歯科医院の数は今や、コンビニエンスストアより多くなっています。
歯科医院数が多い=市場での競争が激化するため、来院数を増やすために対策を講じていく必要があるでしょう。
今回は、マーケティングの概要や歯科医院で実施したいマーケティング施策を解説します。
そもそもマーケティングとは
マーケティングとは、お客様に商品やサービスを見つけてもらうための施策です。
歯科医院では、新規の患者さんにクリニックを見つけてもらい、来院してもらう仕組み作りを意味します。
患者さんが来院に至るまでには、主に4つの段階があります。
①認知:歯科医院のサービスの存在を知る
②教育・興味づけ:商品やサービスが必要な理由を理解する
③比較・検討:他の歯科医院との違いを比べる
④購入:来院する
この4つのステップを通して、新規の患者さんに自然と来院してもらう仕組み作りを行います。
※具体的な施策については後述
歯科医院経営でマーケティングへの注力が必要な理由
厚生労働省発表の「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、全国の歯科医院は68,500施設。
歯科業界は飽和状態のため、マーケティングを行うことで、より多くの患者さんに来院いただき、リピートしていただくことに繋がるでしょう。
なお、帝国データバンク発表の「医療機関の倒産動向調査(2019年)」によると歯科医院の倒産件数は2018年で23件、2019年で15件でした。
歯科医院数の飽和や少子高齢化といった外的要因の変化にともない、歯科医院は倒産リスクを抱えています。
こういった倒産リスクを回避するために、マーケティング施策は欠かせません。
歯科医院のマーケティング施策11選
歯科医院ができるマーケティング施策を紹介します。
1.自院と他院の分析・市場分析
最初にすべきことは、自院と他院の分析です。
他院との違いを明らかにしたら、自院の強みを中心に自院のコンセプトを組み立て、マーケティングの方向性を決めましょう。
他院と差別化したポイントを、魅力的に患者さんへ伝えることができます。
そのため、患者さんが来院に至るまでの4ステップのうち、特に③比較・検討の段階で自院を選んでもらうことにつながるでしょう。
例えば、審美歯科治療に豊富な実績を持つ場合は、
・女性向けにメニューを充実させる
・白やピンクをイメージカラーにする
・女性向け雑誌に広告を出稿する
など、歯科医院のコンセプトや広告の方向性を決めるとよいでしょう。
また、自院と他院の分析に加えて、歯科医院の診療圏における住民層(患者さんとなり得るターゲット層)のリサーチなど市場分析も行いましょう。
マーケットを分析することができ、親子連れや高齢者など、自院で狙うべき患者さんのターゲットを明確にすることができます。
2.メニューの充実
歯科医院の施術には、インプラントや審美、予防歯科、小児やマタニティ、ホワイトニングなどの種類があります。
メニューを充実させることで、患者さんからニーズのある施術を提供することができます。
患者さんが来院に至るまでの4ステップのうち、特に①認知や③比較・検討の段階に役立てることができるでしょう。
例えば、美容に興味がある女性がターゲットの場合は、審美歯科治療を中心にメニューを考えます。
歯列矯正やホワイトニング、インプラントなどのメニューを充実させ、女性の来客数増加を狙うという戦略です。
コンセプトに沿ったメニューを充実させましょう。
3.ホームページ制作
自院のコンセプトがわかりやすく表現されたホームページを制作しましょう。
自院のウリになる部分を明確にし、デザインやキャッチコピー、コンテンツを制作します。
目を引くホームページは、4ステップの特に①認知の段階にあるユーザーにアクセスしてもらい来院につなげることができるでしょう。
また、先述のSEO対策の部分にも関わってくる内容ですが、WebサイトにおいてはE-A-Tという概念が重視されています。
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E:Expertise(専門性)
A:Authoritativeness(権威性)
T:Trustworthiness(信頼性)
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専門性・権威性・信頼性が評価され、品質の高いサイトとして検索結果上位に表示されるという1つの軸です。
E-A-Tを高めるためには、『ホームページを運営しているのは誰なのか?どんな人なのか?』を明記する必要があります。
・医院概要
・院長挨拶
・歯科医療への想い
・医院で大切にしていること
・患者さんにどうなっていただきたいか
などの情報をきっちりと掲載しておきましょう。
自院内でのホームページ制作やSEO対策は時間や労力がかかるため、WEB制作会社などに依頼することをおすすめします。
4.SEO対策
SEO(Search Engine Optimization)対策とは、検索エンジンからホームページに訪れる人を増やす施策です。
具体的には、Googleで検索1位もしくは1ページ目に表示することで、多くのユーザーの目に触れさせ、サイトへの流入を促すための施策です。
こちらも、来院に至るまでの①認知において役立つでしょう。
ユーザーに有益な情報を発信しSEO対策を行うことで、Googleでホームページが上位表示されやすくなり、患者さんの獲得にもつながるでしょう。
例えば、Googleで「東京 歯科医院」と検索した場合、検索結果は約4,400万件。
