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歯科医院の新型コロナウイルス
院内感染の対策方法とは?
環境づくりやポイントまとめ

2020/8/19 歯科医院経営

新型コロナウイルスは、中国から世界各地に広がり、日本国内にも拡大しています。
この新型肺炎に対し、歯科医療現場ではどのような対策が取られているのでしょうか。
正しい知識を知り、適切な予防策を講じることで、来院される患者さんや従業員を感染症から守ることができます。
今回は、新型コロナウイルス感染症の実態を踏まえつつ、歯科医院における感染の予防・対策について解説します。

歯科医院における院内感染とは

院内感染とは、医療機関において患者さんが原疾患とは別に、新たに罹患した感染症、あるいは医療従事者等が医療機関内において感染した感染症のことです。 院内感染は特に免疫力が低下している患者さんや小さな子ども、高齢者に対し、通常の病原体だけではなく、感染力の弱い微生物によっても引き起こされます。 歯科治療では、歯を削る等の出血を伴う治療が多く、治療時に減菌が不十分な場合、前の患者さんの細菌やウイルスが次の患者さんに感染する可能性があります。 口腔内は体の中でも最も細菌が多く、感染症が起こりやすい場所です。 従来の肝炎やエイズ等の感染症に加え、近頃大流行している新型コロナウイルス感染症に伴い、院内感染対策方法が見直されています。 【関連記事】ウィズコロナ&アフターコロナ時代における歯科医院での感染予防と管理VOL1:歯科臨床における環境設定

新型コロナウイルスの感染経路

ウイルスや細菌は、さまざまな経路から私達の体内に侵入をしてきます。 感染経路の種類として、以下の4つが挙げられます。 ・飛沫感染 ・接触感染 ・空気感染 ・経口感染 現在新型コロナウイルスの感染経路として考えられている感染経路は、主に飛沫感染と接触感染です。 空気感染に関しては、WHOが「屋内で混雑し換気が不十分な場所」といった条件下であれば、感染する可能性があると指摘しています。 【新型コロナウイルスの感染経路】

歯科医院における飛沫感染の対策方法

飛沫感染は、咳やくしゃみ、つば等の飛沫と一緒にウイルスが放出され、そのウイルスを他の方が吸い込むことにより感染してしまうことですが、歯科医院特有の感染問題として切削器具等からのエアロゾルによる感染が取り上げられています。

エアロゾルを伴う治療への配慮

新型コロナウイルスの感染原因の一つとして指摘され始めたのが、エアロゾル感染です。 飛沫感染の一種ですが、明確な定義付けはされていません。 飛沫感染の飛沫よりさらに小さな粒子とされているエアロゾルにも、新型コロナウイルスが存在する可能性があります。 飛沫感染の飛沫は大きい粒子のため、粒子中の水分の重さで、口から出て1から2メートル距離内で地面へ落ちていきます。 そのため、人との距離を1〜2メートル空けることで感染を防ぐことができます。 一方でエアロゾルは、小さくて軽い粒子のためすぐには地面へ落下せず、しばらくの間空気中に浮遊し続けるとされています。 浮遊し続けることで感染拡大につながるのではないかと不安視する声もありますが、とても小さい粒子であるエアロゾルは、すぐに乾燥するため、ウイルスは長く感染力を持たないと考えられています。 ただし、歯科医院治療に使用する機器は、ほとんどのものが水を噴霧させることで、エアロゾルが周辺を汚染させる恐れがあります。 口腔外バキュームや次亜塩素酸噴霧器の使用、空気清浄機の設置、定期的な換気等の空気のコントロールに努めることで、患者さんや歯科医師およびスタッフのエアロゾル吸入を減らすことができます。 【関連記事】ウィズコロナ&アフターコロナ時代における歯科医院での感染予防と管理VOL2:飛沫感染対策としての個人防護具の適切な使用方法

歯科医院における接触感染の対策方法

接触感染は、直接的な接触と間接的な接触に分けられますが、歯科医院においては治療時の使用器具やハンドピース、診療台等から間接的に接触感染する恐れがあります。

診療器具類の徹底滅菌

新型コロナウイルスのみならず、歯科医院における感染症対策として、接触感染を防ぐために減菌作業は必ず必要なものとなります。 WHOによると、新型コロナウイルスは、プラスチックの上では最大72時間、ダンボール紙の上では最大24時間生存するとされています。 そのため、患者さんの治療終了毎に、消毒や清掃、器材の廃棄破棄が必要です。 歯科器具類の減菌の流れとして、まず使用した器具を破棄するものと再利用するものに分別し、薬液浸漬や超音波、界面活性剤を用いて洗浄・水洗いを行います。 乾燥後、オートクレーブにかけ、器具を患者毎に個別にパックし、減菌レベルで保管します。 オートクレーブにかけれることができない器材は、グルタールアルデヒドを用いて薬液減菌し、水洗い乾燥後、消毒レベルで保管します。 新型コロナウイルスはエンベロープ(ウイルスの一番外側にある、脂質と糖タンパク質の二重層の膜)を有するウイルスであり、オートクレーブに20分程度かけることで加熱減菌が可能とされています。 【関連記事】ウィズコロナ&アフターコロナ時代における歯科医院での感染予防と管理VOL4:使用済み器材の再生処理(洗浄・消毒・滅菌・保管)

