現在、九州を中心に豪雨に襲われている。 友人の歯科医院も、チェアーやパノラマレントゲン装置が水没し、廃棄処分を余儀なくされた。 被災に遭われた先生方には、一刻も早い診療室の復興と再開をお祈りするばかりである。 これまでの筆者の経験から、水害を被った地域で今後予想されることを記しておきたい。 水害の後には、暑い中での後片付けが待っている。 さて、東北沿岸を襲った大地震と大津波。 NHKテレビ"黒い津波"についての番組があった。 湾に溜まったヘドロには重金属や汚染物質が含まれている。 これが地震により浮き上がり、津波が黒くなったという。 そのヘドロが乾燥し粉塵となり肺に入る。 これが"津波肺"だ。 微粒子が肺の奥深くまで取れないため、重症の肺炎を起こし人が亡くなる。 一昨年、倉敷市真備町でもたいへんな水害があった。 数日後、町全体の上空が粉塵のため黄色くなっていた。 粉塵は、被災者やボランティアの方々の体内に容赦なく侵入する。 1週間後、保健所に問い合わせると、喉の痛みを訴えている人が激増しているという。 それに対する処置は、抗生物質の投与とのこと。 これは対症療法であり、原因療法ではない。 この時点で、粉塵による被害に気がついていなかったのだ。 実際、被災した方に尋ねると、 「浸水後、下水などの悪臭で病気になりそう!塵や埃が鼻の奥につまり、何も考えられなかった。」とのこと。 そこで大急ぎで、鼻うがいのキットを持参した。 すると、「驚くほどすっきりし楽になった」と言われた。 鼻の中の微粒子は簡単に取れないので、鼻うがいが効果的なことがよくわかる。 九州でも、数日中に同様のことが起こるだろう。 早速、被災地に鼻うがいのキット(フロー・サイナスケア モリタ)を送付した。鼻うがいの実際 動画提供:歯科医師 山本エレナ先生
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
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