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ウイズコロナの時代と対策 その4 ガラガラうがいの水はどこまで届くのか?

ウイズコロナの時代と対策 その4 ガラガラうがいの水はどこまで届くのか?
ウイズコロナの時代と対策 その4 ガラガラうがいの水はどこまで届くのか?
鼻から入った塵や埃はまず鼻毛に付く。
これは気道の第1の防御作用である。



さらに鼻腔内の杯細胞からは、粘液が分泌される。
これが"ゴキブリホイホイ"のように塵や細菌にくっつく。
さらに細かい毛を持つ線毛細胞が、ベルトコンベアーのように喉の奥に送る。
そして痰として口から排出したり、無意識に嚥下し胃酸によって殺菌される。
また線毛細胞は、気管支にも存在し肺から喉へと送られる。



これが第2の防御作用といえる。

余談だが、空気の通り道である鼻腔などの粘膜は、デリケートな繊毛上皮で覆われている。
一方、口腔、中・下咽頭、食道は、食物の通り道である。
いきおい、飲食物の物理的刺激や温度で傷つきやすいため重層扁平上皮から成っている。

さて粘液や線毛細胞により、3~5μmの粒子の80%、2μmでは60%が除去される。
ちなみに、花粉の大きさは20~40μm、細菌は0.3~5μmである。
"鼻は天然のマスク"と称されるのはこのためだ。



さて、風邪を引くと喉が痛み、水を飲み込みにくくなる。
これは喉が腫れ、内腔が狭まるためだ。
そこで、喉うがいで消毒をする。
しかし、気になることがある・・。
うがい薬は、ピンポイントで痛い所に当たるものなのか?
少し違うような気がしてならない。

口の中を覗くと、舌の上方に口蓋垂、側方には口蓋扁桃がある。
そして、後方の壁が中咽頭である。
どう考えても、ガラガラうがいは、せいぜい中咽頭までしか届かない。



そこで調べてみたら・・。
"なんと!咽頭痛の90%は上咽頭に原因があり、中咽頭に炎症があったのはわずか10%"と書かれているではないか。(注1)
どうやら、上咽頭に炎症があるのに、中咽頭が痛むのは"関連痛"らしい・・。
上咽頭は、軟口蓋の上方にあり直視できない部分である。

さらに調べると、上咽頭の慢性炎症が、病巣疾患の原因になる。
そればかりか、新型コロナウイルスの侵入場所の一つとあった。
しかも、"鼻うがい"に予防効果あるという・・。



ゆりあんさん フローを語る
それは、どのような機序なのか? 続く 注1:杉田麟也:上咽頭炎の診断方法と治療:細胞診による病態の把握,口腔・咽頭科23(1)23-35,2010.

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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