結婚や出産、育児などの理由から働いている歯科医院を退職し、数ヶ月〜数年経ってから復帰する場合、雇ってもらえるかどうかは気になるところです。
「せっかく取得した歯科衛生士の国家資格を活かせないのはもったいない」と感じるでしょう。
ブランクを持っていても復職は可能です。
今回は、歯科衛生士の復帰に向けた準備やポイントについてお伝えします。
一度辞めた歯科衛生士の復職は、難しい?
結論から言うと、復職は可能です。
実際に「ブランク OK」の求人は、求人サイト「JobMedley」を例に見てみると全国に約6,200件あります(2020年11月6日時点)。
なぜ、ブランクがあっても受け入れてくれる歯科医院が多いのか、 理由は二つ考えられます。
▼ライフイベントによるキャリアの変化は付き物
歯科衛生士の大半は女性です。
女性の歯科衛生士は、結婚や出産育児などのライフイベントで退職するケースがほとんど。
その前提が業界に浸透しているため、ブランクのある方でも受け入れてもらいやすい文化があるといえます。
▼就業していない歯科衛生士が多い
厚生労働省発表の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、就業歯科衛生士の数は13万2,629人です。
それに対し歯科衛生士名簿登録者数は、歯科医療振興財団発表の「平成30年度事業報告書」によると28万3,032人となっています。
つまり約15万人、半数近くの方が歯科衛生士の免許を持っていながら働いていないということです。
事情はさまざまありますが、歯科医院側も休職者の多さを理解しており、ブランクのある人材に抵抗を持っていないことが考えられるでしょう。
このような理由から、歯科医院を辞めたとしても、歯科衛生士としてもう一度働くことは可能であるといえます。
ブランク明け歯科衛生士の復職に向けた準備
状況が整い、復職を希望する場合の準備について解説します。
復職セミナーや研修への参加
長いブランク期間により、自分の知識やスキルに自信を持てない方もいるはずです。
復職者向けのセミナーや研修会へ積極的に参加しましょう。
「日本歯科医師会」や「歯科衛生士学校」などでは、歯科衛生士の復職支援をサポートしており、セミナーや研修会を開催しています。
お住まいの近くで開催されている復職セミナーや研修会を調べてみましょう。
【参考】歯科衛生士の復職支援事業|日本歯科医師会
資格の取得
基本的な業務のほか、「自分の好きな分野の専門性を深めてから復帰したい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学生時代とは異なり、一度現場を経験すると本当に必要な知識が分かります。
しかし、忙しい仕事の間で勉強の時間を作ることが難しいこともあるため、復職前に取りたかった資格を取得してみるのもおすすめです。
歯科衛生士の資格は、数多くあります。
インプラントや歯周病、予防などさまざまな種類から、自分に合う資格を選んでみてください。
【関連】歯科衛生士におすすめの資格13選!取得メリットやスキルアップの条件を解説
予習・復習(自主学習)
セミナーや研修会を利用するだけでなく、自分自身で予習や復習を行うことも手段のひとつです。
参考になる専門書などを購入し、自力で勉強を進めましょう。
ブランクのある歯科衛生士の復職のポイント
知識やスキルも大切ですが、その他復職に向けて押さえておきたいポイントをいくつか解説します。
臨床へのモチベーション
「ブランク明けの復職は可能」とお伝えしましたが、あくまで本人のやる気があってこそ。
ブランク期間中に医療は進歩し、新しい知識・スキルが現場では必要となります。
それらを積極的に吸収する本人のやる気が大切です。
収入のためだけに、嫌々仕事をしてもサービスの質は下がってしまいます。
どういった分野に興味を持てるか、セミナーや研修を受けながら検討し、自分の興味関心がある分野での臨床をおすすめします。
人材紹介サービスの利用
歯科衛生士と職場のミスマッチを防ぐため、「人材紹介サービス」の利用も有効です。
エージェントに復職後の働き方や条件などの希望を伝え、マッチする就職先を紹介してもらうことができます。
数ヶ月のお試し期間を設け、実際に働いてみてから本採用を決めるような仕組みもあるため、ブランク明けの最初の職場でミスマッチが起こらないよう、こういったサービスをうまく活用してみてください。
教育制度・熱意
歯科医院の教育制度や、教育に対する院長の熱意から、職場を判断することもできます。
ブランク明けは知らないことも多くあり、他の歯科衛生士から教えてもらう場面が多いでしょう。
教育に熱心な院長がいる歯科医院なら、先輩が後輩を教える文化が根づいていると考えられます。
分からないことがあっても尋ねやすい職場を選ぶといいでしょう。
職場の人間関係
職場にはさまざまな年齢やキャリアの歯科衛生士が集まっています。
同僚達と良好な関係を築くために、人間関係を大切にしましょう。
たとえば、年下の上司に教わる場面もあるはずです。
「年齢が上だから」といって横柄な態度を取るのではなく、あくまで教えてもらう立場として謙虚に接しましょう。
現場では年齢ではなく、知識や技術、経験がものを言うからです。
情報をしっかり集める
セミナーや研修、求人など、ブランク明けの復帰に関わる情報はたくさんあるため、これらの情報をしっかりと集めておきましょう。
情報を知らなかっただけで、希望に沿わない歯科医院に入職してしまったり、 チャンスを逃してしまったりする可能性があります。
求人情報に関して言うと、自分の希望をはっきりさせておくことをおすすめします。
「一週間に何日勤務したいのか」「勤務する時間帯はいつがいいのか」「勤務する場所はどこがいいのか」など、育児や家事と両立して働く場合、細かい条件の希望があるでしょう。
あらかじめ希望条件を考えることで、職場のミスマッチを防ぐこともできますよ。
まとめ
歯科衛生士はブランクがあっても復帰できることを理解いただけたでしょうか。
業界では人材が足りておらず、意欲のある歯科衛生士は、たとえブランクがあったとしても重宝されるはずです。
まずはセミナーや研修に参加し準備を進めながら、具体的な復帰先について検討していきましょう。