『【前編】20代若手女性歯科医師の働き方とは?労働時間や現場の理解等の職場環境、結婚や将来のキャリアへの本音に迫ります』では、 現在、労働時間や上司との面談、コミュニケーションのありかた、そして女性歯科医師が求めている現場の理解を中心にお答えいただけました。 後編では、若手女性歯科医師の結婚観や将来のキャリア、そして勤務する歯科医院や病院に求める福利厚生について、本音を語っていただきました。若手女性歯科医師の結婚観
インタビュアー 将来、結婚に対してどういったお考えをお持ちでしょうか。 若手女性歯科医師 はい、将来的に結婚は考えています。 インタビュアー 結婚を意識された際に、現在、不安に感じていらっしゃいますか? 若手女性歯科医師 そうですね... パートナーの職種にもよると思いますが、1番の不安点は「生活リズムの違い」です。 今の生活が続くとなると一緒に過ごせる時間が少ないと思うため、家庭でのすれ違いが多くならないか不安です。 インタビュアー 結婚するとワーク・ライフバランスが重要になるかと思います。 女性歯科医師がワーク・ライフバランスを実現するために、歯科医院(病院)に求めることはございますか? 若手女性歯科医師 「育児休暇の取りやすさ」ですね。子供を育てやすい環境作りをして欲しいです。 インタビュアー 先生は積極的に育児休暇を取得したいというお考えの持ち主なんですね。 若手女性歯科医師 育児休暇は取れるなら取りたいと思っています。 今の働き方で育児休暇が取得できるかわからないところも不安に思っています。 インタビュアー 前編のインタビューでお聞きしましたが、現在の先生の働き方は帰宅が遅くなることが珍しくありません。 仮に育児休暇を取得できた際に不安に思うことはございますか? 若手女性歯科医師 育児休暇後に今の職場に復帰できるかが気になります。 数カ月休むことになるため、最新知識のインプットができるか、技術の低下はないかなど自分のことを考えると不安ですね。 インタビュアー (高度な専門知識・技術を持つ歯科医師にとって、ブランク後の職場復帰は大きな課題です。これは 歯科医師だけでなく、社会で働く女性の大多数が思う不安点でもあります。女性歯科医師の活躍を推進するためにも、育児休暇後の職場復帰がしやすい雰囲気やサポート体制の整備がもとめられるのではないでしょうか) 女性歯科医師にとって嬉しい福利厚生があれば、教えていただけますでしょうか? 若手女性歯科医師 そうですね...オペがある日はどうしても労働時間が長くなってしまいますが、家庭を持つと遅い時間まで働くことが難しくなります。 なので、「時短勤務制度」を福利厚生に導入していると嬉しいですね。 今の職場では、家庭がある先生は保育園のお迎えなどの理由で時短勤務にしている方もいらっしゃいます。 インタビュアー 男性歯科医師に比べて、不利と感じる、または有利と感じることはございますか? 若手女性歯科医師 男性歯科医師に比べて不利と感じることは、子どもを産めるのは女性だけなので、どうしても産休などで数カ月休まなければならないことです。 インタビュアー (インタビューでは、男性よりも有利と感じることは得られませんでした。生物学上、結婚後、出産を経験するのは女性だけです。「女性歯科医師の将来のキャリア」という観点から、こうした不満が出てくることは当然といえます。一方で、改正育児・介護休業法が衆院本会議で可決、成立し、「男性版産休」という特例措置が認められるようになりました。「男性も子育てのための休みを取りやすくするため」という目的の法改正ですが、「男性のワーク・ライフバランスの実現」という視点ではなく、「男性・女性ともに産前産後休暇を取るべき」という理解を深め、出産に関する男女間の有利・不利をなくすことを第一の目的にしても良いのではないでしょうか)将来のキャリアとは?
インタビュアー 先生はなぜ歯科医師を目指そうを考えられたのですか? 若手女性歯科医師 結婚が視野にあって、産休育休後の復帰などを考えて歯科医師を選びました。 若手の時も基本的に夜勤はなく、結婚後も勤務時間を考えると歯科医師が1番良いと思ったからです。 インタビュアー 結婚を視野に入れているとのことですが、現時点での将来のキャリアをどう考えているか、教えていただけますでしょうか? 若手女性歯科医師 まずは目前の目標として、麻酔科の認定医取得を目指しています。 インタビュアー 認定医取得までの道のりは大変という印象ですが、将来の理想の自分に近づくために必要なことは何だとお考えですか? 若手女性歯科医師 専門分野の勉強と手技の練習あるのみだと考えています。 インタビュアー 高度な技術と専門性の取得に日々邁進されていらっしゃいますが、将来、歯科医院を開業したいとお考えなのでしょうか? 若手女性歯科医師 私は生涯フルタイムで働く気がないため、歯科医院を開業する予定はありません。 正直、歯科医院の経営は大変だと感じています。 インタビュアー 現在、歯科医院だけでなく、大学院生として無給で病院に勤務されています。 おそらく、今の働き方は複数の歯科医院(病院)で勤務するフリーランスのような働き方ですが、大学院を卒業後もそのような働き方を継続されるのでしょうか? 若手女性歯科医師 正直な話、フリーランスにはなりたくないですが、それぞれの歯科医院(病院)の考え方や方針を学べると思うため、複数の歯科医院(病院)で働いてみたいなとは思います。まとめ
今回、インタビューさせていただいた20代女性歯科医師の先生からは、「結婚するパートナーとの生活リズムの違い」や「生物学上の出産を不利だと感じる」という点が印象的でした。 「女性のための制度」はありがたく感じる一方で、女性が感じる生物学上の不利な点をいかに克服していくべきかという課題を強く感じました。 何度も解説内でご紹介していますが、育児・介護休業法が改正され、男性の産前産後休暇の取得が可能となりました。 すこし極端な話かもしれませんが、歯科医院・病院が推進ではなく義務化することで、今回インタビューに応じていただいた女性歯科医師が感じる「男性に対する不利」を払拭できる機会になるのではないでしょうか。 また、今回の前編・後編のインタビューを通じて、若手歯科医師の方は自分のスキルやキャリアに向き合っており、高い志を持って、日々勤務されていることを強く感じました。 未来ある若手歯科医師が不安や不満を持つことなく、ずっと働いていける職場環境の整備は経営者の義務といえます。 今回、実施したインタビューが歯科医院(病院)の経営のヒントとなれば、幸いです。
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