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エピソード2:第9回
内科診察室で歯科本を使い倒す

コラム

医科歯科ボーダレスな診療を目指して
エピソード2:第9回
内科診察室で歯科本を使い倒す

医科歯科ボーダレスな診療を目指して<br>エピソード2:第9回<br>内科診察室で歯科本を使い倒す
医科歯科ボーダレスな診療を目指して
エピソード2:第9回
内科診察室で歯科本を使い倒す
内科・消化器内科を標榜するクリニックですが、私の診察室の机の下には歯科本が何冊も置いてあります。日々の内科診療の中で、初診患者はもちろん、定期的な再診患者であっても、口腔内視診はルーティンです。

口腔衛生・口腔機能といった口腔の健康の向上と維持のために、そのきっかけづくりと動機づけが重要です。口腔の健康が、全身の健康につながるということをご説明する際に、内科医という立場は、より説得力を持ちえるようです。でも内科医が歯科受診を勧めることに違和感を覚えてしまう方も少なからずいらっしゃいます。そんなときは、「nico」2021年4月号で特集されていた「お医者さんが伝えたい 歯医者さんに通うべき5つの理由」が役立ちます。

「nico」2021年4月号 https://www.quint-j.co.jp/shigakusyocom/html/products/detail.php?product_id=4272 次に、日々の診療で下顎の半埋伏智歯はかなり頻繁に見かけます。大半は当院受診の主訴とは無関係ですが、中には片頭痛や群発頭痛の方にやや多いように思います。水平埋伏智歯の指摘の有無、抜歯履歴の有無は問診するようにしています。 過去に智歯周囲炎になったことがある方も少なくありません。歯科ではどう言われていたかお尋ねすると、「若いうちに抜歯しましょうと言われたけど先延ばしにしている」とか、「いつか抜いた方がいいけど急がないと言われた」とか、「痛くなったら抜きましょうと言われた」、といった答えが返ってきます。歯科医師でない私はそれらをどうこう言うことはしません。 基本的には、かかりつけ歯科医があれば、そこでの相談をお勧めします。かかりつけ歯科がない場合は、近隣の歯科医院、病院の歯科口腔外科へご紹介させていただくようにしています。そこで、「nico」2021年1月号の特集「知ると知らないでは大違い!親知らずを抜く前にお読みください。」がとても役に立ちました。
「nico」2021年1月号 https://www.quint-j.co.jp/shigakusyocom/html/products/detail.php?product_id=4233 昨年12月のクリスマス・イヴに歯痛で受診された方、以前から歯科受診をお勧めしていたのですが、先延ばしされていました。すぐに口腔外科へ紹介すると、やはり智歯周囲炎でした。痛みがひどくかなり辛いご様子でした。年末年始は消炎鎮痛剤と抗生剤で乗り切り、正月明けに口腔外科へ入院、全身麻酔下に4本とも抜歯。年末年始を辛い状況で過ごされたようで、「先生に言われた時に抜いておけば良かった」とおっしゃっていました。 また、「睡眠歯科」という分野があることを知ったのはちょうど一年前のことです。とあるWEBセミナーにて海外の大学で睡眠歯科を学ばれた歯科医師のお話をうかがいました。歯科医師が情熱をもって睡眠時無呼吸症候群(SAS)に取り組んでおられる姿に強い衝撃を受けました。 もちろん内科医の私もずっと以前からSASは認識しており、血液検査で多血症が見られる場合にはSASにともなう2次性多血症を疑い専門外来を紹介していました。それは年に数人にとどまっていました。 前述したセミナーで、口腔内所見や「いびきをかくかどうか」などの問診で、ほぼスクリーニングできることを教えていただき、「nico」2021年5月号の特集「いびきをかかずに眠れてますか?歯科で気づく!閉塞性睡眠時無呼吸」がたいへん参考になりました。 この本を見せながら説明すると患者さんの受け入れは良好で、近隣の耳鼻咽喉科クリニックに紹介、そのほとんどがSASと診断され、中等症か重症に該当しています。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、医科歯科連携の最前線の一つだと思います。
「nico」2021年5月号 https://www.quint-j.co.jp/shigakusyocom/html/products/detail.php?product_id=4286 そして、2021年度から75歳以上が対象となる後期高齢者医療健康診査において、フレイルの概念の啓発と予防の啓発が盛り込まれました。この中でオーラルフレイルについても言及されています。健康診査が口腔機能低下症発見の機会になるとよいのですが、医科医師にどこまでそれができるのかという問題があります。 オーラルフレイル予防は75歳からでは遅い気がします。乳幼児期から小児期の口腔機能発達不全、大人になってからの口腔機能低下症に至るまで、シームレスに取り組む必要性を感じています。そんな話をするときに役立つのが、以下の3冊です。 「nico」2021年6月号 https://www.quint-j.co.jp/shigakusyocom/html/products/detail.php?product_id=4301 『スズキヒロキの食べるにこだわる高齢者義歯読本』(鈴木宏樹 著) https://www.quint-j.co.jp/shigakusyocom/html/products/detail.php?product_id=4250 『診察室でもぐもぐの発達を支える本子どもの成長にあわせた口と食、くせの観察・指導法』(大久保真衣 監修・著 ほか) https://www.quint-j.co.jp/shigakusyocom/html/products/detail.php?product_id=4452 このように歯科本を上手に活用して、医科の診療現場から患者さんの口腔の健康をサポートすることが当たり前のことにしていきたいです。

著者細田正則

ほそだ内科クリニック 院長・医師・医学博士

略歴
  • 1964年 米国ミシガン州生まれ
  • 1990年 京都府立医科大学卒業
  •     医師免許取得
  •     京都府立医科大学第三内科(現在の消化器内科)入局
  • 1998年 京都府立医科大学大学院修了 医学博士号取得
  • 2011年 ほそだ内科クリニック 開院
所属学会・専門医など
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
細田正則

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