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ウイズコロナの時代と対策 その3 災害時の鼻うがい

ウイズコロナの時代と対策 その3 災害時の鼻うがい
ウイズコロナの時代と対策 その3 災害時の鼻うがい
現在、九州を中心に豪雨に襲われている。
友人の歯科医院も、チェアーやパノラマレントゲン装置が水没し、廃棄処分を余儀なくされた。
被災に遭われた先生方には、一刻も早い診療室の復興と再開をお祈りするばかりである。

これまでの筆者の経験から、水害を被った地域で今後予想されることを記しておきたい。
水害の後には、暑い中での後片付けが待っている。
さて、東北沿岸を襲った大地震と大津波。
NHKテレビ"黒い津波"についての番組があった。
湾に溜まったヘドロには重金属や汚染物質が含まれている。
これが地震により浮き上がり、津波が黒くなったという。
そのヘドロが乾燥し粉塵となり肺に入る。



これが"津波肺"だ。
微粒子が肺の奥深くまで取れないため、重症の肺炎を起こし人が亡くなる。

一昨年、倉敷市真備町でもたいへんな水害があった。
数日後、町全体の上空が粉塵のため黄色くなっていた。
粉塵は、被災者やボランティアの方々の体内に容赦なく侵入する。
1週間後、保健所に問い合わせると、喉の痛みを訴えている人が激増しているという。
それに対する処置は、抗生物質の投与とのこと。
これは対症療法であり、原因療法ではない。
この時点で、粉塵による被害に気がついていなかったのだ。

実際、被災した方に尋ねると、
「浸水後、下水などの悪臭で病気になりそう!塵や埃が鼻の奥につまり、何も考えられなかった。」とのこと。
そこで大急ぎで、鼻うがいのキットを持参した。
すると、「驚くほどすっきりし楽になった」と言われた。



鼻の中の微粒子は簡単に取れないので、鼻うがいが効果的なことがよくわかる。
九州でも、数日中に同様のことが起こるだろう。
早速、被災地に鼻うがいのキット(フロー・サイナスケア モリタ)を送付した。





鼻うがいの実際 動画提供:歯科医師 山本エレナ先生

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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