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~退職勧奨する場合の注意点~

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勤務態度等に問題のある社員の対応方法②
~退職勧奨する場合の注意点~

勤務態度等に問題のある社員の対応方法②<br>~退職勧奨する場合の注意点~
勤務態度等に問題のある社員の対応方法②
~退職勧奨する場合の注意点~
こんにちは。弁護士の佐賀寛厚です。

前回から、「問題社員の対応方法」についてコラムを掲載させていただいています。前回のコラムでは、問題社員の解雇について、解雇が有効となる要件は非常に厳しいうえ、解雇が無効となったときのリスクが非常に高いというご説明をしました。

今回は、第2回目として、解雇ではなく、退職勧奨する場合の注意点についてご説明します。

~目次~
 1無期契約社員(正社員など)の場合
 (1)解雇できるのはどのような場合か
 (2)退職勧奨をする場合の注意点
 (3)問題社員を退職させることができない場合の対応方法
 (4)具体的な問題社員のパターンごとの対応方法
 2有期契約社員(契約社員やパート社員など)の場合

●退職勧奨とは
退職勧奨とは、使用者が従業員に対して、自発的な退職の意思を形成するように説得することをいいます。

●強引な退職勧奨は違法となる!
従業員の自由な意思を侵害するような手段や態様で行われた退職勧奨は違法となります。具体的には、対象従業員が退職勧奨に応じない姿勢を明確に示した後も、執拗に退職勧奨を行う場合には違法になる可能性が高いです。また、懲戒解雇に該当する事実がないのに懲戒解雇がありえるとか、刑事告訴がありえるなどの説明をして退職を強要した場合、実際に対象従業員が退職届を提出したとしても、当該退職の意思表示を取り消される可能性があります。裁判例においても、例えば、業務成績が低い従業員に対して、退職勧奨をしたものの、自主退職はしない旨回答された後に、上司が、長時間にわたる面談をして、「いつまでしがみつくつもりなのかなって」「辞めていただくのが筋です」「懲戒免職とかになったほうがいいんですか」などの発言をして退職を求めたことが違法であると判断しているものがあります。また、病院の備品を故意に破損させて器物損壊罪で逮捕された従業員に対して、実際には懲戒免職に相当する行為ではないにもかかわらず、懲戒免職もありえることを示唆して行った退職勧奨が違法であると判断した裁判例もあります。

●退職勧奨をする場合に注意すること
①まず、退職勧奨をする場合、以下のような方法は避けてください。
・長時間にわたって説得をすること(1時間から2時間の説得が長時間にわたると判断された裁判例があります)
・高圧的な態度で臨んだり人格否定などに当たる言動をすること
・不正確な事実(噂レベルの話や憶測による話など)に基づいて説得をすること

特に、最近は、携帯電話でもすぐに録音できますので、説得の内容を隠れて録音され、後日、その録音データを証拠として退職を強要されたと主張されることが増えています(実際、上記1つめの裁判例では、録音データが裁判の証拠として提出されています)。そのため、退職勧奨にあたっては、客観的事実に基づき退職勧奨をする理由を端的に説明したうえで、対象従業員に一度持ち帰らせて退職勧奨を受け入れるかどうかについて検討する時間を与える方がよいです。なお、退職勧奨をする側も録音をしておくと冷静になれますので、ついつい感情的になってしまったり、長時間にわたってしまうのを防ぐことができます。また、後日、従業員から違法な退職勧奨を受けたと主張された場合の反論の証拠として使用することができますので、退職勧奨にあたっては録音をすることをお勧めします。

②次に、対象従業員が退職勧奨に応じない姿勢を明確に示した場合、上記のとおり、同様の方法により退職勧奨を繰り返すことは違法となるおそれがあります。そのため、退職に応じる条件を上乗せして再度説得をしたり(例えば、退職の時期を1、2か月遅らせて、その間は賃金を支払うが出勤させず転職活動をしてもらうとか、退職にあたって支払う一時金を増額するなど)、しばらく経った後に改めて退職の意思を確認するなどの方法をとった方がよいです。

●まとめ
以上のとおり、退職勧奨については、強引に行うと違法となるおそれがありますので、慎重に対応いただければと思います。

次回は、問題社員が退職しない場合の対応方法についてご説明します。

著者佐賀 寛厚

弁護士

  • 企業法務・労働事件を中心に幅広い業務に従事している。ヘルスケア業界特有の労働環境を踏まえた使用者側の弁護士として、紛争にならない・紛争になった場合に負けないような社内規程の作成を得意としており、また、問題社員・ハラスメント等に関する紛争対応を多く取り扱っている。
  • 弁護士法人檜山・佐賀法律事務所
  • HP: https://www.law-hs.jp/
  • 東京オフィス:東京都千代田区有楽町1丁目10番1号 有楽町ビル10階
  • 大阪オフィス:大阪市北区西天満2丁目6番8号 堂島ビルヂング6階
経歴
  • 2000年 洛星高校卒業
  • 2005年 京都大学法学部卒業
  • 2007年 京都大学法科大学院卒業
  • 2007年 司法修習生(第61期)
  • 2008年 弁護士登録、須藤・高井法律事務所入所
  • 2014年 きっかわ法律事務所入所
  • 2014~19年 京都大学法科大学院 非常勤講師
  • 2020年 檜山・佐賀法律事務所 開設
主要な取扱分野
  • 企業法務(人事・労務管理、契約書作成、紛争における交渉、コンプライアンス、その他法律相談全般)
  • 労働事件(使用者側、労働者側双方)
  • 不動産事件(明渡案件、非訟事件・訴訟事件など)
  • M&A・事業承継案件全般
  • 倒産案件、事業再生案件全般
  • 訴訟事件
所属
  • 大阪弁護士会
  • 経営法曹会議
佐賀 寛厚

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