小児歯科では、麻酔の刺入時に足をバタバタすることがある。 これでは、麻酔は打てないし、以後の形成もできない。 足をバタバタし始めると、押さえるのはたいへんだ。 また小児の足腰が横に曲がると、顔も同じ方向を向く。 横に向かれると麻酔や形成が困難になる。そこであらかじめ、アシスタントは子どもが足を伸ばし、手で大腿部を軽く固定する。
こうすると、体幹が曲がらないしバタバタできない。 以前も述べたが、暴れてから押さえるより、事前に先回りをすることが大切である。 これが“泣きの予防”である。 また、麻酔の前には、 「これから虫さんをやっつけるけれど、暴れないように虫さんを眠らせるからね・・・」 「いつつ(とお)数えたら、ブクブクさせてあげるから、その間は動かないでね・・・」 「ちょっと変な感じがするけれど、大丈夫だから・・・」 「虫さん眠らせる時、うるさかったら寝てくれないから、お声さん出さないでね・・・」 などの言葉をかけながら無痛麻酔を行う。 もし、声を出しそうになったら、アシスタントが指で“シーッ”というサインを送る。
さらに、刺入時の言葉がけが重要だ。 “アッ!”と思った瞬間に、「さすが~」で始まる“正の言葉がけ”を使う。 これで小児の気持ちを他に向ける。
その21 https://d.dental-plaza.com/archives/22979 このタイミングを逸すると泣き始める。 黙っているのは、泣くのを待っているようなものだ。 ここまで述べた刺入時の“手足の固定”や“言葉がけ”は同時に行う。 最初は、二つ同時に行うのは最初は難しいだろう。 しかし、身体と口が同時に動くことは、“泣きの予防”に対する武器が二つ増えたことになる。 いずれにせよ難しい小児ほど、上手にアシスタントを行わなければならない。 アシスタント次第で簡単な小児が難しくなったり、難しい小児が簡単になったりするのである。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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