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歯科医院が開業に失敗してしまう理由とは?廃業の理由や経営を成功させるポイント

歯科医院が開業に失敗してしまう理由とは?廃業の理由や経営を成功させるポイント
歯科医院が開業に失敗してしまう理由とは?廃業の理由や経営を成功させるポイント
病院や歯科診療所でキャリアを積み、いずれは自分の歯科医院を持つことを夢見ている歯科医師の方もいらっしゃるでしょう。
開業時には、さまざまな壁がありますが、経営の采配次第で自分の理想とする医療を行い、収入額を高めることも可能です。

今回は、開業前に知っておきたい市場の動向、開業医師の平均年収、歯科医院を継続させるポイントなどについて解説します。

歯科クリニック市場の動向

歯科医師として開業を目指す上で、市場の動向を押さえておくべきです。 やみくもに開業しても、「患者さんが来ない」「業務がしんどい」といった事態に陥りかねません。 まずは、市場規模や開業率についてお伝えします。 厚生労働省が2019年に発表した「平成 29 年度 国民医療費の概況」の「表4 診療種類別国民医療費」によると、2017年の国民医療費は約43兆円。 この内、歯科診療医療費は約2兆9千億円でした。 現時点では年々増加傾向にあるものの、人口減少に伴い市場規模自体はいずれ縮小する恐れがあります。 同調査の「第5表 性、年齢階級、医科診療-歯科診療-薬局調剤別にみた国民医療費・構成割合・人口一人当たり国民医療費」によると、2017年の人口一人当たりの歯科診療医療費は以下の通りです。
年齢 歯科診療医療費(単位:億円)
0~4歳 445
5~9歳 1,234
10~14歳 728
15~19歳 617
20~24歳 807
25~29歳 1,022
30~34歳 1,231
35~39歳 1,466
40~44歳 1,872
45~49歳 2,016
50~54歳 1,916
55~59歳 1,944
60~64歳 2,198
65~69歳 3,038
70~74歳 2,722
75~79歳 2,450
80~84歳 1,796
85歳以上 1,499
40代以降で高まっていることがわかりますが、地域ごとの人口構成を踏まえ、市場規模を把握しておくべきでしょう。 歯科医院の開業率は、医療業界の中でも増加傾向にあります。 医師の人口は、1990年の約21万人から2016年の32万人に増えてきています。 2016年時点の医師を施設・業務の種別にみると、「診療所の従事者」かつ「診療所の開設者又は法人の代表者」が約7.2万人です。 つまり、約32万人中約7.2万人が開業医=21%の開業率となります。 一方で、歯科医師は1990年の約7.4万人から2016年の約10.4万人に増加しています。 人数の増加率だけをみると医師全体を下回りますが、施設・業務の種別にみると「診療所の従事者」かつ「診療所の開設者又は法人の代表者」は約5.9万人います。 つまり、約10.4万人中約5.9万人が開業歯科医師=56.7%の開業率であるといえます。 【参考】平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(表9 施設・業務の種別にみた歯科医師数) - 厚生労働省

開業歯科医師の平均年収・平均年齢

開業している歯科医師の年収や年齢について解説します。

平均年収

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 / 平成30年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」では、歯科医師全体の平均年収は約823.9万円であることが分かりました。 一般病院に勤める歯科医師の平均年収は1,242万円、歯科診療所勤務だと606万円、歯科診療所の院長なら1,186万円でした。 一方で開業歯科医師の平均年収は、中央社会保険医療協議会の「第21期医療経済実態調査(2017年)」によると643万円となっており、歯科医師全体の平均年収を約200万円下回っています。 一概にはいえませんが、開業歯科医師は、歯科医院を自身で自由に経営できる一方で厳しい競争環境にさらされるため、勤務医よりも低い収入となっているのではないでしょうか。

平均年齢

歯科医師が開業する平均年齢については、歯科医師のみの統計データは公表されていません。 日本医師会の調査によると、医師全体の開業平均年齢は約41.3歳といわれています。 【引用】開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査|日本医師会 また同調査によると、開業動機は「理想の医療の追究」(42.4%)、「将来に限界を感じた」(35.1%)、「経営も含めたやり甲斐」(26.3%)、「精神的ストレスに疲弊」(21.0%)となっています。 開業歯科医師の年収について、より詳しく知りたい方は下記を参照してください。 【関連】開業した歯科医師の年収はどのくらい?勤務医・他の医院との差や年収推移まとめ

