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アメリカと日本、歯や口腔ケアに対する意識の違い

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なぜアメリカ人はこんなにも歯を大事にするの?
アメリカと日本、歯や口腔ケアに対する意識の違い

なぜアメリカ人はこんなにも歯を大事にするの?<br> アメリカと日本、歯や口腔ケアに対する意識の違い
なぜアメリカ人はこんなにも歯を大事にするの?
アメリカと日本、歯や口腔ケアに対する意識の違い
沖縄県の南部、中頭郡(なかがみぐん)にある「アドベンチストメディカルセンター」で日々歯科診療に携わる先生と歯科衛生士さんに、アメリカ人と日本人の歯や口腔ケアに対する意識の違いや、矯正歯科の歯科衛生士さん事情などについてお話を伺いました。
今回は第1回目として、歯科医師のデラクルズシーボーグ 楓先生にお聞きしました。

患者さんに身近に寄り添えるのは歯科だけ

-最初に歯科医師になられた経緯について教えていただけますか 通常は、家族に歯科医師がいてというパターンが多いですよね。私の場合はそんな繋がりは全然なくて、ただ、高校生の頃に「医療関係の仕事につきたい」と漠然とは考えていました。ちょうどその頃、校内で「職場体験」というイベントがあって、私はたまたま歯科医院を選びました。そこで、先生や歯科衛生士さんが患者さんと楽しそうに話している姿や、義歯を調整して「これで痛くないわ ありがとう」と感謝されている姿を見て、「必ず“ありがとう”って感謝される仕事ってそんなにないよな、歯医者っていい仕事だな」とぼんやり感じたのが最初のきっかけでしょうか。 -なるほど、確かにそうかもしれませんね 歯を治すだけではなくて、この患者さんにはどんなご家族がいて、普段どんなことをされていて、どんなものが好きとか、そんなお話をするのが好きなんです。例えば、もし今日来院した患者さんが素敵なシャツを着ていたら、私は必ず「今日のシャツ、よくお似合いですね」と声をかけるでしょう。「実は孫からもらったのよ」と、その声かけをきっかけに会話が広がっていく。そんな患者さんとの触れ合いがいいなあと(笑)。その方が仕事していても楽しいじゃないですか! 痛みを比較的早く解決できたり、三度の食事を楽しんでもらえて、QOL向上のお手伝いができたり、患者さんの健康や生活に身近に携わることができる仕事は歯科だけなんじゃないかなと思っています。 -アドベンチストメディカルセンターに勤めるようになったのはどんなご縁からでしょう? 2015年3月に歯科大学を卒業して、今年で歯科医師9年目になります。大学は岐阜だったのですが、卒業後沖縄に戻ってきて県内の歯科医院で3年ほど勤務しました。その後「せっかく沖縄にいるのだから、国際的な環境で働きたい」という気持ちが芽生えてきて、それとなく前勤務医院の上司に相談してみました。するとたまたまその上司とこの病院に勤務する先生が知り合いで、歯科医師の空きが出た時に声をかけてくださったんです。 海外で働くのも悪くないと考えていましたが、今では、大好きな沖縄に貢献できて、得意な英語力も活かせる場所がこの病院なのかなと、とても充実した毎日を送っています。 沖縄県中頭郡にあるアドベンチストメディカルセンター 病院の隣に併設された歯科棟 病院からは海が近く、エメラルドグリーンの海が一望できる。

アメリカ人が歯を大事にする理由

-ところで、デラクルズシーボーグさんって珍しいお名前ですね。沖縄のご出身ですか? はい。沖縄生まれ沖縄育ちです。旧姓は大城(おおしろ)で、沖縄では比較的多い苗字です。実は「デラクルズシーボーグ」というのはアメリカ人の主人の名前です。アメリカでも珍しいというか、「デラクルズ」が生まれの母の名前で「シーボーグ」が育ての親の名前で、両方をつなげたと聞きました。だから、この名前はおそらく主人の親族しかいないので、世界に7人くらいしかいないと思います(笑)。 -アメリカにお住まいになったことは? 大学時代の研修や旅行で何度か訪れていますが、住んだことはありません。 -アメリカの方と日本の方で歯に対する意識の違いを感じることはありますか? アメリカの方はとにかく歯並びが第一ですね。沖縄にいるアメリカの方で歯並びが悪い人を見かけることはほぼありません。アメリカでは、子供の時からむし歯以前にまず歯並びをしっかり整えることから始まると聞きます。 この病院の近くに米軍基地があるので、その関係者や家族の方が来院されることが多いのですが、みなさん歯や口腔ケアに対する意識は高いですね。歯周ポケットの検査をしても、日本の方は3mm以上のポケットがある人がとても多い印象ですが、アメリカの方は3mm以下がほとんどです。それだけ日頃から口腔ケアを丁寧にされているのだと思います。 -なぜアメリカの方はそこまで歯や口腔ケアに対する意識が高いのでしょう? もともとの歯に対する考え方が違うということと、あとはやはりアメリカは医療費が高いので、できるだけ治療にならないようにケアする習慣が根付いているのだと思います。例えば、根管治療で10万円、その後にクラウンをセットすれば30万円と、アメリカでは1本の歯の治療にそれくらいのコストは平気でかかります。大学の海外研修でアメリカに行った時に、いろんな科を順番に見学するのですが、「お金がないので、今残っている歯をいっそ全部抜いてほしい」と懇願している人を見たときは驚きました。治療して補綴まですると数十万円かかるけど抜歯なら数万円でできる、というのがその理由だったようですが、「この国では歯をしっかりケアしないと、全部の歯なくなってしまうんだ」と非常にショックを受けたのを覚えています。そういう環境で育っている人たちですから、歯に対する意識はとても高いのもうなずけますよね。この病院に来院するアメリカの方も、皆さん状態が良いので6ヵ月か1年に一度の定期健診でだいたい済んでしまいます。

