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しくじり先生の小児歯科 その14 もしいつまでも歯を磨き続けられたら・・

しくじり先生の小児歯科 その14 もしいつまでも歯を磨き続けられたら・・
しくじり先生の小児歯科 その14 もしいつまでも歯を磨き続けられたら・・
前回、こどもが歯ブラシに合わせ呼吸調整をし、処置を受けやすい状態に誘導する方法について紹介した。


ところで術者が、歯を磨くことに気を取られ、いつまでも歯ブラシを抜かないとどうなるだろう?



子どもは、唾液がたまって苦しくなるはずだ。
実際、保護者から「歯を磨いているのに、子どもが嫌がりじっとしてくれない」という訴えがある。
これは、こどもの呼吸を考えず磨き続けている可能性がある。

従って、上手に呼吸調整できるまで、歯ブラシを早めに抜くのがコツである。
例えば、最初は少し早めに3数えるが、徐々にゆっくり数える。
また、次第に数える数を増やす。
こうすることで、より長い呼吸調整ができるだろう。

この段階で子どもに余裕があれば、次はバキュームだ。
急にバキュームの音がすると驚いて泣き始める。
それに対して、あらかじめバキュームでコップの水を吸う場面を見せる方法がある。
しかし恐がりの子は、それも嫌がる。

そこで、子どもが歯磨きのリズムに慣れてきたら、術者は故意にゆっくり歯磨きを行い唾液をためる。



こうして唾液を嚥下でない状態を作り出す。
少し苦しい状況を作り、歯を磨きながら「ツバを取ろう!」と言い、バキュームで吸引する。
その瞬間、「ああ~楽になった!」と言いながら磨き続ける。
こうしてバキュームは、唾液を吸引し楽にしてくれる味方だと思わせる。
また、しばらくバキュームを口の中に入れたまま磨き続ける。
これによりバキュームの音に対する閾値をあげるように誘導しておく。

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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