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糖尿病の合併症

糖尿病の合併症
糖尿病の合併症
こんにちは。澤木内科・糖尿病クリニックの塚本雅美です。
今回は、糖尿病の合併症についてお話したいと思います。
糖尿病合併症には、急性の合併症と長年高血糖が続くことによっておこる、慢性の合併症があります。今回は、主に、慢性合併症についてお話したいと思います。
 慢性の合併症には、細小血管症と、大血管症があり、細小血管症である、網膜症、腎症、神経障害は三大合併症と言われています。
	
★細小血管症
①糖尿病網膜症               
網膜とは、目の中の奥にある、光を感じる場所です。

慢性的な高血糖により、網膜にある血管の流れが悪くなったり、血管壁の細胞の性質が変わったりすることで、出血したり、白斑、網膜のむくみなどが起こります。さらに進行すると、硝子体出血や、網膜剥離などが起こり、失明してしまうことがあります。
また、糖尿病は、緑内障や白内障のリスクとなります。
(緑内障:主に、目の中の圧力が上がることにより、視神経が障害を受ける病気)
(白内障:目の中にあるレンズ(水晶体)がにごる病気)
糖尿病網膜症の程度は、4期に分けられています。早期網膜症では、血糖コントロールだけでなく、高血圧や脂質異常などのほかの内科疾患のコントロールが必要です。進行した網膜症では、光凝固療法や、硝子体の手術など、より専門的治療が必要となります。糖尿病網膜症は、実際に視力障害がおこるまでは自覚症状がないので、たとえ症状がなくても、眼科に定期的に受診する必要があります。


②糖尿病腎症
腎臓は血液をろ過して尿を作る臓器です。腎臓には血管が集まった糸球体といわれる場所があります。その糸球体に、慢性的な高血糖により障害が起こると、
尿の中のたんぱくが増えていき、徐々に腎臓の機能が落ちていきます。

現在、透析の原因疾患の約4割が糖尿病です。
尿中のたんぱくの量や、腎機能によって糖尿病性腎症の分類があり、定期的に尿検査を行い、検査します。


糖尿病性腎症病期分類       糖尿病57:529-534,201より一部改変


③糖尿病神経障害
糖尿病神経障害には一つの神経が障害されて発症する単神経障害と、多発神経障害があります。今回は頻度の高い、多発神経障害についてお話します。

多発神経障害は、両側の手や足の感覚異常や感覚障害を起こします。足先にびりびりする電気刺激のような痛みを感じたり、足裏の感覚がなくなったりするなどの自覚症状がでます。足の裏の感覚が鈍くなると、傷ができていても気が付かなかったり、傷口から感染し、足壊疽の原因となることもあります。
また、自律神経障害では、膀胱機能の低下をきたし、排尿障害(尿が近い、尿が出にくいなど)や、消化管の動きが悪くなり、便秘になる、勃起障害の原因となるなど、様々な症状がでてきます。

★大血管症
主に太い血管の動脈硬化により起こります。
脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)や、心筋梗塞(心臓の血管がつまる)、末梢動脈疾患(足の血管がつまる)などがあります。

動脈硬化の危険因子は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満があげられます。
予防のためには血糖コントロールはもちろん、高血圧やコレステロール、体重のコントロールが必要ですし、喫煙している場合は禁煙が必要です。

今回は糖尿病の慢性合併症についてお話しました。
次回は感染症、歯周病について、お話したいと思います。

参考文献:糖尿病治療ガイド(2022-2023)

【関連 動画コンテンツリンク】
糖尿病について
糖尿病の合併症
糖尿病連携手帳

著者塚本 雅美

医師・医学博士
日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会総合内科専門医

経歴
  • 2006年3月 東京慈恵会医科大学医学部卒業
  • 2006年4月  東京慈恵会医科大学関連病院にて前期・後期研修
  • 2011年4月 東京慈恵会医科大学 大学院
  • 2015年3月 東京慈恵会医科大学 大学院修了
  • 2016年4月  独立行政法人 京都医療センター 糖尿病内科
  • 2019年5月 澤木内科・糖尿病クリニック
塚本 雅美

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