前回の「解雇予告と解雇予告手当」に続いて、今回は「解雇制限」についてお伝えします。 【解雇制限とは】 一定期間の解雇を禁止する規定です。 この期間として、次の2つの期間が定められています。 (労働基準法第19条) ①業務上の傷病により休業する期間とその後30日間 ②産前産後休業をしている期間とその後30日間 【解雇制限の対象にならないもの】 ①私生活でのケガや病気 ②通勤途上によるケガ 【解雇に必要な合理的理由】 解雇するためには客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当であると認められる(労働契約法16条)必要があります。 【客観的に合理的な理由とは】 判例からおおむね次のような事由とされています。 ③労働者の身体、または精神に疾病や障害などがあり、業務に堪えられないと認められるとき ④業務遂行能力がないと認められるとき(能力不足) ⑤出勤不良であると認められるとき ⑥協調性に欠け、他の従業員とうまく仕事をすることができないと認められるとき ⑦企業秩序違反が認められるとき ⑧業績不振などによる経営の悪化により人員整理が必要であると認められるとき 【社会通念上相当とは】 社会通念上相当かどうかについては、労働者の行った行為や状態と解雇処分とのバランスを指しています。 例えば、労働者の行為が軽微であるにもかかわらず解雇を行った場合や、解雇処分を行う以前に使用者側の注意、指導、教育や管理面での配慮が欠如していた場合などは、社会通念上相当とはいえないことになります。 【解雇理由の立証責任】 裁判等において解雇が有効かどうかを判断する場合、医院側に立証責任が生じます。 具体的には、解雇に至る経緯を時系列で記録し保存が必要です。 ①注意した事項 ②指導の内容 ③指導後の結果 例) 院長の日報に問題発生の事実・注意、指導の事実等を書き留めておく。 問題発生時に報告書や顛末書などの書面を作成させ保存する。 【最後に・・・】 解雇・退職に伴うトラブルは医院経営において最も費用と労力を必要とするトラブルのひとつであり、特に突然の解雇はトラブルの発生率が非常に高いものです。 トラブル回避のために日頃からスタッフとのコミュニケーションをとり、問題発生時には迅速に対応し履歴を残すことを心がけてください。
著者税理士法人今仲清事務所
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上:是洞健(これとうたけし)
左:清水麻聖(しみずまさと)
右:吉川知宏(よしかわともひろ)
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