私達にとって“見通しを持ち行動する”ことはとても重要だ。 朝、何分かけて駅まで行き、何時に歯科医院に入り、今日はどんな患者さんが来院するか・・、どのようにしたら効率よく仕事ができるか? 昼休みには何を食べ・・・・・、何時まで働いて・・・・、休日は友人とどこで会お、何の映画を見に行こうか?・・・・など、常に見通しを持って行動している。 もし、この見通しがなければどうなるだろう? 平穏な社会生活を送ることは困難だ。 こう考えると、いかに“見通しを持つこと”が重要かがわかる。 続けて、想像していただきたい。 読者は見知らぬ国へ行ったとする。 そこは未開の地で、まったく言葉が通じない。 しかも誰もが、緊張した顔をして読者を見ている。 どうやら、どこかに連れて行こうとしているようだ。 逃げようとしたら、取り押さえられて、台の上に無理やり乗せられた。 きっと読者は、恐怖のためパニックに陥るに違いない。 大声を出して叫び、暴れまわる寸前の状態だ。 でも、その中の一人が笑顔で握手を求められたらどうだろう。 きっと、好意的であると感じ、安心するはずだ。 さらに身振り・手振りでコミュニケーションを求められたら、同じ方法で答えようとする。 さらに絵や写真を示されたら、言葉が通じなくても、これから何をするかがわかり落ち着きを取り戻す。 初診の子ども達も、まったく同じことを感じているに違いない。 不安で泣き始める子ども達には、やさしい対応が必要だ。 さて自閉的な子ども達にTEACCH法と呼ばれる、視覚支援の方法がある。 あらかじめ絵カードや写真を見せ、これから何を行うかを伝え、見通しを持たせる方法だ。 これは、障害の有無に関わらず、不安を持つ子ども達にもたいへん有効である。 次回は、実際の例について述べてみよう。 続く 参考:岡崎好秀.小児歯科診療最前線! 子どもを泣かさない17の裏ワザ.クインテンス出版,2014. https://www.shien.co.jp/i/BK05583
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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