明治維新以来、日本は大きく発展を遂げてきた。 その最大の理由は何だろう? (図1) まず、日本人はまじめで勤勉であることがあげられる。 それに、教育レベルが高く、技術力があり"もの作り"に優れている。 そして車や電化製品などを製造し輸出する。 さて筆者は、30年来モンゴルで歯科保健活動を行ってきた。 この間、社会や食生活の変化をつぶさに見てきた。 首都ウランバートルの市内では、数年前まで隣国製の乗用車が多かったが、現在は9割までが日本車だ。 その理由を聞くと、故障が少ないし燃費が良いとのことだった。 我が国が、良い製品を作り続けてきたおかげである。 これが国家の信頼だ。 (図2) また現在、大草原に暮らす遊牧民の誰もが携帯電話を持っている。 たった10年前には考えられなかったことである。 電化製品や通信技術の発展が、世界中の人々の生活を大きく変えたのだ。 (図3) このように世界中の誰もが欲しがり、,売れるものを"世界商品"と言う。 (図4) ここでクイズを一つ。 "最初の世界商品"とは、いったい何だろう? 1:米 2:衣服 3:砂糖 (図5) 正解は"砂糖"である。 でも現在、簡単に手に入る砂糖がなぜ世界商品だったのだろう? かつて、甘い味の食べ物は、非常に珍しかった。 しかも中世の時代,砂糖は万能薬であったのだ。(注1) (注1):中世、イスラム医学は世界で最も進んでおり、砂糖は結核の治療など10種以上の効能があるとされていた。 でも砂糖が、どうして薬だったのか? 砂糖は、優れたエネルギー源である。 つい最近まで、誰もが慢性的な栄養不足でした。 しかし砂糖を摂取するとり血糖値が上がり元気になる。 現在、砂糖はむし歯や肥満の原因になるため悪者にされがちだ。 しかしながら、世界では9人に1人が飢餓で苦しみ、1分に17人が亡くなっている。 飢餓で苦しんでいる人々にとって、砂糖の過剰摂取は考えられない問題なのだ。 さて幕末の時代、世界の列強国は日本を植民地にしようとしていた。 しかし、それを免れた理由の一つに砂糖があるという。 (図6) そこで次回より、"砂糖の歩んできた道"について述べよう。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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