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歯科医院を開業するメリットは?
年収が良い・儲かるのは勤務医or開業医どっち?

2020/3/19 歯科医院経営

歯科医師として勤務しながら、開業を検討している方もいるでしょう。
ただし、開業にはリスクがつきもの。歯科医師の現状・動向や歯科医師の年収、開業のメリット・デメリットについて解説します。

日本の歯科医師の現状・動向

歯科医院の競争環境は、熾烈化しています。 「医療施設動態調査」(厚生労働省)によると、平成27年以降で歯科医院数は全国で68,000軒を超えました。 これは、コンビニの全国約55,500軒を上回る数です。 また、日本の人口減少は止まりません。 平成29年の「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、日本の人口数は2053年に9,924万人、2065年に8,808万人まで減少すると言われています。 人口減少に伴い患者さんの絶対数が減る中で、売り上げの維持・向上は一筋縄ではいかないでしょう。 こういった競争環境の中で、廃業に追い込まれる歯科医院も少なからず存在します。

勤務歯科医師と開業歯科医師の比較

このような市場環境で、歯科医師は開業する・しない、どちらを選ぶでしょうか。 歯科医師の数は、1990年の約7.4万人から2016年の約10.4万人へ、3万人ほど増えています。 施設・業務種別では、「診療所の従事者」かつ「診療所の開設者又は法人の代表者」は約5.9万人。 つまり、歯科医師約10.4万人のうち約5.9万人が開業歯科医師=56.7%の開業率であるといえます。 この数値は、医師全体の開業率21%を上回っています。 歯科医師のおよそ2人に1人は、開業を選んでいるのが現状です。 【参考】平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(表9 施設・業務の種別にみた歯科医師数) - 厚生労働省

歯科医院の開業について

歯科医院の開業について、もうすこし詳しくみていきましょう。

開業歯科医師の平均年収

開業歯科医師の平均年収は643万円で、歯科医師全体の平均年収を200万円ほど下回っています。 一方で、勤務歯科医師の平均年収は、一般病院の平均年収が1,242万円、歯科診療所で606万円です。 勤務先による収入の差は、2倍にもおよびます。 【参考】第21期医療経済実態調査(2017年) 職種別常勤職員1人平均給料年(度)額等 - 中央社会保険医療協議会 より詳しく開業歯科医師の年収について知りたい方は、下記を参照してください。 【関連】開業した歯科医師の年収はどのくらい?勤務医・他の医院との差や年収推移まとめ

開業歯科医師の平均年齢と開業理由

歯科医師の開業平均年齢に関する統計データは、現在(2020年3月時点)までに公表されていませんが、医師全体の開業年齢は約41.3歳です。 【参考】開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査 - 日本医師会 開業の理由は、高い順に以下のようになっています。 ・理想の医療の追究(42.4%) ・将来に限界を感じた(35.1%) ・経営も含めたやり甲斐(26.3%) ・精神的ストレスに疲弊(21.0%) ポジティブな理由とネガティブな理由、両方が開業のきっかけとなっているようです。

歯科医院の新規開業と居抜き開業の違い

歯科医院の開業には、大きく分けて「新規開業」と「居抜き開業」の2つがあります。 新規開業とは、ゼロベースから開業することです。 開業地から内装、人材、治療方針など、すべてを開業者自身で決定することができます。 「矯正歯科でしっかり儲かる歯科医院を作りたい」など、自分のこだわりを反映させることが可能です。 一方で、居抜き開業は歯科医院として経営していた物件を再利用する形で開業します。 自由度は下がるものの、それまで使用されていた内装や設備などを引き継ぐため、初期費用を抑えて開業することができます。 どちらを選ぶかは、開業者の方向性によります。 それぞれにメリット・デメリット(後述)があるため、よく検討した上で決めるのが得策です。

廃業する歯科医院の特徴

歯科医院として開業したにもかかわらず、さまざまな理由で廃業する歯科医院が毎年一定数存在します。 「医療施設(動態)調査・病院報告」(厚生労働省)によると、歯科医院の廃業数は以下の通りです。 ・2015年10月~2016年9月:1,411(休業数は138) ・2014年10月~2015年9月:1,344(休業数は171) ・2013年10月~2014年9月:1,746(休業数は398) なぜ廃業に追いやられてしまうのか、つぶれる歯科医院の特徴について解説します。

人材不足

人材不足により患者さんを診ることができず、売り上げを伸ばせないケースです。 「医療施設(動態)調査・病院報告」(厚生労働省)によると、北関東や中国・四国などの地方で人材不足の傾向が顕著です。 また、女性の社会進出が増えてきた昨今、女性の歯科医師や歯科衛生士が結婚や出産などのライフイベントで休業してしまうと、経営に大きな影響を与えます。

保険診療に偏った診療

国の定める診療点数で患者さんに請求できる医療費が決まる「保険診療」は医療費が固定されているため、地域で集患に限りがあると、保険診療だけでは売り上げを伸ばすことが難しくなります。 歯科医院が自由に価格を決められる「自費診療」の割合を増やす必要があるでしょう。

