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これからの歯科衛生士への敬意と期待

2021/2/14 MoreSmile

歯科衛生士の呼び方

徳島大学名誉教授の西野瑞穗先生が、ご講演中、歯科衛生士のことを「歯科衛生士先生」とおっしゃっていました。西野先生は言葉遣いが相変わらず丁寧でいらっしゃるなあと思って聞いていたのですが、講演後に、歯科衛生士のされている仕事はとても大事な仕事で、敬意をもってそう呼んでいるのだと教えていただきました。歯科医師には名前に「先生」を付け、歯科衛生士には「さん」を付けていることが通例ですが、西野先生は心からの敬意が溢れて「歯科衛生士先生」と口にされたのですね。 西野瑞穗先生との講演の一コマ 私が留学していたスウェーデンやアイルランドでは、反対に誰に対しても「先生(Dr)」や、「さん(Ms)」や、「教授(Prof)」という呼称をつけず、ファーストネームで呼び合っていました。例外はアイルランドの70歳代の名誉教授で、彼は皆から"Prof"と呼ばれ、文章の最後には自分の名前ではなく"Prof"とサインしていました。これは、アイルランドでも呼称に地位を反映していた時代があったことを意味していますが、今は誰もそんな風に地位を表そうとする人はいません。

歯科衛生士と歯科医師の関係性

私は日本も将来はきっとそうなると信じています。これが時代の流れだと思うのです。西野先生のように丁寧な呼び方を歯科衛生士と歯科医師の両方に付けるのか、海外のように歯科医師だけにつけている「先生」を替えて、歯科衛生士と同じ呼び方にするのか、どのようになるのかはわかりませんが、口腔二大疾患の病因論を考慮すると、歯科衛生士と歯科医師が今よりももっと同等の関係になっていくのが真っ当なことだと思います。 患者さん一人ひとりに歯科衛生士の役割が果たされて初めて、歯科医師の仕事は生きてきます。歯科医師の高度な治療が成功するか否かは、土台をしっかり守ってくれる歯科衛生士がいてこそのなのです。この関係性を確立してお互いに尊重し合うことで、患者さんの利益がより大きくなるはずです。 Illustration by muraoka fumi

歯科衛生士の業務はもっと進化すべき

さらに、もっと将来には、予防歯科先進国スウェーデンのように、歯科衛生士の業務範囲が合理的に広がることを期待します。例えば、スウェーデンでは、歯科衛生士がX線写真撮影のスイッチを押せますし、浸潤麻酔もできます。X線写真を撮ったり、歯肉縁下のスケーリング・ルートプレーニングをしたりするのに、歯科衛生士がいちいち歯科医師を呼ばなくてもよいわけです。 このように歯科衛生士の仕事が尊重され、進化すると、自ずと伴うのは生涯学習の重要性です。責任ある専門家として認められたからには、最新の情報を臨床に取り入れていく必要があるでしょう。それはそんなに容易いことではないはずです。もしかしたら、前時代的な歯科衛生士の方がよっぽど気楽だったと嘆く人がいるかもしれません。

実力と意欲を兼ね備えた歯科衛生士

しかし、私が光明を見たのは、「日曜のフィーカ」という勉強会を開催した時のことです。これは、もともと歯学部大学院生を対象に始めたものでしたが、多方面にアナウンスしてみると、歯科衛生士の参加意欲の方が断然高かったのです。トピックスのリストには歯学部大学院生が知るべき研究手法などを入れていたにも関わらず、「凄い内容です そして知りたかった内容ばかり!」という声が上がりました。これはトップクラスの歯科衛生士がエビデンスを重視し、研究のルールを知りたいという意欲に溢れていることの表れだと思いました。自分自身をどんどん進化しようとしている、凄い人たちです。 スウェーデンで学ぶ熱心な歯科衛生士・歯科医師たち 全国に約13万人いる就業歯科衛生士のうちの何%がこのような人たちに相当するのかわかりません。現在、患者さんがこのような歯科衛生士に診てもらえるのは一億円の宝くじを引くくらい稀なことなのかもしれません。それなのに、私はこのような実力と意欲を兼ね備えた多くの歯科衛生士の方々に出会えてきたことに心から感謝しています。そして、こういう歯科衛生士が、日本でも石を投げたら当たるくらいに増えることを願っています。日本全国民の口腔の健康を守るためには、それしかないからです。 Illustration by muraoka fumi