アメリカ人に入れ歯の人はほとんどいない

-ご家族にアメリカの方がいらっしゃると、歯に関していろんなカルチャーショックを受けたと思いますが、印象に残っていることは? そうですね。皆さんほとんどの方は歯がキレイで健康なので、まず入れ歯の人が見かけないことでしょうか。主人のお祖父さんも入れ歯は入っていなかったですね。お年寄りになっても自分の歯でしっかり噛んで、旅行に行っても家族と一緒に食事をなんでも食べられます。アメリカの方はライフスタイルをとても重要視していて、一緒に楽しく食事ができる空間を何より大事にします。そこは日本とは大きく違うと感じますね。 あと、料理を作るにしても日本の場合、「この人は固いものが噛めないから、専用の柔らかい料理を作らないといけない」とか、とくに高齢の方が食べられるかどうかを常に気にしますよね。アメリカの方はそういうことを一切気にせず何でも食べられるので、ある意味素晴らしいと思います。 -ご主人は日本に住んでおられて、日本人の歯並びの悪さや入れ歯の人が多いことについて何かおっしゃることはありますか? 「なんで気にならないのかな」ということはいつも不思議がっていますね。日本の方はネイルや髪型、あとシミやシワといったエイジングにはとても敏感なのに「歯は気にならないんだね」と常々こぼしています(苦笑)。たしかにそうかもしれません。

患者さんの生活まで診られるような歯科医師を目指して

-他に日本との違いを感じるところはありますか? この病院の近くに米軍基地があるのですが、基地内にスーパーマーケットがあって、その中にあるデンタルケアのエリアがとても大きくて驚きました※。フロスだけでも何十種類もあってズラッと棚に並んでいます。アメリカの方は電動歯ブラシを使う方が日本よりかなり多いので、そうした電動器具も充実しています。『ソニッケアー』ももちろんあって、日本のように大きな家電量販店に行かないと買えないということはありません。この病院に来るアメリカの患者さんに「この部分はこんな感じに磨いてください」と指導すると「エレクトリック(電動歯ブラシ)だけどいいの?」と聞かれることも多いですね。そうした機能的なデンタル用品が生活に密着していて、それを使うのが当たり前の環境なのだと思います。 ※米軍基地内の施設には関係者以外立ち入ることはできません。 インタビューでは、自宅でお使いの『ソニッケアーパワフロッサー3000』を使用感についてもお話いただいた。 -そうした環境を身近にご覧になって心境の変化はありましたか? アメリカでは歯が良い状態をキープすることがスタンダードなので、日本でも同じようになってくれたら嬉しいなとは思いますね。沖縄ではむし歯の子どもが多くて、毎日そうした子どもたちと向き合っていますが、まるで“いたちごっこ”でなかなか解決の糸口がつかめないのが現状です。 例えば、ひどいむし歯の状況の時に「残念ながら抜歯しか選択肢がない状況です」とお伝えすると、意識の高い方は「どうにかならないですか?」と悲観されますが、沖縄では「あっ、そうですか」と無関心な人がまだ多くて、こちらが拍子抜けしてしまいます。この歯を抜いてもかまわないということは、残っている他の歯に対しても大事にしようという気持ちが薄いのかなと、悲しくなります。「意識を変えるのは本当に難しい」と感じる毎日ですが、めげずにこれからも元気に明るく指導していきたいですね。 -最後に、これから目指す歯科医師像をお聞かせください 歯や口腔だけでなく、その人の生活まで診られるような歯科医師になりたいです。どんなご家族と住んでいて、どんなことに興味があるのか、人と人との触れ合いを大事に、「歯医者に来て良かったな」と思ってもらえるような雰囲気づくりや歯科医療にも取り組んでいきたいです。行きたくないところに行くことって足が遠のくじゃないですか。「ここが磨けていませんからこうしてください」と指摘するだけでなく、「ここがとても上手に磨けていますね。どんなふうにケアされているのですか?」と評価の言葉を添えるだけで、「この先生はきちんと診てくれているんだ」と患者さんの受け取り方も変わってくると思います。この病院の歯科衛生士さんは皆さんそうしたコミュニケーションの取り方が上手なので、私も真似させてもらっています。そして、患者さんには気持ちよく帰っていただいて、口腔ケアに関心を持ってもらうことで、歯が健康になってなんでも食べられるようになってくれたらとても嬉しいですね。 -楽しいお話をありがとうございました。 次回はお二人の歯科衛生士さんにお話を伺います。お楽しみに!

インタビュイー デラクルズシーボーグ 楓 歯科医師

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