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開業したい歯科医師必見!創業計画書の役割や書き方、注意点を解説

開業したい歯科医師必見!創業計画書の役割や書き方、注意点を解説
開業したい歯科医師必見!創業計画書の役割や書き方、注意点を解説
歯科医院の開業に欠かせないのが、「創業計画書」です。
一般に知られる「事業計画書」と異なる書類で、金融機関からの融資を受けるために必ず必要となる重要な書類です。

今回は、創業計画書の概要や各項目の書き方、見直しの方法、注意点等について解説します。

創業計画書とは

創業計画書とは、新たに事業を始める場合に、どのような事業を始めるかを説明する目的で作成される書類です。 事業開始前に作成するため、事業についての実績値もなく、作成が事業計画書より難しいとされます。

事業計画書との違い

事業計画書は、現在どういった事業を行っているかを説明する目的で作成される書類です。 創業計画書とは、「作成のタイミング」と「作成の目的」が主に異なります。 なお、創業計画書は事業計画書の一つに位置づけられます。 事業計画書においては、事業をすでに始めている状態で、売上や経費等の実績値を基に事業の時系列(過去・現在・未来)を説明します。 ただし、事業計画書では整合性を証明する必要があるため、実態ある書類を作成せねばなりません。 創業計画書は、あくまでこれから事業を始めるフェーズで作成するため、事業計画書に比べると求められる整合性はゆるやかです。 また創業計画書は、経営者の経歴や事業の強み、資金調達方法等を記載するといった点で事業計画書と異なります。 詳しい書き方については後述します。 【関連】歯科医院の開業に必要な事業計画書の作り方は?必要性や手順、注意点を解説

創業計画書の記入例・テンプレート

国内の創業融資機関として有名な『日本政府金融公庫』は、PDFとエクセルのテンプレートおよび業種別の記入例を公開しています。 <テンプレート> PDF / エクセル <記入例> 歯科医院の創業計画書例

創業計画書が必要な理由

前述の通り、創業計画書は事業を始める前に作成します。 歯科医院の開業には、数千万円単位の初期投資が必要です。 すべてを自己資金でまかなうことが理想ですが、足りない場合は金融機関から融資を受けます。 金融機関は、誰彼構わず融資を行うわけではなく、信用に足る会社・事業に対して融資を行います。 創業前の企業に対する融資の判断材料の一つとなるのが、創業計画書です。 そのため、金融機関から融資を受けるために創業計画書の作成は欠かせません。 ただし、実績のない歯科医院が銀行等で融資を受けることは容易ではありません。 民間銀行は、これまでの実績に重きを置いて、会社・事業の信用性を審査するためです。 そこで、前述の日本政策金融公庫等の公的機関で融資を受けることが望ましいでしょう。 たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、他の金融機関にはない特徴を持っている融資制度です。 ■担保・連帯保証人不要 一般的には代表者個人の連帯保証人や不動産等の資産を担保に求められますが、新創業融資制度では不要となっています。 ■自己資金割合の要件が緩い 開業資金における自己資金の割合は、一般的に1/2以上を求められますが、新創業融資制度では1/10以上の自己資金割合で構わないとされています。 ■融資実行までが早い 一般的な融資審査には数か月かかりますが、新創業融資制度は約1ヶ月半で融資を受けることが可能です。 こういった融資を受けるために、創業計画書は欠かせません。

創業計画書の書き方・必要な項目内容

創業計画書には、以下の項目を記載します。 ・創業の動機 ・経営者の略歴 ・取扱商品・サービス ・取引先・取引関係等 ・従業員 ・お借入れの状況 ・必要な資金と調達の方法 ・事業の見通し ・自由記述欄 各項目の書き方について、それぞれ詳しく解説します。

創業の動機

歯科医院を開業する熱意や意志をアピールする項目です。 欄が狭いため、書ききれない場合は別紙にまとめても構いません。(※長くともA4一枚以内) 想いを伝えようとするがあまりに、独りよがりな内容や抽象的な内容になることは避けましょう。

経営者の略歴

融資の判断に最も影響を与える項目の一つが、経営者の略歴です。 学歴や歯科医院の勤務経歴だけでなく、取得資格やマネジメント経験等も記入します。 これまでの経験が事業に活きることをしっかりとアピールしましょう。 特にマネジメントや売上管理といった経験は、経営にもつながる部分です。

取扱商品・サービス

保険診療と自由診療の売上シェアはどれくらいか、競合他医院に負けないセールスポイントはどこか、といった点をまとめる項目です。 「アットホームな歯科医院をつくる」、「患者さんにとっての家庭医になる」といった抽象的な表現は避けましょう。 また、専門知識を並べてアピールしても、融資判断を行う担当者は歯科の専門家ではないため、伝わらない可能性も考えられます。 専門に寄りすぎない表現を心がけましょう。

取引先・取引関係等

販売先は一般個人、仕入れ先は医療機器等のメーカー、外注先は歯科技工や検査を提供する会社等を記載する項目です。 人件費の支払いは、給与・賞与の締日・支払日を記載しましょう。

従業員

常勤役員の人数は、医療法人になった場合に記載しますが、個人事業で開業する場合は不要です。 従業員数は、経営者以外のスタッフの数です。

お借入れの状況

銀行等の金融機関から借入をしている場合は、正確な数値を記載しましょう。 信用情報機関で借入金額を確かめることができるため、虚偽の数値を記載するなど信用を失なう行為は厳禁です。

