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経営の視点から予防歯科を考える
~スタッフと患者さんに選ばれる
“グッド・サイクル”とは~ VOL3

2020/4/20 歯科医院経営

「グッド・サイクル」実現には予防歯科への注力がカギ

--予防歯科の現状と今後取り組む上で必要な考え方についてお聞かせください 村岡 予防歯科に関しては、これまでう蝕治療の介入時期や方法も歯科医師の経験や勘に委ねられている部分がありましたが、これからは様々な検査ツールを使ってデータをしっかり管理、数値化して患者さんにお見せして、そのデータをもとにコンセンサスを取りながら治療方法やメインテナンスの時期を決めていく必要があると感じています。当院ではそうしたシステムはまだ整っていませんが、モリタが提案する予防プログラム「Cresmile(クレスマイル)」は予防にシフトしたこれからの歯科医療のあり方を考えるうえでとても参考になりますし、これから予防に注力したいという若い先生方にも取り組みやすいのではないでしょうか。 廣田 保険診療だけで予防に取り組むのは難しいとよく耳にしますが、私は予防歯科推進派なので、歯科衛生士さんがメインになってチェアタイムを効率よく回せればうまくいくと考えています。村岡先生の実感としてはいかがですか。 村岡 実際問題として、都市部のクリニックの場合、予防を保険診療だけでカバーするのはなかなか難しいのではないでしょうか。現在では治療も保険診療だけでは経営が難しくなっています。そのあたりはある程度バランス良く自由診療も取り入れていく必要があるでしょうね。 廣田 なるほど、確かにバランスは大事ですね。 村岡 前回お話しした"想い(理念)"についてですが、私はこの考え方は歯科衛生士さんにも当てはまると思っています。例えば、「一人前になったらホワイントニングを学びたい」とか、「MFTをやりたい」とか・・・。それらを実践することで、彼女たちが処置した効果や実績が患者さんからダイレクトに伝わってきますし、導入からケアまで自分で責任を持ってできるわけです。当院では、歯科衛生士さんにそうしたモチベーションを高めてもらうために「マタニティコース」とか「ブライダルコース」「サラリーマン口臭コース」などのネーミングをつけて取り組んでもらうようにしています。これがすべて利益に繋がるかというと確かに難しい部分もあります。 ただ、私がよく例に出すテーマとして「鴨南蛮」の話があります。お蕎麦屋さんの鴨南蛮って実は赤字らしいんです。実際、鴨南蛮の美味しい粋なお蕎麦屋さんはなかなかありません。それを「赤字覚悟で本当に美味しい鴨南蛮を出すお店があったら」と考えたとき、「歯科医院にもそんなところが一軒くらいあってもいいよね」と思ったんです。すべてのメニューで利益を出そうとするから苦しいのであって、プラスマイナスがあってもトータルでマイナスにさえならなければいいという考え方です。1月や2月は寒くて診療日数も少ないので売上は落ち込みますよね。そのとき私も落ち込むこともありますが、「こういう厳しい時期もあるけど逆にいいときもある」と年間を通して考えることで気分も楽になります。そういうバランス感覚は実はとても大事だと思うのですが、いかがでしょうか。 廣田 「歯科医院におけるグッドサイクル」という図(図3)をご覧いただきたいのですが、「潜在患者さん」が「見込患者さん」に変わって、その後「既存患者さん」として来院する。その患者さんが定期的に来院する「固定患者さん」へと変わって、最終的にはそのクリニックの「ファン」となって、口コミや評判を拡散してくださるという理想的なサイクルを示しています。 図3 歯科医院における「グッド・サイクル」 選ばれる理由「ブランド」を身につけることで、良い循環が生まれる。 皆さんもご存知の通り、昔の歯科医院の場合、人口増加に歯科医院の数が追いついていなくて、クリニックどうしの競争も現在ほど激しいものではありませんでした。院内は常に患者さんで溢れていましたから「痛くなったらまた来てくださいね」というのが決まり文句です。しかし、今後はそううまくはいきませんから、ファンを作っていくサイクルにシフトしていかないと医院経営は間違いなく難しくなると思います。なぜなら、新規の集患に注力すると通常に比べて約5倍のコストがかかると言われているからです。たしかに新たな患者さんに来院いただくためには、ホームページの整備や案内用のパンフレットなど、認知していただくためのツール整備が必要となり大きなコストが発生します。それに対して、既存患者さんのフォローに注力する場合、新規集患の5分の1のコストで済むわけです(「1:5の法則」図3参照)。 予防歯科はまさにこの部分に該当しますから、定期的なメインテナンスに来院してくださる患者さんに、もし治療の必要が出てきたとしてもそのまま来院していただくことになり、コストはかからないことになります。さらに、患者さん離れを5%改善することで25%以上の利益率が改善されるのです(「5:25の法則」図3参照)。ですから、ビジネスとして予防歯科は理想的なテーマだと私は考えています。 経営の視点から予防歯科を考える
~スタッフと患者さんに選ばれる"グッド・サイクル"とは~ VOL1
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