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子ども時代の口腔環境を整えることが、健康な体を作る

子ども時代の口腔環境を整えることが、健康な体を作る
子ども時代の口腔環境を整えることが、健康な体を作る

−−生活習慣、食生活、遊び方…。現代の子どもを取り巻く環境は、昔と比べて大きく変化しています。子ども時代は、生涯にわたる体の基礎が作られる大切な時期。その子ども時代の口腔環境を整えることは、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
小児口腔育成の必要性を提唱する、株式会社アイルデンタル代表の小尾淳子さんにお話を伺いました。

昔と今では子どもを取り巻く環境が激変
近年、子どもの身体活動量低下、体力の低下、小児肥満の増加などの問題が多数報告されているように、最近の子どもは、昔に比べて体を動かす機会が減っていると言われています。
原因として考えられるのは、交通手段の発達により一日の歩数が減ったこと、外遊びの減少、テレビやゲームなど非活動的余暇時間の増加など。実際、近隣の小学校でも運動会の組体操や騎馬戦がなくなったり、実施されたとしてもずいぶん簡略化されたりしています。なぜかというと、子どもの体が硬くなって柔軟性が低下したために、少し負荷がかかるだけで骨折してしまう子どもが増えたからだそう。中には、転倒しただけ、ドッヂボールをしただけで骨折してしまう子どももいるんです。
また、以前なら考えられなかったことですが、成人特有の疾病を発症する子どもも年々増えていて、その低年齢化も進んでいます。
そのほか、歯並びが良くない、姿勢が悪い、集中力にかける、覇気がない…。最近の子どもたちに見られる様々な問題の要因のひとつに、先ほど挙げたことのほか、口腔の狭さがあると言われています。
口腔が狭いということは、あごの骨=頭蓋骨の一部の成長が不足しているということですが、それはつまり体全体の成長が不足している可能性をも含んでいるということ。口腔の狭さは歯並びが悪くなるという問題だけではなく、全身、そして成人後の健康上の問題の引き金になる可能性もはらんでいるのです。

口腔の狭さが引き起こす、様々なトラブル
まず、口腔が狭いと呼吸が浅くなります。子どもが健やかに成長するには良質な睡眠が欠かせませんが、口腔が狭い子どもは呼吸が浅くなりがちなので熟睡することが難しく、結果、睡眠中の成長ホルモンの分泌や自律神経の発達にも影響を及ぼしかねません。
また、呼吸が浅いと口呼吸をしがちになります。鼻呼吸と違い、口での呼吸は様々なアレルギー物質を直接体内に取り込みやすくなるため、病気になる確率が上がったり、アレルギーが発症しやすくなってしまったり…ということも考えられます。
こうした問題の起因となる口腔環境の低下は、食生活の変化などで咀嚼回数が減ったことも原因の一つ。ここ10~20年ほどで子育て世代にう蝕予防の意識が高まり、う蝕に悩む子どもの数はずいぶん減少しましたが、残念ながら口腔環境に関しては意識されること自体が少ない、というのが現状です。
口周りの発達は、ただ単に歯並びや見た目の問題だけではなく、子どもがよりよく生き、成長していく力にも深く関係している重要な事項。
そこに着目して開発したのが、小児口腔機能育成装置「Vキッズ」です。

独自の研究から、“口腔育成”の必要性を提唱
Vキッズは、米国でストレス学の権威に師事し、ルワンダで難民救助活動を行ってきた歯科医師、目良誠によって開発が始まりました。目良先生はルワンダでの活動時に、現地の子どもたちの惨状を見て、口腔育成から子どもの「生きる力」にアプローチができるのではないかと考えたのです。当時の歯科業界では口腔育成の概念が受け入れられませんでしたが、開業・診療の傍ら独自に研究を進め、Vキッズのベースとなる装置を開発。負荷をかけることで口腔の育成を促す「口腔育成」の考え方を確立しました。
その目良先生の遺志を受け継ぎ、現在私たちが製造・販売しているVキッズは、睡眠時に下の歯に装着するだけの小児口腔機能育成装置。装置自体に高さがあるので、装着するだけで噛み合わせに高さが出て、口腔が広がります。それにより舌の置き場ができるため呼吸がしやすくなり、良質な睡眠に繋がることが期待できるのです。また、使用は就寝時のみなので子どもにとって使用するストレスが少ないというメリットもあるほか、毎晩寝ている間にVキッズを噛みしめることであごの骨に継続的な負荷をかけられるので、頭頚部や体の基礎的な構造の成長をサポートすることにもつながります。

子どもにも母親にも負担をかけないことを重視
こうした装置は子どもが嫌がらず、痛みを感じることなく継続的に使えるものであることが大前提。子どもに負担をかけないものを、という信念のもと開発されたVキッズは、装着した瞬間から子ども自身が呼吸の楽さを実感できるため、これまでに子どもが装着を嫌がった、という話はひとつも届いていません。もちろん、装置を使わず口腔体操やトレーニングで口腔を広げることも可能ですし、そのための様々な取り組みやアプローチもありますが、それを続けるには母親が意識を高く持つことと、子どもが日々努力し続けることが必要になります。働く母親が増えた現代において、そのための時間を確保するのは難しいこと。その点、Vキッズは子どもが自分で装着も管理もできるので、母親の負担が最小限で済むというのも現代のニーズにマッチしています。
実際に使用した方からは「朝の寝起きが良くなった」「いびき・歯ぎしりがなくなった」「姿勢が変わった」「口もとが引き締まって横顔の印象が変わった」「子どもが進んで装着してくれるので、手間がかからず助かった」など、たくさんの声をいただいています。

Vキッズ導入により、歯科医院にもメリットが
Vキッズは完全オーダーメイド。始めるためには歯科医院で上下の歯の型を採り、およそ6か月~2年の使用期間中も成長に合わせて調整するため、定期的な来院が見込めます。乳歯が生えそろう3歳から始められるVキッズは、今までアプローチできなかった低年齢からの囲い込みができるというメリットもあります。
また、昨年の診療報酬改定により、小児口腔機能管理が加算対象となったため、今後、口腔育成の必要性はさらに取りざたされ、意識が高まっていくと思われます。
歯科医院は、健康な子どもが来院する医療機関の1つ。その歯科医院が子どもの成長や健康にアプローチすることで、様々な健康上の問題を未然に防ぎ、改善する。それこそが、歯科の領域を広げる可能性を持った「口腔育成」の概念であり、それを実現するのがVキッズなのです。
株式会社アイルデンタル http://iwilldental.com/

著者松下 陽子

大阪市在住。
2000年よりライターとして活動、2004年フリーランスに。
雑誌・広告・Webメディアなどで美容・健康に関する記事を執筆。
松下 陽子

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