これまで述べてきたように、アシストタントの上手な言葉がけは、診療をスムーズに行う上で極めて重要である。 今回は、“言葉の繰り返し法”を紹介する。 例えば アシスタントは「今日は、ここまで何に乗ってきたの?」と子どもに閉じた質問したとする。 それを聞いた術者も「今日は、ここまで何に乗ってきたの?」と言う。さらにアシスタント「車? 歩いて来たの?」と質問すると 術者も「車? 歩いて?」と繰り返す。 また、アシスタントが「毎日、歯を磨いている?」と質問すると、 術者も「毎日、歯を磨いている?」と繰り返す。 子どもが頷いたら、アシスタントが「さすが~お利口だね。」と言えば, すかさず術者も同じ様に繰り返す。 こうしてアシスタントがリードしながら、術者と言葉のキャッチボールを行うのである。 術者が言葉がけをする余裕のない時、このようにアシストの言葉を繰り返すと診療が楽になる。 さて、交換期で触るだけでも抜けそうな乳前歯があるとする。 ここで、“歯を抜く”という言葉には気をつけなければならぬ。 小学校低学年の児童は、この言葉を異常に恐れるだ。 お利口な子どもでも、パニックに陥いることさえある。 では、どのような言葉を使えばよいのだろう? 筆者は、“歯をつまむ”という表現をしている。 また「“大人の歯が生えてきたい”と言っているから、この歯とバイバイしよう」などと言っている。 “歯を抜く”という言葉は、子どもには禁忌なのである。
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著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
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