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歯科衛生士に対する適切な新人教育とは?
重要性や具体的な制度まとめ

2019/9/4 歯科医院経営

厚生労働省が指定した養成機関で3年間の専門的な教育を受け、国家試験に合格した歯科衛生士は、歯科系の専門職として責任のある仕事を行っています。しかし、新人の歯科衛生士は現場の経験が浅いためわからないことが多く、最初の段階では特に手厚い新人教育が必要です。歯科衛生士に対する適切な新人教育とはどのような内容になるのでしょうか。ここでは、新人歯科衛生士教育の具体的な内容やその重要性について解説します。

1.歯科衛生士の仕事

歯科衛生士は、多くの人々の歯科疾患を予防し口腔衛生を向上させるために、口腔や歯に関する健康のサポートを行います。歯科医院に行くと歯科医師のサポート役として、患者の近くでさまざまな診療補助をしている歯科衛生士の姿を目にすることができます。また歯科衛生士の仕事の現場は、街の歯科医院にとどまらず、大学病院や市町村の保健センター、老人介護施設や口腔ケアセンターなど多岐に渡ります。さらに、小学校や幼稚園、保育所などで正しい歯磨きの仕方を指導するなど、歯科衛生士の活躍の場は広がっています

1-1.具体的な仕事内容

歯科衛生士の仕事内容は、主に3つの業務に分けられます。以前は、虫歯ができた患者さんの歯の治療に関する業務が大半を占めていましたが、近年は虫歯になる以前の予防処置や、虫歯にならないための保健指導の業務が重視される傾向があります。歯科衛生士の具体的な3つの業務の内容は、以下の通りです。 ・診察補助 ・予防処置 ・保健指導

<診察補助>

歯科医師の診療の補助業務を行います。具体的には、歯科医師が診療に使用する器具の準備や受け渡し、薬やレントゲンの準備などを行い、治療をスムーズに進める役割を果たします。さらに、歯科医師の指示のもと一部の医療行為も行うため、専門的な知識やスキルを身につけておく必要があります。

<予防処置>

虫歯になる以前の予防処置も行います。口腔内の疾病予防や虫歯予防のために歯や歯肉の状態を点検し、歯石や歯垢の除去や薬物の塗布などの専門的な予防処置業務を行います。歯石や歯垢を丁寧に除去することで、虫歯や歯周病の予防に繋がる業務です。さらにフッ素を塗布することで虫歯予防の対策となります。これらの業務には専門的な知識が必要になるため、歯科治療の専門知識を有した歯科衛生士の大切な任務となります。

<保健指導>

予防治療の一環として、幼稚園・保育所や小学校、地域の集まりなどに出向いて、適切な歯磨き指導や歯の予防に関する講習を行います。子供から大人まで、多くの人々が自分自身で虫歯や歯周病の予防を行えるように、正しい歯磨きの方法や虫歯に関する知識、セルフケアの方法などを指導します。

2.歯科衛生士への新人教育の重要性

歯科医院に通う患者側からすれば、入ったばかりの新人の歯科衛生士であろうとベテランの歯科衛生士であろうと関係ありません。経験年数にかかわらず、担当の歯科衛生士には適切な診察をしてもらいたいと考えるのは当然のことです。診療補助は人の口の中に接する繊細な仕事であるため、新人の歯科衛生士であっても責任を持って仕事に取り組む必要があります。だからこそ、国家資格を取得したばかりの新人の歯科衛生士に対しては、しっかりと教育を行うことが大切です。

2-1.実務的な研修が必要

一般的に、歯科衛生士は高等学校を卒業後、歯科衛生士を養成する専門学校や大学などに進学し、必要なカリキュラムを学習します。以前は2年間の学習期間を終えると国家試験を受験するシステムでしたが、2005年に制度が変更になり、現在は3年間の学習期間を終えて国家試験を受験できるようになりました。3年間の学習期間では、解剖学や生理学、病理学、衛生学など専門的な分野の知識を学びます。さらに、歯科医院や大学病院などの実際の医療現場で基礎的な臨床実習を行い、診療現場で必要とされる知識やスキルを習得します。しかしながら、3年間で学ぶ知識のほとんどは基礎的な机上の知識であり、実際の診療現場で求められる内容とは差があります。したがって、歯科衛生士になったばかりの新人に対しては、業務に必要とされる知識や実践的なスキルを教育する必要があります。

