術者(Dr・DH)と小児患者の関係は、次の4パターンがある。(図1) 術者(Dr・DH) 小児患者 治療の状態 1: 得意 協力的 円滑な治療 2: 得意 非協力的 治療可能難 3: 苦手 協力的 治療可能 4: 苦手 非協力的 治療困難 1のパターンは、円滑に治療が進む。 2のパターンは、小児は非協力だが術者が得意なので、治療が可能である。 3のパターンは、術者は苦手だが小児が協力的なので、なんとか治療が可能だ。 しかし4のパターンは、泣いて暴れて大騒ぎとなる。 では、どの様にすればスムーズな診療が可能となるのだろう? さて、今にも泣きそうな小児がいたとする。 この小児を協力的にするには、次の2つのパターンが考えられる。(図2) ①治療に対し協力的になるまでトレーニングをする。 ②術者が少しでも上手になる もちろん①は重要だが、少々時間がかかるかもしれぬ。 また、その間に齲蝕が進行する可能性もある。 そう考えるとは、術者が慣れていない場合、小児がトレーニングでお利口になるのを待つより、まずは少しでも上手になる方が近道となる。(図3) そのためには、協力的であっても、非協力的な小児だと思って対応する。 すると徐々に術者のスキルも磨かれ、どんな小児にも対応できるようになる。 小児を変えようとすれば、先に術者自身が変わる必要があるのだ。 さて、筆者が小児歯科に入局した頃、毎日のように小児に泣かれていた。 泣かれたまま治療を終えると、次の来院時まで忘れていたいと思う。 しかし対策もたてないと、次もやはり泣かれる。 そのためには、予習が必要だ。 そこで、問題の小児が来院する前日の就寝時、処置の手順や言葉がけについてイメージトレーニングを行っていた。 「明日来たら、まずこの様にしょう!」「でも泣かれた・・・」 「それじゃこう言ってみよう!」「でも泣いている・・・」 「ではこうしてみては!」「それでもダメだ・・・」と入室から、麻酔、ラバーダム、形成、充填、退室まで延々と考え、気がつけば外は明るくなっていた。 でもこのようなイメージトレーニングを行い、診療に望むと予想したほど泣かなかった・・・。 考えに考えた方法の、どれかが小児にヒットしていたのであろう。(図4) 次回から、この点について触れることにする。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
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人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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