潰れる歯科医院の特徴

「加齢で経営が厳しい」「後継ぎがいない」「院長が亡くなった」といった理由で廃業している歯科医院が毎年一定数います。 厚生労働省の「医療施設(動態)調査・病院報告」によると、歯科医院の廃業数は以下の通りです。 ・2015年10月~2016年9月:1,411(休業数は138) ・2014年10月~2015年9月:1,344(休業数は171) ・2013年10月~2014年9月:1,746(休業数は398) 歯科医院数全体は年々微増しており、新たに開業する歯科医院の割合の方が多いですが、廃業してしまう歯科医師の特徴を押さえ、対策を練っておきましょう。

人材不足

歯科医院に勤務する女性医師や歯科衛生士は、結婚や出産といったライフイベントで仕事を休業することもあるでしょう。 女性の社会進出が増えてきた昨今、女性スタッフの退職が経営に与える影響は大きいです。 欠員の後任を探すも、人材が見つかりにくく、規模を縮小せざるを得ない歯科医院もあります。 特に、北関東や中国・四国といった地方で人材不足に悩まされる傾向にあります。 規模縮小で売上が下がれば、比例して利益も下がるため、金融機関への返済や物件の維持費といったコストの支払いすら困難となります。

保険診療に偏った診療

保険診療では、国の定める診療点数によって、患者さんに請求できる医療費が決まります。 保険診療はあらかじめ金額が決まっているため、地域内での集患に限界が来た場合、保健診療だけでは売上を伸ばし続けることが難しくなるでしょう。 自由な価格設定をできる自費診療の割合を増やすことが肝です。 「第21回中医協医療経済実態調査(医療機関等調査)結果報告に対する見解」に記載されている、個人歯科診療所の医業収益に対する「その他の診療収入」(自由診療等)の占める割合は、2014年で12.5%、2015年で10.9%、2016年で10.9%と、10%代を推移しています。 裏を返せば、9割近くを保健診療に依存している現状があると言えます。

新規顧客の獲得不足

患者さんは、新規と既存に大別されます。 新たに開業したばかりの歯科医院の場合は、新規の患者さんを獲得できるチャンスが多くあるかもしれません。 そもそも存在を知られていないからです。 開業から年数を重ねていくと地域の住民に存在を知られていきますが、積極的な広報活動を行わなければ、周辺地域以外の住民に存在を知られず、新規患者の獲得数は自然と下がるため、売上の低下につながりかねません。

歯科医院を継続させるためのポイント

開業から順調に売上を伸ばして、歯科医院を継続して経営するためのポイントをご紹介します。

人材不足の解消

歯科医師や歯科衛生士といった有資格者の人材確保は、年々難しくなっています。 人材を確保するための対策は次の通りです。 ・人材紹介(人材派遣)サービスを利用する 複数の採用チャネルを持つことで、広い人材市場から募集できます。 ・スタッフから紹介してもらう(リファラル採用) 既存のスタッフと縁のある方を紹介してもらいましょう。 採用時や試用期間終了時に、紹介料として報奨金をお支払すると紹介につながりやすいです。 ・人材募集サイトでスカウトメールを送る 人材のリストを直接見ながら適任となるスタッフを見つけ、スカウトメールを送ってみましょう。 ただし、メールへの返答率は低く、1~2割だと言われています。 根気よくスカウトメールを送ってみてください。

自費診療を伸ばす

保健診療だけではなく、自費診療の売上を伸ばしましょう。 自費率の高い歯科医院の共通点は、設備や広報活動の充実です。 設備面では、自由診療専用の個室、歯科診断用CT、CAD/CAM 装置のある技工所との業務提携、カウンセリング担当者の設置といった施策を行います。 広報活動では、院内情報誌の提供、ハガキや手紙による定期予防検査の通知、ホームページの開設、キッズクラブでの定期集会の開催などが挙げられます。 このような施策を行う前に、自由診療メニューの多様化、歯科医院の情報提供ツールの充実、自由診療の説明ツール、カウンセリング方法の確立、カウンセリングコーナーの設置なども必要となるでしょう。

患者数を安定化させる

前述では、新規患者の重要性をお伝えしましたが、同時に既存患者の安定的な来院も重要です。 「口コミの活用」と「医院の情報発信」を行いましょう。 既存患者さんの顧客満足度を高めることで、安定化につながるだけでなく、周りの友人や家族に口コミで広めてもらいやすくなります。 SNSで拡散されれば、新規患者の獲得につながる可能性もあります。 医院の情報発信では、医院の方針や診療の特徴、スタッフの顔ぶれなど、医院の露出機会を増やしていきましょう。 歯科医院の存在を知ってもらうことや、雰囲気を見せることで親近感を沸かせ「ファン化」させることができます。

開業を目指して準備を進めよう

開業には、数千万円単位の初期投資が必要となります。 一生に一度の挑戦にもなるかもしれません。 市場環境を見極め、集患につながる施策を行っていきましょう。 【歯科開業支援コンテンツ】OneToOne Club

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