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砂糖の歩んできた道 その5

2020/1/16 デンタル〇〇デザイン

砂糖や綿花プランテーションで莫大な富を得た人々は、イギリスで上流階級の暮らしを手に入れた。同時にその富が、後の産業革命の資金につながっていく。


ところで、イギリスと言えば紅茶を思い浮かべる。
当時、紅茶に砂糖を入れて飲むことが上流階級の証であった。
しかし、かつては中国から緑茶を輸入していた。
インドに紅茶が登場したのは、19世紀以降のことである。(注1)
17世紀初めまで、茶は薬屋で売られていた。

オランダの医学書には、
「茶を用いるものは、その作用によってすべての病気を免れ、とても長生きができる。茶は偉大な活力をもたらすばかりでなく、頭痛や喘息、胃腸病にもかからない。」とある。(注2)
そこで、わずか100gで当時の人々の日当の何十倍もの値がついていた。
ちなみにインターネットで緑茶の効能を検索すると
"発がん作用抑制効果、食中毒予防、動脈硬化・脳卒中予防・血圧下降・血糖値低下・老化予防・胃腸の働きを助ける・口臭抑制・老化防止・・"などが掲げられている。

このような背景もあり、茶を飲むことは、王室での上品な習慣と考えられ、イギリスの上流階級に広がった。
"西の果てから来た砂糖"と"東の果てから来た茶"。
これを混ぜ飲むことで、最高の贅沢を享受した。

また、中国製の陶磁器で茶を飲むことが流行していた。
それらは中国や日本からなどから運ばれた。
大量の有田焼の磁器、そして柿右衛門の赤絵磁器なども海を渡って行ったのである。
現在、イギリスの陶磁器が有名であるが、それはこれをまねたものなのだ。


その後、プランテーションにより大量に輸入され、庶民にも砂糖を入れて飲む習慣が広がった。
しかも産業革命の時代、庶民は時間に追われる生活が始まった。
仕事の合間に、茶を飲んで一息つく。
この時代まで、飲み物でリラックスすることの習慣はなかったのだろう。
これが、イギリスで茶が良く飲まれる理由なのだ。

ちなみに他のヨーロッパ諸国では、茶ではなくコーヒーを飲む。
これはイギリスの植民地では、コーヒーの栽培が行われなかったためである。

さてイギリスは、中国から高価な茶を輸入したが、輸出するものがない。
これが莫大な貿易赤字を産み出し、戦争に繋がっていく。
続く


注1:現在世界の茶の80%は紅茶で20%が緑茶である。緑茶が飲まれるのは、中国、日本、台湾であり、他の国では茶と言えば紅茶を指す。

注2:医学論(1641年):オランダ ニコラス・ディクルス著