膨大なWebサイトの中でSEO対策をしていない歯科医院は、患者さんにホームページを見てもらうことすらできません。
患者さんが検索するキーワードを意識したホームページを作成し上位表示を目指しましょう。
5.コンテンツ作成(ブログ執筆)
SEO対策の一環として有効なのが、ホームページでのコンテンツ作成(ブログ執筆)です。
ポイントは、患者さんの不安や悩みを解決するコンテンツを提供することです。
患者さんが求めるコンテンツを提供できれば、4ステップの②教育・興味づけの段階で商品・サービスの必要性を伝えることができるでしょう。
役立つ情報を発信することで、Googleに評価されて上位表示され、見込み患者さんの流入につながります。
例
・ホワイトニングとは/施術の流れ/効果
・齲蝕にならないために気をつけること
・正しいブラッシングの方法 など
患者さんの悩みを解決するという視点で、コンテンツを制作しましょう。
「文章を書くのが苦手」「ブログに時間を当てられない」といった場合には、同様にWEB制作会社への依頼をおすすめします。
6.MEO対策
MEO(Map Engine Optimization)とは、GoogleMAPにおける検索エンジン最適化のことです。
SEO対策はGoogleやYahooなど検索エンジンにおける上位表示を目指す施策を意味していましたが、MEO対策はGoogleMAP内で上位表示を目指す施策を意味します。
検索エンジンで「地域名+キーワード」で検索すると、結果にGoogleMAPと関連サービスが表示されます。
あるいは、直接GoogleMAP上で検索することもあるでしょう。
「地域名+キーワード」で検索する人は、その地域内で必要なサービスを探しているため、見込み客になりやすいです。
そのため、SEO対策だけでなくMEO対策も重要になってくるでしょう。
来院までの4ステップにおいては、①認知の段階で効果を発揮します。
また、「Googleマイビジネス」に登録し情報を入力すると、GoogleMAPに自院が表示されます。
自院の住所や電話番号、営業時間、画像や口コミ、コロナ対策など、情報を充実させることで上位表示を目指しましょう。
7.リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果の上部に表示される有料の広告です。
検索キーワードを指定して、広告出稿を行えます。
例えば、「新宿 歯科」で検索した人の検索結果の上部に自院のホームページを表示させられます。
キーワードごとに出稿できるため、ピンポイントでユーザーを狙うことができ、新規患者の獲得に有効です。
不安や悩みを抱えるユーザーにアプローチし、②教育・興味づけの段階で効果を発揮するでしょう。
8.ポータルサイト掲載
歯科医院のポータルサイトとは、全国の歯科医院の情報が集まったWEBサイトです。
歯科医院の検索や予約を行うことや、レビューを見ることができます。
ポータルサイトから地域の歯科を探す患者さんも多いため、情報を掲載することで予約数UPにつながるでしょう。
①認知や③比較・検討のステップで役立つはずです。
9.SNS運用
TwitterやInstagram、facebookなどのSNSを利用するメリットは、写真やテキストで自院の魅力を発信しながら、ユーザーとのコミュニケーションを取れる点です。
例えば、治療のBefore/Afterを写真で掲載することで、自院の治療技術を視覚的に伝えてたりすることができます。
発信を通して、ユーザーに歯科医院のファンになってもらえると、集患へとつなげられるでしょう。
発信内容を工夫すると、①認知から③比較・検討、いずれの段階にも訴求することができます。
10.YouTube運用
情報を探す際にYouTubeで検索する人も増えているため、YouTubeでの情報配信もおすすめです。
動画再生に適した「5G」環境の浸透から、さらに動画での検索が広まると考えられます。
YouTubeを使うメリットは、動画や音声画像などでユーザにわかりやすく情報を伝えることができる点です。
記事作成と同じように、患者さんの問題を解決するという視点でコンテンツを作成しましょう。
コンテンツ作成と同様に、②教育・興味づけの段階で役立つはずです。
悩みを解決してくれるYouTubeチャンネルは登録者数を集め、新規患者獲得の導線となるでしょう。
11.LINE公式アカウントの運用
LINE公式アカウントとは、企業や店舗がLINEのアカウントをつくり、ユーザーにLINEで情報を届けられるサービスです。
ユーザーに直接メッセージやキャンペーンなどを配信することができ、新規患者の獲得やリピート率アップを狙えます。
SNSと同じように、①認知から③比較・検討、いずれの段階にもアプローチできます。
2020年9月末時点では、LINEの国内MAU(月間アクティブユーザー)は8,400万以上で、日本の人口の約66%以上をカバーしています。
【参考】LINE for Business
一般的なメルマガの開封率が10~30%なのに対して、LINEの開封率は60%以上と言われており、気軽にメッセージを見てもらいやすいです。
LINE公式アカウントの活用方法としては、
・患者さんからの問い合わせ窓口を設ける
・LINEから予約を受け付ける
・予約日をリマインドする
・定期健診の案内を送る
・イベントやキャンペーン等をお知らせする
などがあります。
まとめ
今回は、歯科医院でできるマーケティング施策について解説しました。
歯科業界は飽和状態にあるため、マーケティングに注力する必要があります。
マーケティング施策で、すぐに取り掛かれるものがあれば、この記事を参考に新規の患者さんを獲得しましょう。