と対策 その7 鼻うがいの実際

ウイズコロナの時代と対策 その7 鼻うがいの実際
ウイズコロナの時代と対策 その7 鼻うがいの実際
上咽頭は、鼻孔から入った空気が鼻腔後壁に当たり、急に下に方向を変える場所である。
そのため空気が停滞し、埃や細菌が表面に付着し感染しやすい。



そこで、この部位には"咽頭扁桃"が存在し、常に生体を守っている。
この別名が"アデノイド"である。
乳幼児特有のアデノイド肥大は、免疫システムが未熟なために起こり、6歳を頂点として徐々に小さくなる。
気道が狭くなるため、鼻づまり、鼻声、いびき、口呼吸の原因となる。
重症化すると、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす。
さらに、面長な顔、上顎前突、V字型歯列、下顎後方位、口唇が厚く乾燥するなど特有なアデノイド顔貌となる。



咽頭扁桃は、空気中の有害物質に対する関所であることがわかる。

さて一般的な風邪は、急性上咽頭炎を指す。
喉に痛みがあっても、炎症があるのは上咽頭であることが多い。
ここに細菌が付着すると、のどの痛み、鼻水、咳などの症状が出る。
風邪を引くと診療に支障をきたすだけでなく、他人に感染させる恐れがある。
そこで数年前から、予防的に鼻うがいを行ってきた。
おかげで、ひどい風邪を引くことがない。
引きそうになっても軽くてすむのだ。
是非、読者もお試しいただきたい。

でも、鼻がしみて痛むのではと躊躇されるかもしれぬ。
しかし市販のキットなら大丈夫だ。
生理的食塩水に近い成分に調整されているためだ。

ここで具体的な洗浄方法と注意点について触れてみる。
まず、洗面台や風呂場で、顎を引きやや前傾姿勢をとる。
片方の鼻孔から洗浄液を入れ、中の汚れを軽く洗い流し、反対側から排出させる。



これを左右交互に2・3回ずつ行う。
終わった後は、鼻の通りが良くなりすっきりする。
但し、頻繁に行うと粘膜を保護するムチン層が取れるので要注意。
1日1、2度が適当だろう。

少しでも風邪の症状があるとき、試していただきたいことがある。
鼻孔から流れ出た液を透明な容器に取って観察する。
すると、多量の汚物がドロドロした粘液とともに排出される。
鼻腔内での、細菌との戦いの様子が把握できるのだ。
ヒトの体は、実によくできていると実感させられる。

さて上咽頭には、まだまだ面白い話がある。
歯科とは、切っても切れない仕組みが隠されているのだ。

続く

参考:鼻うがいの実際
動画提供:歯科医師 山本エレナ先生

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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