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口腔機能発達不全症 その19
“歯固め”の意味

2021/7/24 デンタル〇〇デザイン

現在、口腔機能の発達の"みちすじ"が明らかになり、その段階に合わせた離乳食の指導がなされている。



これにより最も恩恵を受けたのが、脳性麻痺など障害児であろう。
摂食嚥下の訓練には、このステップが大切だ。
しかし、口腔機能発達不全症の増加には、まだ気づかない視点があるのだろう。


さて、赤ちゃんの生後百日お祝いの儀式として「お食い初め」がある。
一生食べもので困らないようにと願い、祝い箸でチョンチョンと口を触わり食べる真似をする。
その後で、石を赤ちゃんの歯グキにつけ丈夫な歯が生えるようにお願いする。
これが"歯固め"である。



何故、このような儀式をするのだろう?
現在の日本では、この風習を知らない若い夫婦が多い。
"歯固め"と言えば、市販のシリコン製のものを想像する。



歯の萌出時、歯グキがムズムズして気持ちが悪い、そこでこれをガチガチ噛むと軽減されるという。




さて、モンゴルでは生後5・6か月の乳児に、羊のシッポの部分の脂(羊尾脂)をくわえさせる習慣がある。(地方では生後3か月頃から与えている)
乳児は、これをチュパチュパするのだが、初めてその様子を見た時不思議に思った。



またチベットにも類似した習慣がある。
以下、少し長文になるが「明るいチベット医学」より引用しよう。
「チベットでは乳児が、ゆでた肉の塊をかかえてむしゃぶりついている。
手をベトベトにし、顔も服も脂にまみれている。
生後2・3カ月頃、肉の丸ゆでを与え乳離れをさせる。
子どもはまだ噛めないけれど、肉にむしゃぶりつき肉汁を吸う。
いつまでも噛み続けるので、歯グキが鍛えられる。
すると丈夫な歯が生え、顎もよく発達する。
これは歯を丈夫にするトレーニングになる。
赤ちゃんの時から、手でものをつかんで飢えを満たそうというという姿勢は、生きる力をつけるために役立つ。
小さいものは飲み込む危険性があるので、ある程度の大きさにしてしゃぶらせる」


出典:(チベットの医師(医学僧)大工原彌太郎著1988年 情報センター出版局)


これは、モンゴルやチベットの"歯固め"だ。
日本の伝統的な歯固めとは少し様子が違う。
乳児は、3か月頃になると、目についたものを手あたり次第に舐める。
おそらくモンゴルやチベットでも、この時期から与えるのだろう。
現在、日本の育児書には、食物を利用した"歯固め"ついて書かれていない。
不潔と考えられているからだろう。
しかし"歯固め"には、他にも意味があるに違いない。

続く