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経営の視点から
予防歯科を考える
スタッフと患者さんに選ばれる
“グッド・サイクル”とは VOL2

2020/4/6 歯科医院経営

スタッフと患者さんに選ばれるためには まず院長自身が「精神的な豊かさ」を手に入れること

--これから歯科医院を経営していくうえで必要な"心の持ち方"があればお聞かせください 廣田 私は医院経営において、「スタッフと患者さんに選ばれる」ためにはブランディングが必要と考えていて、そのためにはまず独自の"強み""価値""想い"を明確にする(言語化する)ことが重要になります。言語化するとなると困ってしまわれる方が多いのですが、皆さん"想い(理念)"はそれぞれ必ずあるはずですから、その想いを「ミッション」「ビジョン」「バリュー」に分けて考えていただくと言葉にしやすくなります。 (図1)持続的な成長を可能にするためにはビジョンを明確にし、スタッフや患者さんに選ばれるリーダーシップが必要となる。 (図2)ブランディングには、独自の「強み」・「価値」・「想い」を明確にし、それを言語化する必要がある。 村岡 私も常に自分の得手、不得手は考えていますね。具体的に言うと、私はインプラントはできないので、専門医の先生にお願いしていますし、予防に関しても歯周病専門の先生や歯科衛生士に任せているところもあります。ただ、それぞれに関する知識は広く持っておかなければいけないので、最近も海外のインプラントセミナーに行ってきましたけど、そういう時間は惜しみません。自分にとってプラスになりますし、最終的にスタッフや患者さんに還元につながりますから…。 廣田 冒頭で村岡先生は「コンサルタントには否定的」とおっしゃいましたが、私も実は好きではありません。なぜなら、普通のコンサルタントって、どこかから引っ張ってきた成功モデルをただ押し付けているだけですよね。例えば、「売上1億円を達成しましょう」という目標を立てたとして、その1億円にどんな意味や価値があるのか、私は常に疑問を抱いてきました。先生によってそれぞれの考え方、想い、コンセプトがあるのに、いわばマニュアルを押し付けるやり方です。私も以前そのスタイルでコンサルティングしていたことがあるので分かるのですが、確かに最初売上などはある程度うまくいくこともあります。でも結局その先生は精神的な部分では豊かになれなくて悩んでしまったりするのを目の当たりして、私自身考え方を大きくシフトしたのです。 ですから若い先生方には、開業される際にはご自身の"想い"の部分を大事にしていただきたい。想いを後回しにした売上1億円や分院展開のその先に本当の幸せはあるのか私は疑問に感じています。私の同年代の先生方でも、分院を数院、売上が数億になっているのに幸せそうに見えないし、実際に悩んでおられる方が周囲にたくさんいらっしゃいます。 --それは皆さんどういう理由で悩んでおられるのでしょう 廣田 ご自分のビジョンを明確にしないまま、ただ事業意欲だけで頑張られたのですが、その先に自分の求めるものがなかった、あるいは見つからない、ということだと思います。 村岡 最近、若い先生が「欲がない」とよく聞きますし、私もどこかで期待していない部分がありましたが、最近出会った先生のなかでとても前向きでやる気のある先生が何人かいらっしゃって、意気投合したので現在一緒に診療しているのですが、そういう先生方と話しているととても楽しくて、こちらもやる気になってしまいます。臨床についてももっと勉強していかないと彼らと同じステージでディスカッションもできないし、講演を依頼されても同じ内容を話すだけでは「この先生すごいな」とは思ってもらえないと思うんです。そういうことを考えながら、常に自分の心身共にフル充電された状態にしておく。最近、マインドフルネスという考え方にも関心があって、自分の心の中をエンプティにならないようにして常にフルの状態を維持するか、一般的には呼吸を整えたり瞑想したりするのですが、私の場合はやはり剣道です。剣道の稽古で動き回って汗をたくさんかいてたくさん打って打たれてってすることで充電できていると感じます。廣田さんがおっしゃった「精神的な豊かさ」ということで言えば、精神的に不安定でイライラしていると治療もうまくいかないんですよ。仕事も遊びも充実させようと思ったら、心身共に豊かな状態にしておかないと、お金だけあっても意味がないですからね。 廣田 それはセルフコントロールの考え方ですね。セルフリーダーシップもそうですが、まず院長先生が心豊かになっていないとスタッフや患者さんはもちろんクリニックすべてが豊かになれませんから…。特に若い先生の場合、自己犠牲の上にクリニックを成り立たせようとする傾向があるんですね。でも自己犠牲じゃダメなんです。村岡先生のお言葉の通り、まず先生ご自身が精神的に満たされた状態にならないと、人に対しても優しくなれませんから。 村岡 「オレはこんなにやってるのに…」っていう感覚はまさしく自己犠牲ですね。経営者なのですから大変なのは当たり前なんです。開業して"いばらの道"を進むと自分で決めたからには、スタッフより3倍、4倍の努力が必要だと思います。ただ、自分の"想い(理念)"を共有する意味で、「どうしてこの患者さんがうちのクリニックに来てくださるのか、そこをよく考えてみて」とスタッフにもよく言うんですね。それを理解してくれれば、例えば初診や予約の電話がかかってきたときに「今、患者さんがいっぱいで忙しいんです。院長も診療中で夜まで手が空きません」という一方的な対応にはならないはずです。もし、痛くて我慢できずに電話して来られたのであれば、医療者として診てあげるのが当然ですし、「ファーストコンタクトですべてのイメージが決まってしまうことがあるので、電話対応はとても大事なんだよ」という話も折に触れてするようにしています。 歯科医療は剣道に似ていると思うことがあるのですが、面を打ちたければ小手で布石を打っておいて最後に面を狙うように、コツコツと地道なことの積み重ねから美しい花が咲くような、そんな感覚でしょうか。 廣田 まさに「守破離の法則」ですね。剣道をはじめ、茶道や柔道など「道」が付くものはみんなそうですから、歯科にも同じように「歯科道」みたいなものがあればいいですね。 村岡 例えば歯がひどい状態の患者さんが来た時に、「これは無理だ」と思うか、「やってやるぞ」と思えるかで、治療の良し悪しも変わってくると思います。当院では、80、90歳代でノンカリエスの患者さんが2人ほどいらっしゃいますが、3ヵ月に一度、電車で1時間くらいかけて来院してくださる。こういう患者さんはもちろん大事です。でも精魂込めて仕立てた盆栽のように丁寧に治療した歯も大事で、患者さん自身も「無理かな」と思っていた難症例が最終的にうまくいって喜んでいただける。あるいは全然噛めなくて一人で来院できなかった方が、自分が作った総義歯で何でも食べられるようになって、次回から一人で歩いて来院してくれるようになっていたりって、それこそ歯科医師の醍醐味ですし、そういう歯科医療の楽しさを若い先生方にもぜひ味わっていただきたい。中には"インプラントはするけど予防はしない"という先生がいらっしゃいますが、私はそれを聞くと悲しくなります。だって、自分が治療したインプラントは最後まで責任を持ってケアしていかないとおかしいじゃないですか。それぞれのお考えもあると思いますが、私はそこが楽しい部分だと思ってやっていますし、患者さんとの絆はどんどん深まっていくので、その方が次の患者さんを紹介してくれることだってあるわけですから。 経営の視点から予防歯科を考える
~スタッフと患者さんに選ばれる"グッド・サイクル"とは~ VOL1
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