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まほろばの地、奈良から
子どもたちの幸せな
成長を願って ー後編ー

2019/8/9 臨床ライブラリ

Vol.1に引き続き、“あなたの心に幸せの種をまく”がモットーの歯科医院「ならまちワンネス歯科」の院長である西塔治(さいとうおさむ)先生に、口腔育成のメリットや医院での取り組み、口腔育成装置Vキッズの効果についてうかがいました。

ならまちワンネス歯科 西塔治院長

口腔育成は何歳から?

実際上、お母さんが子どもを歯並びの問題で歯科医院に連れて来られるのは、永久歯が変なところから生えてき出した6歳以降のことが多いですから、あらゆる年齢に対して行うのですが、原則としては3~5歳をターゲットとしています。その理由は乳歯が生え揃うのでVキッズが使えることと、子どもが自立して歩けるようになる年齢なので新奇性との絡みで指導がしやすいこと、子どもと直接のコミュニケーションがとれ始めることなどです。3歳までは意欲性が育つように、脳の中で出来るだけたくさんのシナプスが構築できるように、主に運動発達の観点から観察・指導を行います。
当院では理想的には3歳からVキッズを開始し、約2年間を目安に観察・調整をしながら心身の基礎構造を作ります。その上で次にT4Kなどのトレーナーやマイオブレースを主に使用して、口腔周囲の機能のトレーニングをしつつ、さらなる顎骨の発育とそれなりに整った歯列の獲得を目指します。子どもたちは口唇閉鎖や鼻呼吸が出来ない、舌が上に挙がらない体の構造をしているから出来ないのであって、それを機能のトレーニングによって構造を作ろうというのはあまりにもハードルが高すぎます。これがマウスピース型矯正装置とMFTによる機能矯正システムの根本的な欠点だと気づいたわけです。

口腔育成のメリット

口腔育成は歯並び治療ではありません。開始年齢さえ早ければ顎骨はそれなりの発育を見せ、歯もそれなりに並ぶでしょう。要は歯を並べるのではなく、歯が並びやすい状況を作るわけですが、Vキッズ単体でそこそこの歯列になるかどうかはケースバイケースと言えます。ただし、Vキッズによる育成を行った後に行うどのような矯正治療もそのハードルが非常に低くなることに気づかれることでしょう。当院では主にトレーナーを用いますが、その装着率は以前に比べて格段に高く、本来の効果が出やすくなっています。何よりも重要なことは、口腔育成の効果は心身全般に及んでいるため、子ども全体の発育の底上げが行われた状態で歯列矯正に入ることが出来る点です。そう考えると、慌てない矯正と称して歯並びだけ整える従来の矯正治療は考え直す必要があるのではないでしょうか。
次に、口腔育成によりその子の持っている100%の発育を目指しますので、虫歯や歯周病、顎関節症などの歯科疾患の予防だけに留まらず、全身の健康状態がアップします。これは将来、成人になり老化していく過程で生じるかもしれない様々な心身トラブルをも予防できると考えています。つまり究極の予防法とも言えるでしょう。介護の問題への対応も現実問題として大切ですが、その大元を断つという意味において口腔育成の意義は非常に大きいと考えています。
最後に、女性スタッフがほとんどの歯科医院において、皆がやりがいをもって仕事ができ、またやりたい仕事がある医院であるために口腔育成はとても有効です。皆が意欲をもって学びますし、医院の雰囲気が変わること必定です。今、問題となっている求人難のひとつの解決策としても有効かもしれません。

リグロキッズ(運動遊び)を始めたわけ

口腔育成をやっていると、どうしても壁に当たってしまいます。それは赤ちゃんが自立して二足歩行するようになるまでは口が脳を含めた全身の成長を先導するのですが、歩き出すと、しっかりした体幹の上に口腔機能が成り立つという側面が出てくるからです。今のお子さんは寝返りをほとんどしなかったとか、ハイハイせずにいきなり立ったとかいうことが多いので、体幹がしっかり成長しないまま見かけ上はそれなりに過ごしている。これではきちんとした口腔機能の発達は望めないわけです。熱心な保育園では誕生から立つまでの運動発達を再学習させるということをやっていますが、皆が皆そうではないし保育園に通わせていない保護者もいらっしゃるので、たまたま持ちビルの1階に空きスペースもあり、何とか自院でそこに取り組めないかと考えたのがリグロキッズです。
これは鹿児島で療育をされておられる運動療法士の中鶴真人先生に教えて頂いたアダプテーションという考え方を元に、受付と助手スタッフ2名が熱心にやってくれています。本来なら寝返りやハイハイのような運動で良いのですが、それだと面白くありませんから、“仕掛け(意図)”のある遊び場を組むわけです。まだ始めたばかりなので何とも言えませんが、少なくとも子どもたちは楽しんでいるし、順番をきちんと待っている我が子を見て驚かれるお母さんも少なくありません。グレーゾーンと呼ばれる子どもたちが増加している中で、このアプローチは非常に有効であると考えています。うちではたまたま広いスペースが余っていましたが、要は考え方とアイデアひとつなので、院内の少しのスペースでもあれば、工夫次第で子どもの発育に対して何か出来ることはあると思います。

口腔育成の実際の効果

挙げだしたらキリがありませんが、何よりもまず子どもが元気になります。しっかり眠れることでオネショやイビキはなくなり、寝相も良くなって結果的に母親もぐっすり眠れる、朝ぐずっていたのがなくなり朝ご飯をしっかり食べるようになったという感想も多いです。身体面では比較的早期に身長が伸びます。これはその月齢での本来の身長になったということですが、何もしなければこの身長差は体験値の差を生み出します。もちろん姿勢も良くなりますし、お口ポカンも減っていきます。心理面・行動面ではよく喋るようになったり、落ち着きも出てきて表情も豊かになります。運動面では心肺機能が高まるために歩いたり走ったりしても疲れなくなる、躓いたり転んだりしなくなります。
以上は僕も含めて実際に口腔育成に取り組んでおられる先生方やスタッフ、そして子どもたちの母親の感想です。やれば必ず結果は出ます。ただし、我々はどうしても口の周りしか注目してこなかったので、少しトレーニングを積まないと子ども全般の変化には気づきづらいかもしれません。

症例1:初診時3歳8カ月

症例1:Vキッズ装着後1年2カ月

症例2:初診時3歳2カ月

症例2:Vキッズ装着後3カ月

最後に

先生方の小児歯科にかける思いは何でしょうか?
虫歯ゼロ? きれいな歯並び?
では親御さんの自分の子どもの成長に対する思いは何でしょうか?
それは健やかで幸せになって欲しいという願い。
では、当の子どもたちの願いは何でしょう?
もちろん小さな子どもが口に出して言うことはありませんが、心の願いというか魂の願いというものがあるような気がします。
そしてそれは、生まれてきた目的、すなわち自分にしか見ることのできない景色を見て、自分にしか出来ない体験をして、自分にしか創り出せないものを創り出して、そして皆の幸せの役に立つ、ではないかと思うのです。
口腔育成は、子どもたちに“幸せに成長して欲しい”という願いのもとに行われます。
そのためには親御さんも含めた我々医療従事者も、幸せに日々過ごすことが大切なのは言うまでもありません。
子どもたちは僕たち大人を見て育つのですから。
もしかしたら口腔育成で一番変わるのは、我々歯科医療従事者かもしれません。

→前編へ
まほろばの地、奈良から子どもたちの幸せな成長を願って ー前編ー

ならまちワンネス歯科
https://www.naramachi-oneness.com/



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