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受動喫煙と悪性疾患
論文から読み解く受動喫煙の害

2020/1/14 臨床ライブラリ

「正しい情報を見抜く目」をもちましょう!

私たちはテレビや新聞、インターネットなど、さまざまな方法で、多くの情報を入手することができる環境で生活しています。しかし、その情報の発信源はだれなの?その人は責任をもって発信しているの?医学的、化学的に検証され証明されたもの?第3者が評価しているの?(=論文になっているか?)、いわゆるなんちゃって論文(よくわからない雑誌に掲載されている論文)ではない?このような状況だからこそ「正しい情報を見抜く目」が大切です。 私は、日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本気管食道科学会認定医、がん治療認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本禁煙学会専門医を取得し、しっかりとした見識を備え、「不都合な真実」と題して講演会を定期的に行い、国民に正しい情報を提供し続けています。ぜひ、本書を活用していただき、多くの情報に惑わされず、自身のライフスタイルを構築してください。

①タバコ煙に含まれる発がん物質

タバコ煙に含まれるニコチン、ニトロソアミン類、活性酸素、多環芳香族炭化水素類、ダイオキシン類、金属(ニッケル、カドミウムなど)、放射性物質(ポロニウム210 など)には発がん性があり、受動喫煙は国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)によってグループ1「ヒトに対する発がん性がある」に分類されています)。一次喫煙で因果関係が指摘されている悪性疾患は、すべて受動喫煙でも発がんする可能性があります。とくに次項に挙げる悪性疾患は、受動喫煙と強い関連性があると報告されています。これらの研究の多くは、非喫煙女性がタバコ煙を家庭内で暴露された場合のリスク上昇を算出したものです。

②受動喫煙と関連する悪性疾患

a.頭頸部がん(鼻・副鼻腔、口腔、咽頭、喉頭) タバコ煙による鼻・副鼻腔、咽頭、喉頭の上皮への化学的刺激や機械的刺激などの直接刺激が、発がんに強く影響すると考えられます。1984年に副鼻腔がんに関して1.7~2.6倍の発症リスクがあり、2000年に上咽頭がんで2.47~3.28倍のリスクが上昇するとし、2012年には多くの頭頸部がん発症に受動喫煙が深く関与することが報告されています。 b.肺がん 1981年の受動喫煙と肺がん発症に関する報告以降は、家庭内での受動喫煙、職場での受動喫煙ともに肺がん発症リスクが有意に上昇するとした多数の報告があります。2004年に国際がん研究機関(IARC)は、受動喫煙と肺がんとの関係は確実なものと評価し、2006年に米国公衆衛生長官報告では1.2~1.3倍リスクが上昇、2008 年の日本の多目的コホート研究において、夫の喫煙本数20本/日未満で1.7倍、20本以上では2.2倍リスクが上昇とすると報告されています。 c.乳がん(閉経前) 近年、乳がん発症にタバコ煙が深く関与するとした報告がみられ、受動喫煙においては、2005年に日本の多目的コホート研究において2.6倍リスクが上昇し、2006年の米国公衆衛生長官報告において、リスクが1.5倍上昇すると報告されています。 d.子宮頸がん 1989年には、1.1~3.4倍の発症リスクが報告されています。 e.小児悪性疾患(白血病、悪性リンパ腫、悪性脳腫瘍) 米国公衆衛生総監報告書によると、妊娠前後の喫煙により急性リンパ性白血病で3.8~5.29倍のリスク上昇、悪性リンパ腫で5.7倍のリスク増加が報告され、脳腫瘍発症との関連性も指摘されています。

③その他、受動喫煙と難聴・小児中耳炎

2011年に、12~19歳の非喫煙者1,553例を検討し、受動喫煙に曝露された場合に、曝露されなかった群と比較して感音難聴の発症率が2倍高かったとし、2013年には、12~15歳の964例に対して出生前のタバコ煙への曝露について、曝露されなかった群に比べて曝露された群は感音難聴の発症率が2.6倍高かったと報告されています。『小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版』では、小児反復性中耳炎を「過去6か月以内に3回以上、12か月以内に4回以上の急性中耳炎に罹患するもの」と定義しています。そのリスク因子として、低年齢、起炎菌の耐性化、免疫能、生活・環境要因が証明されていますが、この中で環境要因としての受動喫煙が指摘されています。 *今回の記事は「知らなかった!からだに良いもの悪いものポイント20」より抜粋させて頂いております。 知らなかった! からだに良いもの悪いものポイント20 門倉 義幸・著 クインテッセンス出版