Dental Life Design

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歯科に求められている
高齢者医療を考えるVOL.3
多職種連携に求められる
歯科であるためのマインドとは

2020/7/28 デンタル〇〇デザイン

近年、「医科歯科連携を行いましょう」と耳にすることが多くなったのではないかと思います。2018年に発表された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、地域における医科歯科連携の構築という文言が追加され、それまでの医科歯科連携の対象者が入院患者や要介護者のみだったものが、国民全体の口腔機能管理にまで拡大されました。つまり、人生のすべてのステージにおいて、医科歯科連携が必要であると国の指針として挙げられたのです。

これを受けて、糖尿病専門医である西田 亙先生(愛媛県開業)からは「まさに国をあげての医科歯科連携といえましょう、この国は治療から予防へ、大きく舵を切ろうとしています。(中略)まさに歯科医療が花開く時代の到来です」とたいへん頼もしいエールを送ってくださっています。このエールに応えるためにも、私たち歯科は外来・訪問診療を問わず日頃から医科歯科連携、さらに介護や地域との連携を含めた多職種連携を意識しながら行動する必要があるのではないでしょうか。

外来診療における医科歯科連携については、押村憲昭先生(愛知県開業)が、糖尿病内科医や皮膚科との医科歯科連携の強化にご尽力されていますので、ぜひとも著書や講演などでご参考にしていただければと思います。
訪問診療においては、今から10年前のアンケート調査ですが、次のようなデータがあります。東京都における実に半数近くの在宅医が、もっとも連携したい科は「歯科」との答えていて、私たちが思う以上に医科側は歯科を必要としていることが明らかになりました。「誤嚥性肺炎」や「食べる」といったことがよりクローズアップされるようになった現在においては、当時と比較してより連携したいという声は増えているのではないでしょうか。しかしそのアンケートでは医科側からは「連携の場がない」「歯科治療がわからない」といった声が挙がっていて、医科にとって歯科はBlack Boxのような状態であるということが浮き彫りになりました。 これを解決するためには、やはり歯科側がより歩み寄り「歯科しかできないこと・歯科でもできること」について、丁寧に発信することによってBlack BoxをSkelton Boxへと変え、歯科を理解していただくことが大切ですし、これは医科との連携だけでなく介護・地域を含めた多職種連携につながるものだと考えています。 では、高齢者歯科において、実際どのようなスタンスで診療を行っていけばよいのでしょうか。私が多職種連携を行ううえでの心構えとして、猪原 健先生(広島県開業)が述べられている「歯科医師は黒子になる必要がある」ということを大切にしています。多くの歯科医師は開業医であり、普段マネージャーとしての立場をとっています。一方、多職種連携が必要な場においては、その方の人生ステージによっての違いはありますが、ケアマネジャーや医師がマネージャーとなり、生活全体のマネジメントを行います。歯科は、全身の健康や食べることによる幸せにおおいに寄与しているとは思いますが、あくまで歯と口のプロフェッショナルです。生活の中の一部であると同時に、多職種でその方を支えるプロフェッショナル集団の中の一部だという意識のもと行動することが必要です。そのためにも、その方のまわりにはどのような方がいて、どのように関わっているのかをしっかり把握し、黒子として高齢者の生活を健康や食を通して支えることこそが大切なスタンスだと考えています。 次回は、多職種連携の中で歯科に求められていることと、当院での実際の取り組み内容についてお話しさせていただこうと思います。