イギリスは、中国から高価な茶を輸入していたが、輸出するものがなかった。 産業革命前、イギリスの主要産業といえば毛織物を思い浮かべる。 しかし、寒い地域では重要があるが、蒸し暑いアジアでは必要ない。 当時、東洋と西洋ではどちらが豊かだったかご存じだろうか? 西洋と思われるだろうが、そうではない。 寒冷なヨーロッパの方が貧しかったのだ。(注1 当時のアジアは、豊かで衣食住に困っていなかった。 ヨーロッパから欲しいものなどなかったのである。 一方、中国からは茶の他にも、絹、コショウなども多量に輸出されていた。 そのため、イギリスは莫大な貿易赤字に陥った。(注2 さて18世紀末、イギリスは"あること"を考えた。 当時、インドはイギリスの植民地であった。 インドでケシの実を栽培し、アヘン(阿片)が採れたのだ。 それを中国に持ち込んだのである。 おかげで民衆は、麻薬中毒により身も心もボロボロになった。 それは官僚や軍隊までおよび、国は荒廃した。 今度は、アヘンで儲けた莫大なお金がイギリスに入ってきた。 おりしも産業革命で、多くの機械が発明され工業化が進んだ。 そこで中国は、アヘンの輸入を禁止した。 これがきっかけでイギリスと中国の戦争が始まった。 これがアヘン戦争である。(注3 イギリスは、最新鋭の軍艦と武器を持っていた。 そして砲艦外交で中国をねじ伏せようとした。 中国はイギリス艦隊に屈服し、多額の賠償金を支払い植民地となった。 その際、南京条約の締結により、香港はイギリスに割譲された。 1997年まで香港がイギリス領であったのはこのためだ。 注1:ヨーロッパが裕福になったのは、18世紀末の産業革命以降に工業化が進んでからである 注2:イギリスの代表的産業は毛織物であったが、温暖な中国では売れないため、極めて不均衡な貿易であった。中国は、銀本位制であり代価を銀で支払う必要があった。しかしイギリスは銀も枯渇していた。 注3:第1次アヘン戦争1840年~1842年
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
- 岡崎先生ホームページ:
https://okazaki8020.sakura.ne.jp/ - 岡崎先生の記事のバックナンバー:
https://www3.dental-plaza.com/writer/y-okazaki/