「あなたが進む道は、あなたの言動ひとつで変わる。」
あなたはどうして歯科衛生士の仕事を選びましたか?どんな医療人を目指していますか?あなたにこれから訪れるさまざまな人との出会い、そして新しいことへ挑戦するチャンスをしっかり受け止めるためのヒントが、萱野先生のお話のなかにありました。迷わず選び突き進んだ歯科衛生士の道は挫折のスタート
萱野先生の歯医者さんデビューは2歳。通い続けるうち歯医者さんはとても身近な存在となり、“将来は歯医者さんで働きたい”という気持ちが高まっていきました。その決め手となったのは歯科衛生士さんらスタッフの存在。「先生が怖かったから余計に、やさしく寄り添ってくれる感じがうれしくて、自然に自分の将来像と重なっていきましたね」と萱野先生。高校生になると週3日夜間診療所で歯科助手としてのアルバイトを開始。そのまま迷わず歯科衛生士専門学校へ進学。国家資格を取った時には、これでやっと歯科衛生士として患者さんに接するスタートラインに立てた!という気持ちでワクワクしていました。 自信を持って突き進むタイプの萱野先生ですが、最初から順風満帆とはいきませんでした。卒業後に勤めた小児歯科医院で、先輩から毎日昼休みのレッスンを課され、休日返上の課題に追われる日々に反発心がむき出しに。返事にも態度にも“納得できない気持ち”が出てしまい、周りとの関係がどんどん悪化。結局1年で退職することに。挫折感のなかで萱野先生は、結果はすべて自分の言動が招いていることに気づかされます。やらされている不満ばかり口にしていてはうまく回らない。もっと感謝の気持ちを持って相手と向き合おう。自分が変わればきっと状況も変わるはず…!苦い経験、出会い、新しい挑戦…すべては自分の言動が招くもの
運命を変えるひとつの出会いが訪れます。求人雑誌で見つけたクオレ矯正歯科クリニックでの面接です。当時堀井院長は、矯正歯科にも専門的な予防の取り組みが必要と感じておられたこともあり、歯科衛生士として意欲を燃やす萱野先生をスタッフに採用。後日カリオロジーのセミナーに二人で参加し、「すぐにやりましょう!」と唾液検査・セルフケア・プロケアを組み込んだ新しい矯正プログラムを制作。萱野先生にとっては、虫歯予防を専門的に行う歯科衛生士としてのターニングポイントとなりました。 その後、母校の専任教員として教壇に立ったり、職場を一般歯科医院に移して広く臨床に携わったり、地域医療の充実を目指す医療法人社団一心会の訪問歯科部門をゼロから立ち上げるプロジェクトにも参加。結婚や出産を経た今も、臨床で患者さんを担当し、教壇に立ち続け、複数の医院のマネージャーとしての業務をこなしていらっしゃいます。「苦い経験も含めた様々な出会いのすべてが、後になるととても意味があったと感じています」と、これまでを振り返りお話してくださいました。萱野先生の主なお仕事
1.フリーランス歯科衛生士として勤務 複数の歯科医院で患者さんを担当 併せて新人教育・院内マネジメントにあたる 北海道ハイテクノロジー専門学校での授業風景 2.専門学校非常勤講師として教壇に立つ 自身の臨床の場での情報や経験を学生さんらに提供北海道デンタルショーに登壇 3.講演会、歯科メーカーの院内セミナー モリタでの講演・指導、並びにライオン製品の特長や患者さんへのすすめ方等を伝える院内セミナーを実施 自分の限界点を決めず幅広い知識を身につけて 口は、栄養を摂取する大切な器官です。栄養を摂ることで免疫力なども加わり、起こりうる様々な疾病を予防することにもつながっていきます。その大切な機能をもつ口腔の状態を改善し守るのが私たち歯科衛生士の仕事です。患者さんは乳幼児期から学童期、成人、高齢者、妊産婦さんなど様々ですが、どの患者さんにとっても口腔が担う機能の重要性は同じです。例えばあなたが今30~40代の主婦の患者さんを担当しているとします。あなたはその患者さんのことだけを見ていませんか?もしかしたらその方は、在宅で介護しているご家族の口腔のことで悩んでいるかもしれません。またお子さんの口腔のことを気にかけているかもしれません。目の前の患者さんの奥にはご家族がおられ、患者さんは幅広いステージの上で生活をしておられます。そこを意識し、患者さんのことを良く知り、幅広く対応できる知識をぜひ身につけてほしいと思います、と萱野先生。 そのためには日々の勉強が必要ですが、大切なのは知識の限界点を自分で決めないこと。無理だとあきらめるのではなく、どうやったらできるようになるかを考えて知識欲を高めること。いろんなステージの方の人生に関わることができて、ありがとうと言っていただける歯科衛生士という仕事。自分が変わることで、もっともっと輝くことができるはずです。歯科衛生士さんの指導にあたる菊水アロー歯科にて 患者さんにブラッシング指導 一生懸命手書きしてくれたお誕生日おめでとうのメッセージもうれしいですが、疲れて帰って来た時にふとテーブルの上に、私へあてたねぎらいの手紙を見つけたとき、疲れも何もかもぱっと吹っ飛びました。肌身離さず持ち歩き、そぉ~っと広げてはパワーをもらっています。自分のことより、今は家族と過ごす時間が大切 おいしいものを食べに行ったり温泉に行ったり、家族でよく出かけます。たまにぽっかり時間ができて「さあ何しようかな… 」となっても、自分のことはそっちのけで、結局家族のことをあれこれしてしまっています(笑)。今の私にとって家族と過ごす時間が、何より大切な宝ものです。8歳の娘からママへ、ちいさなかわいいメッセージ
著者萱野 美帆
フリーランス歯科衛生士
略歴
- 2000年 池見札幌歯科衛生士専門学校卒業
- 2001年 クオレ矯正歯科クリニック
- 2005年 池見札幌歯科衛生士専門学校専任教員勤務
- 2009年 鈴木歯科医院勤務
- 2012年 医療法人社団一心会 マネージャー勤務
- 2014年 北海道ハイテクノロジー専門学校 非常勤講師勤務
- 2018年 クオレ矯正歯科クリニック マネージャー勤務
- 2019年 菊水アロー歯科勤務