麻酔時、刺入の瞬間に子どもが動き針が抜けた。 再度、麻酔をしようとすると嫌がってできない。 そこで、子どもの体を押さえると、恐がり泣き出してしまう。 読者は、どのような工夫をしているだろう? まず細い麻酔針を使い、痛点の少ない歯冠乳頭を狙う。 そしてゆっくりと麻酔液を注入する。 さらに自身の体の力を抜き、麻酔を悟られないようにするなどが考えられる。 ここまでできると仮定し、写真を見ていただきたい。これから麻酔をするとする。 さて、“術者が信頼されていない”のはどちらだろう 右は子どもの手がお腹の上にある。 しかし、左は胸の上だ。 胸の上の手は、“私に少しでも痛ければ、手で麻酔注射を振り払うわよ!”という意味である。 もし刺入時に、手で振り払われたら、注射針が眼や顔に刺さるかもしれぬ。 従って、左の方が信頼されていないことがわかる。 一度嫌がれば、二度と寝転んではくれない。 きっと、泣いて暴れてたいへんなケースになるだろう。 この写真は、これから大騒ぎになるか、簡単に治療を終えることができるかの分岐点なのだ。 そこでアシスタントの役割が重要となる。 刺入の前に、手をお腹に誘導し、軽く添えれば、この可能性は減るだろう。
この一瞬の動きがポイントだ。 手を抜いたために、後でたいへんな思いをするかもしれぬ。 あらかじめ予想される行動に、どれだけ先回りできるかが“泣きの予防”なのである。 続く
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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