新規顧客の獲得不足

新しい患者さんの獲得を怠ると、売り上げが伸び悩み、廃業に至る可能性が高まります。 開業当初は地域住民に対する認知度が低いため、新規患者を獲得するチャンスに恵まれています。 しかし、開業から数年経って認知度を得られると、周辺地域だけでは新規患者の獲得に限りがあることは明らかです。 既存の患者さんだけでは売り上げが伸び悩むため、積極的な広報活動により、周辺地域以外の新しい患者さんも獲得していきましょう。 つぶれる歯科医院の特長についてより詳しく知りたい方は下記を参照してください。 【参照】歯科医院が開業に失敗してしまう理由とは?廃業の理由や経営を成功させるポイント

歯科医院を開業するメリット・デメリット

開業形態によるメリット・デメリットについて解説します。

新規歯科開業のメリット

・立地を選べる 歯科医院の経営で最も重要なのは立地です。 立地は、患者層やメインの診療科目、競合の歯科医院などに影響を与えます。 新規開業は自由に立地を選べるため、歯科医院の特徴を活かせるエリアを吟味しましょう。 開業地について詳しく知りたい方はこちらを参照ください。 【関連】歯科医院を開業するなら「立地」が大切!土地の種類や選び方を解説 ・内装やデザインにこだわれる 内装やデザインは、歯科医院のブランディングに直結します。 メインとする患者層が通いやすい内装やデザインにすることで、売り上げに繋げることも可能です。 こういった内装やデザインにこだわることができる点は新規開業の魅力のひとつであるといえるでしょう。

新規歯科開業のデメリット

・投資費用が大きい 立地や物件、設備を自由に選べる一方で、その分多額の投資費用がかかります。 一概にはいえませんが、初期費用だけで数千万円が必要といわれています。 また、歯科医院を経営していく上で、設備投資も順次行わなければなりません。 ただ、すべてを自己資金でまかなう必要はなく、金融機関などで融資を受けて増資するケースが一般的です。 ・認知度向上がマスト 新規開業の場合、周辺地域の住民に存在を知ってもらうところから始めなければなりません。 特に過疎地域の場合は、少しのクレームが悪い口コミが拡散する原因となり、命取りになることも。 日々の診療で患者さんとの信頼関係を築くことが重要です。

居抜き開業のメリット

・投資費用を削減できる 居抜き開業では、物件にある内装や配管、設備などをそのまま引き継げます。 内装工事や設備には数百万円単位の費用がかかることも多いですが、居抜きではこの分のコストがほとんどかかりません。 開業時の自己資金や資金調達に不安のある開業歯科医師におすすめです。 ・患者さんから既に認知されている 以前からその立地に歯科医院があったことが地域住民に認知されているため、新規開業の場合と比べると集患にかける費用を抑えることができます。

居抜き開業のデメリット

・物件の条件が限られる 居抜き開業の場合は物件の立地や内装、設備が決まっており、希望通りの条件で開業することが難しいかもしれません。 また、建物や設備の老朽化で、補修工事が必要になる場合も。 すべてを自由に選べる新規開業と比べ、希望に当てはまる物件の数も限られます。 ・前の歯科医院と比較される 良くも悪くも前の歯科医院と比較される可能性もあります。 前の歯科医院とは得意とする診療科目も異なれば、メインの患者層も異なります。 そのため、チラシや口コミなどで「違う歯科医院がオープンした」ことを認知してもらう必要があります。

勤務歯科医師のメリット・デメリット

開業せずに、勤務歯科医師を選ぶメリット・デメリットを解説します。

勤務歯科医師のメリット

・スキルアップに専念できる 勤務医は、歯科医院の経営のことよりも、目の前の患者さんの治療に集中しやすいです。 自分の好きな治療のスキルアップに専念できます。 歯科医院によっては、スキルアップに必要な研修・機材などを勤務先の負担で利用できます。 ・リスクを抑えられる 開業歯科医師に比べると、リスクを抑えて働き続けることができます。 開業歯科医師は、売り上げが少なく資金繰りが厳しくなれば、倒産し借入金を抱える可能性もありますが、勤務歯科医師はそういったリスクとは基本的に無縁です。

勤務歯科医師のデメリット

・勤務先のルールに従わなければならない 当たり前ですが勤務先で決められたルールに従って、働かなければなりません。 福利厚生や役職、年収などは勤務先に依存します。 もし待遇に不満があれば転職を検討する必要があるでしょう。 ・キャリアアップに限界がある 前項とも重なりますが、勤務先のルールに従ってキャリアアップを進める必要があります。 勤務歯科医師として院長の立場を目指すには、ほかの勤務医たちとの出世レースに勝たなければなりません。 一方、開業医であればレースで競うことなく院長職に就くことができます。

希望に沿うキャリアデザインを

歯科医院として開業・勤務どちらを選ぶかは、ご自身の希望次第です。 5年後、10年後先の理想の歯科医師像を踏まえ、キャリアデザインをしていきましょう。 今回の記事を参考に検討してみてください。 【歯科開業支援コンテンツ】OneToOne Club