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歯科医院における言語聴覚士の日常
第1回:歯科医院で言語聴覚士が
働くようになるまで

2021/4/29 デンタル〇〇デザイン

こじまデンタルクリニック(以下、当院)は、歯科医師である弟と、言語聴覚士の姉の私が働く歯科医院です。

当院は、歯科・口腔外科・小児歯科の他に、訪問歯科診療、摂食嚥下リハビリテーション、小児の言語訓練を行っています。歯科医院に言語聴覚士が在籍していることを伝えると、驚かれる方がいらっしゃいます。まずは、なぜ私が歯科医院で働くようになったのかについてご紹介します。

両親や祖父母が歯科医師というわけでも、医療関係の職種に就いているわけではありません。偶然にも、本当にたまたま歯科医師と言語聴覚士という仕事を選んだわれわれ姉弟。

弟は大学病院で研修医を経て総合病院の口腔外科に勤務しつつも、いつかは開業を考えていました。一方で、私は総合病院で言語聴覚士として働いており、大学病院の歯科で働く言語聴覚士については耳にしたことがありましたが、街の歯科医院で働いている言語聴覚士については聞いたことがなく、当時は歯科で働くというイメージはもっていませんでした。

私が勤務していた病院にはひっきりなしに肺炎の高齢者が入院してこられ、肺炎の再発による再入院の方も多くいらっしゃいました。言語聴覚士は、失語症や高次脳機能障害、聴覚障害、発達障害といった領域を専門としていますが、総合病院では摂食嚥下障害の患者さんの評価や訓練を担当する割合が多いです。

私はそのような状況のなかで、「入院前に肺炎を予防することはできないだろうか」と考えるようになりました。そこで、私がとった行動は総合病院を辞めて、医科診療所、歯科診療所、訪問看護ステーションで働き、地域医療や在宅医療を学ぶということでした。同時に、医療・福祉のマネジメントについて学ぶために大学院の修士課程に進学しました。

地域医療や在宅医療を学ぶうちに、歯科はお口の登竜門(当たり前なのですが)であるとあらためて気づきました。摂食嚥下リハビリテーションについても、食べるという機能はお口から始まります。ということは、弟の開業する歯科医院で摂食嚥下リハビリテーションをするのも良いのでは?と思うようになりました。



歯科で言語聴覚士ができることは、意外と多くあります。摂食嚥下の評価や訓練はもちろん、近年は口腔機能低下症の評価や指導も担当します。お子様の場合には、口腔機能発達不全症の評価や指導、口唇口蓋裂や「さかな」が「たかな」となってしまうといった構音障害の訓練も行います。そして、最近重要だと思っているのは、頭頚部がんの方です。大学病院は手術や定期的な検査を担っています。しかし、構音や摂食嚥下のリハビリテーションまでをフォローできるシステムが整っている病院は多くありません。そのような方のリハビリテーションを当院で行っています。患者さんが、「リハビリテーションを受けられるところがあって良かった」という笑顔がみられるのは、とてもうれしい瞬間です。

今回は、歯科医院で言語聴覚士が働くようになった経緯についてお話させていただきました。次回からは、言語聴覚士が歯科診療所でどのような取り組みをしているのか、役割を担っているのかをご紹介できればと思います。