3.歯科衛生士への具体的な新人教育

新人の歯科衛生士をいち早く一人前の歯科衛生士へと成長させるために、歯科衛生士を受け入れた歯科医院は、適切な新人教育制度を設ける必要があります。優秀な歯科衛生士を育てることが、歯科医院の発展にも繋がるのです。さらに、新人の歯科衛生士を指導する先輩も、適切に指導することができるように一定の指導スキルを身につける必要があるでしょう。ここでは、新人の歯科衛生士の教育方法について具体的にご紹介します。

3-1.技術の向上

歯科衛生士が身につけるべき基本的な技術は、先輩歯科衛生士が指導しましょう。指導の際は、歯科衛生士教本を参考にしながら正しく教えるようにしてください。例えば、歯科衛生士の業務のひとつに、歯周プローブという器具を利用して歯周ポケットを検査する業務があります。歯科衛生士は歯周プローブの持ち方や固定方法、歯の形態に合わせた操作方法や測定方法を身につける必要があるため、先輩歯科衛生士が実技を交えながら指導する必要があるでしょう。場合によっては先輩歯科衛生士が患者役となり、明確な合格ラインを設定して合格するまで何度もテストを行うことが大切です。技術を身につけるためには、実践練習を繰り返すことが最も効果的です。

3-2.知識の習得

実際に臨床の現場で患者と接し始めると、3年間学校で学んだ内容だけでは対応しきれない場面に幾度となく出くわすこととなります。知識を深めるために、診療が終わってから勤務時間終了までの隙間時間を利用して講習会を開催したり、外部のコンサルタントを動員して研修を行うことが効果的です。また先輩歯科衛生士には、自らの経験を生かして、現場でしか学ぶことができない知識を新人の歯科衛生士に教育することが求められます。さらに、仕事の一環として新人歯科衛生士にセミナーの受講を義務付ける歯科医院もあります。新たな知識を習得できる環境を医院側が用意することで、新人歯科衛生士は積極的に学習する習慣を身につけることができるでしょう。

3-3.医院独自の教育

歯科医院にとって、人材育成は悩みどころのひとつです。しかし、歯科医院の経営の方向性にあった教育制度をしっかり設けておくことで、将来責任ある仕事を任せることができる一人前の歯科衛生士に育てることが可能です。まずは先輩歯科衛生士を中心としたスタッフ全員でミーティングを行い、歯科医院独自の教育内容を決定することが大切です。具体的に以下のような項目をピックアップして、歯科医院独自の教育カリキュラムを策定することをおすすめします。 ・歯式が書けるようになる ・綿線が巻けるようになる ・基本セットが組めるようになる ・レントゲンの現像ができる ・患者への気配り、適切な配慮ができる 場合によっては外部の経営コンサルタントを活用してもいいでしょう。一度制作したカリキュラムは常に見直しを行い、医療の状況に合わせた適切な内容を維持するよう定期的に更新することが求められます。

まとめ

新人の歯科衛生士に対する教育をどのように行えばいいのかわからず、実際には何も実施していない歯科医院が多いのではないでしょうか。一度自分の歯科医院の業務内容をきちんと見直し、病院経営の方向性に則した教育カリキュラムを作ることで多くのメリットを得ることができます。特に、新人の時からカリキュラムに沿った研修を定期的に行うことで、将来安心して仕事を任せることができる一人前の歯科衛生士にいち早く育つでしょう。歯科医院のスタッフ全員で積極的に意見交換を行いながらカリキュラムを作り、新人の歯科衛生士が戦力となるように、大切に育てていく気持ちをもつことが必要です。