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しくじり先生の小児歯科 その11 低年齢児の健診はknee to kneeの姿勢で行う

しくじり先生の小児歯科 その11 低年齢児の健診はknee to kneeの姿勢で行う
しくじり先生の小児歯科 その11 低年齢児の健診はknee to kneeの姿勢で行う
初診の2歳児。
母親が歯科健診とフッ化物の塗布を希望し来院した。
年齢から考えても、チェアーに上げると必ず泣き出すはずだ。(図1)

読者諸氏は、どのように対応しているだろう?

さて歯科医療従事者は、チェアーが診療を行う場所という思い込みがある。
すでに泣いている、あるいは泣き出しそうな低年齢児を、無理にチェアー上にあげると大泣きしてたいへんだ。

一方、1歳6か月児や3歳児などの乳幼児歯科健診では、術者と保護者が向かい合い座位(knee to kneeの姿勢)で行うのが一般的となっている。(図2)

口腔内が見やすいばかりでなく、体動も抑制することもできる。
これを診療室でも、もっと使うべきだと思う。
特に、処置のない低年齢児の健診や薬物塗布には有効だ。

さて、この姿勢にも、乳幼児の体動を減らすコツがある。
そのポイントを紹介する。(図3)

 
1.保護者は、子どもの股を広げ、頭を術者の方に向けて座る。
2. 保護者の肘で、子どもの太ももを固定する。
固定すると足をバタバタできない。
3.保護者は、子どもの手をとり、おなかの上で手をつなぐ。
胸の上で手をつなぐと、術者の動きの妨げとなる。
4.術者は、常に軽く子どもの下顎下縁に左手を触れる。
ここを触られると、子どもは起き上がることができない。(参考)

この姿勢を素早くとると、子どもが泣く可能性が減少する。
あらかじめイラストを描いておくと、保護者が分かりやすいだろう。(図4)


続く


参考:チェアー上で治療を嫌がり、仰臥位から首をもたげて起きようとすることがある。一度起きると、その度に寝かせなければならない。その度に力で押さえると、こどもはますます嫌がる。
そこで、常に左手で下顎下縁に軽く手を添え、起きようとしたら術者の手を硬くする。これだけで大人でも起きることができない。一度、診療室で試していただきたい。(図5)

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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