ディスポーザブルの使用

紙コップやエプロン、グローブのディスポーザブル活用を行っている歯科医院が多く見受けられます。 ディスポーザブルとは、いわゆる使い捨て品のことです。 医療機器業界では、院内感染の予防意識が高まるとともに日本でも普及し始めました。 診療器具類の消毒減菌を行う際、オートクレーブにかけるため、基本的には他の患者さんに感染することはありません。 しかし、やはり完全消毒減菌していても、他人の口に入った、または接触した物の使用を極力避けたほうがよいため、器具類のディスポーザブルの使用も今後増えていくとされています。

歯科医院における空気感染の対策方法

WHOは、7月9日に新型コロナウイルス関するガイドラインを新たに発表しました。 新たなガイドラインによると、「主に屋内で、混雑し、換気が不十分な場所では、新型コロナウイルスの空気感染は無視できない」とされています。 歯科医院における上記のような環境を避けるため、以下のような対応を行いましょう。 ・予約状況や来院人数の調節 ・窓を開ける等の換気

歯科医院におけるコロナ感染を防ぐ環境作り

新型コロナウイルスに感染しない、感染を拡大させないためには、『3密空間』をつくらないことや、室内の定期的な清掃、またウイルスやばい菌を侵入させない環境づくりが大切となってきます。

『3密空間』の回避

『3密空間』とは、換気の悪い密閉空間に、大人数が集まり(密集)、間近で会話や発声を行う(密接)条件がそろった環境のことを指します。 咳エチケットのマスク着用のみでは、直径が小さい新型コロナウイルスはマスクの繊維をすり抜ける可能性もあるため、3密空間を避けることが何よりも大切です。 3密空間を避けるために、以下のような対応を行いましょう。 ・診療台や受付へパーテーションを設置する ・待合椅子を1.5から2メートル間隔で設置する ・こまめに換気を行いウイルスや細菌を外に出す 等

清潔な院内環境の保持

感染予防に関して、3密空間を避けることと同時に、院内清掃もとても重要となります。 院内清掃の基本は、埃や汚れを取り除くことです。 ウイルスや細菌等の微生物が付着した埃や汚れが舞い上がることで、鼻や口から人体へ侵入し、感染を引き起こす可能性があります。 埃や汚れの除去においては、消毒作業のみでは意味をなさず、人が触れるような箇所は日常的に清掃を行うことが最も有効な感染予防となります。 また、院内を汚れの原因からエリアで区分けし、エリア毎に清掃用具を分けることが感染管理上有効と考えられます。

歯科医師およびスタッフの服装

歯科医師およびスタッフは、感染予防として、血液や体液、皮膚、粘膜に触れる際は、手指衛生を行うとともに、適切な個人用防護服の着用が必要となります。 ・手袋 ・ガウン(アイソレーションガウン・プラスチックガウン)またはエプロン ・マスク(サージカルマスク) ・ゴーグルおよびフェイスシールド 着け方の順序は、以下の順番が望ましいです。 1.ガウンまたはエプロン 2.マスク 3.ゴーグルおよびフェイスシールド 4.手袋 外し方の順序は、以下の順番が望ましいです 1.手袋 2.ゴーグルおよびフェイスシールド 3.ガウンまたはエプロン 4.マスク 【関連記事】ウィズコロナ&アフターコロナ時代における歯科医院での感染予防と管理VOL3:手指衛生 【出典】職業感染制御研究会ホームページ特設コーナー「安全器材と個人防護具」

患者さんへの協力依頼

院内環境を整えるだけでなく、患者さんへ感染防止対策の協力依頼をし、徹底した感染管理と安全な診療体制を整えることも大切です。 来院時の協力事項として以下を伝えましょう。 ・検温 ・マスクの着用 ・院内入り口と診療室入室前の手指消毒 ・体調確認や感染症既往等の問診の実施 また、ご予約のない方やマスク着用が出来ない方・感染症状がある方は来院の入室規制を行いましょう。

歯科医院で新型コロナウイルス対策を行う際のポイント

感染予防対策についてお話してきましたが、以下で院内体制の見直しについて紹介します。

スプリットチーム制の導入

スプリットチーム制とは、従業員の同時感染リスクを防ぐため、業務を複数のチームに分けて遂行することです。 大手企業では、この制度を取り入れ、部署や科をチームに分けて交代勤務をしているところが見受けられます。 歯科医院においては、曜日ごとにチームを編成するなど、シフトの組み方を変更することで対応できます。

スタッフへの指導

スタッフへの定期的な感染予防対策の指導も欠かせません。 適切な手洗い方法の指導、マスクや手袋等の正しい着脱方法の確認、朝夕の体温チェック、発熱や風邪症状があった場合の出社制限等、定期的に従業員への指導を行います。 また、普段携わっている業務以外の業務を覚えてもらうクロストレーニングを行うことで、体調不良の従業員が出た場合でも、欠員者の業務をカバーすることができ、営業に支障が出にくくなります。

患者さんに向けた掲示物の設置

感染拡大を防ぐため、体調に合わせた対応を患者さんへのお願いとして掲示することをおすすめします。 例として、日本歯科医師会が出している院内掲示物を紹介します。 【院内掲示用院内入口掲示用 【引用】新型コロナウイルス感染症について - 日本歯科医師会

まとめ

今回は、歯科医院における新型コロナウイルスの院内感染予防対策についてお伝えしました。 すでに多くの歯科医院では、新型コロナウイルスの流行以前に、感染症対策について対策がしっかり取られていることと思います。 しかし、新型コロナウイルスという新たな感染症が発生し、感染対策方法についての見直しが必要となっています。 感染経路別に対策が取れているか、院内環境が清潔に保たれているか等、歯科医師およびスタッフでの確認を徹底しましょう。 新型コロナウイルスは未だ不透明な部分も多くありますが、公的機関からの情報をチェックし、できる対策を考えていきましょう。