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今だからこその感染管理 第1回 ハンドピースの特徴を把握しよう!

今だからこその感染管理  第1回 ハンドピースの特徴を把握しよう!
今だからこその感染管理 第1回 ハンドピースの特徴を把握しよう!
皆様こんにちは、柏井伸子です。
私は歯科衛生士として歯科医院にて予防業務を担当しながら、第二種滅菌技士として感染管理を研究しています。
きっかけはインプラント埋入手術時の血液飛散でした。
アシスタントの被曝と再使用するドリルの洗浄効果について、より確実に安全性を確保するにはどうすればいいのか、データを採取して確認しました。
今回から歯科医院での感染管理「あるある」について取り上げ、対処方法を検討していきます。
歯科医師から目の届きにくいところで、いかにスタッフさんが頑張っていらっしゃるか、ぜひご確認ください。

ます第1回に取り上げるのは、いろいろと話題になっているハンドピース(以下HP)についてです。
皆様の施設では、何本のHPを所有されていますか?
そして使用後はどのような手順で処理されていますか?
医療倫理からすれば、当然ながら個々の患者さんごとに滅菌されたものを使用するということが王道です。
しかしながら厚労科研「歯科ユニット給水システム純粋化装置の開発に関する研究」H28年度総括報告書によると、患者さんごとに交換・滅菌は52%、感染症患者と分かった場合交換・滅菌が17%、状況に応じ交換・滅菌が16%、消毒薬の清拭が14%でした。
この結果には2つの問題点があると考えます。
もちろん消毒薬での清拭では、汚染物が完全に除去されず、その汚染物の中に存在する病原性微生物も取り除くことはできないのですが、「感染症患者と分かった場合」という考え方も問題です。
平成18年に医療法が改正され、日本の医療施設では、全ての患者に対して同じ対応を行う「標準予防策」の遵守が求められており、また、自己申告してくださらないもしくはご自身が気づいていない患者さんもいらっしゃるため、不適切です。
では使用後のHP取り扱い時に注意すべき点は何でしょうか?
まず、お持ちのHPのボディの部分をチェックしましょう。
世界標準規格(ISO)で設定されている耐熱温度135℃が表示されています。

その横にシャワーからお水が降り注いているようなマーク(ウオッシャブルマーク)がついていれば、外側だけでなく内部も洗浄可能であることを意味しています。

HP処理の流れは、この内部洗浄が可能か否かで変わってきますので、故障を防ぎ長く使用するために必ず確認しましょう。
次回はHPの適切な取り扱い方の第一歩として、洗浄方法について考えてみましょう。

著者柏井伸子

歯科衛生士

略歴
  • 1979年 東京都歯科医師会付属歯科衛生士学校卒業
  • 1988年 ブローネマルクシステム(歯科用インプラント)サージカルアシスタントコース修了
  • 2003年 イギリス・ロンドンおよびスウェーデン・イエテボリにて4ヶ月間留学
  • 2006年 日本口腔インプラント学会認定専門歯科衛生士取得/li>
  •     日本医療機器学会認定第二種滅菌技士
  • 2009年 日本歯科大学東京短期大学非常勤講師
  • 2010年 上級救命技能認定
  • 2011年 東北大学大学院歯学研究科修士課程口腔生物学講座卒業口腔科学修士
  • 2013年 東北大学大学院歯学研究科博士課程口腔生物学講座入学
  • 2015年 ミラノにて3か月間臨床研究
  • 2016年 アメリカ心臓協会認定ヘルスケアプロバイダー
  • 2017年 上記更新
  • 2020年 WHO Confirmation of Participation Infection Prevention and Control (IPC) for Novel Coronavirus (COVID-19)修了
近著
「よくわかる 歯科医院の消毒滅菌管理マニュアル」
~無駄なく無理なく導入できる現実的な実践法~
書き込み式 歯科衛生士のための感染管理の基本
http://interaction-books-information.blogspot.com/2018/04/blog-post.html
柏井伸子

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