必要な資金と調達の方法

「必要な資金」には、開業で使用予定の金額について記載します。 依頼予定の企業の見積書も必要です。 項目は、診療所内外装工事、診療設備(医療機器・歯科用ユニット等)、什器・備品類、材料費、人件費等です。 「調達の方法」には、自己資金をはじめ、家族や知人、金融機関からの借入予定金額を記載しましょう。 金額の合計額が「必要な資金」と「調達の方法」で一致するようにしてください。

事業の見通し

この項目には、創業当初の売上高の見通しを記載します。 ただ闇雲に数字を書き入れるのではなく、根拠に基づいて記載してください。 売上高は、診療単価・患者数・営業日数を掛け合わせて算出します。 人件費は、前述の従業員数に基づいているかもチェックします。 最終的な利益はプラスで計上できるように注意してください。 創業期から赤字想定の歯科医院には、融資の判断が難しくなってしまう可能性があります。

自由記述欄

ここには、「追加でアピールしたいこと・事業を行う上での悩み・欲しいアドバイス等」を記述できます。 文字通り記述は自由(任意)ですが、熱意をアピールするために積極的に書きましょう。 他の項目でアピールしきれなかった将来の展望などの記入が無難です。 ただし、正直に「事業を行う上での悩み、欲しいアドバイス」を書いてしまうと、審査担当者から「不安要素を払拭してから開業すべきでは?」と判断されかねません。 プラスのアピールポイントを書き入れましょう。

創業計画書を訂正・修正する場合は?

創業計画書を見直してから訂正・修正する場合に、単なる数字合わせに終わってしまう方もいます。 つまり、「必要な資金の調達方法」、「取引先・取引関係等」、「事業の見通し」といった項目の数字ばかりに着目してしまうケースです。 しかし、それだけでは本当の意味での見直しにはなりません。 ポイントは、「実態に沿っているか」をチェックすることです。 たとえば「提供予定の診療科目に対して、すべての医療設備を用意する必要があるか」、「子ども向けのプレイルームを設置しても利用する方がいるのか」といった視点から、創業計画書を見直します。 診療圏調査に基づき、医療設備やプレイルームが不要であると判断できれば、初期費用の削減につながり、それに伴ってメンテナンス費用や光熱費も抑えられます。 創業計画書を見直す場合は、表面的な数値だけを見るのではなく、事業の実態と照らし合わせながら計画を練り直してみることがおすすめです。

創業計画書を作成するときの注意点

作成時には、次のことに注意してください。

各項目の注意点

■取扱商品・サービスの内容 「販売ターゲット・販売戦略」には、診療圏調査を基に狙いたい患者層を記載してください。 すべての世代に来院してもらいたい気持ちもあるかもしれませんが、まずはしっかりとメインターゲットを決めましょう。 「競合・市場等企業を取り巻く状況」では、診療圏調査の書類上だけでなく、自らの足を使って状況を確認することが大切です。 書面上では分からない、人通りの多さや患者層、通りの雰囲気、競合店の特徴を発見でき、結果として明確な「立地選定理由」を記載できるはずです。 歯科医院の立地は、開業で最も重要なポイントであるため、入念な調査を心がけましょう。 【関連】歯科医院を開業するなら「立地」が大切!土地の種類や選び方を解説 ■取引先・取引関係等の販売先 「取扱商品・サービス」に記載した保険診療・自由診療の売上シェアと同じ数値を書き込めば良い訳ではありません。 取引先・取引関係等の販売先では、「窓口入金」と「支払基金/国保連」のどちらの入金方法かによってシェアの割合が決まります。 以下の記入例であれば、30%と70%に分けられています。 【引用】日本政策金融公庫|創業計画書【記入例】 一方で、「掛取引の割合」にはシェアの数値をそのまま反映するのではなく、(保険診療の)自己負担と自由診療0%(空欄)、保険診療100%と記載します。 掛取引とは、代金の支払い・回収を通院時ではなく一定期間経ってから行う取引のことです。 保健診療が請求日の翌々月に国から支払われるのに対し、自己負担と自由診療は基本的に掛取引ではなくその場で支払うこととなるため、このように記載します。

申請に必要な書類

創業計画書以外で融資の申請に求められる以下の書類を早めに準備しておくことで、スムーズに融資審査へ移れます。 ■源泉徴収票 2~3年分 確定申告をしている場合は、確定申告書の控えを2~3年分用意してください。 ■プライベートで使用している通帳 2~3年分 ■賃貸借契約書 賃貸住宅のみが対象です。 ■クレジットカードの利用明細直近 6か月分 光熱費等の滞納がないかを確認する目的です。 ■身分証明書(運転免許証等) また、融資審査を完了してから印鑑証明書の提出を求められる場合もあります。

開業のためにまずは創業計画書を作ろう

歯科医院開業を目指すなら、創業計画書の準備から始めましょう。 今回お伝えした通り、創業計画書は金融機関からの融資に必要であり、事業を計画的に進めるためのコンパスとなってくれます。 まずは、テンプレートのダウンロードから始めてみてはいかがでしょうか。 【歯科開業支援コンテンツ】OneToOne Club

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