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脱水と経口補水液 その4

脱水と経口補水液 その4
脱水と経口補水液 その4
運動会のシーズンになると脱水や熱中症が心配だ。
予防のために、スポーツドリンクの持参を推奨する学校がある。

(図1)
これまでスポーツドリンクだけでは、脱水は改善しないと述べてきた。
むしろ大量摂取は、水中毒やさらなる口渇を生み出す。
では運動量の多いスポーツ選手は、どのような対策をしているのだろう?

ところで海外では、選手が体調を崩した際、安易に点滴を行うとドーピング疑惑が生じる。
これが、試合出場の停止や記録取り消しなどに繋がりかねない。
そこで、早くから経口補水液に関する知識が普及していた。

さてサッカー競技場によっては、スポーツドリンクの持ち込みが禁止されている所がある。
天然芝を保護するためである。
スポーツドリンクがかかると痛む。
わずかな芝の状態が、プレーに影響するのだ。

(図2)

また体を冷やすため、頭からボトルの水をかけているシーンもある。
しかし、砂糖を含んでいればどうだろう?
きっと体が、ベトベトになりスポーツどころではないだろう。
そう考えると、あれは氷水か真水であることがわかる。
そこでサッカー選手は、ハーフタイムに水や電解質の補給を行うという。

一方、マラソン競技では大量の体液が失われる。
そのため水分や電解質の補給が必要だ。
ルールにより、給水ポイントは約5km間隔に設置されている。
プロのマラソン選手は、前半は電解質と水分を飲む。
しかしゴールが近づくと、エネルギー補給が必要となる。
そこで糖分の多いスペシャルドリンクを準備しているのだ。

(図3)

この際、ブドウ糖は砂糖より有利となる。
ブドウ糖は、小腸から速やかに吸収されお腹にもたれない。
しかし、二糖類である砂糖は、そのままの形では吸収されない。
小腸表面の二糖類分解酵素により、ブドウ糖と果糖に分解され吸収される。
このようなことから、経口補水液はスポーツ時に最適な飲料と言えるのである。

注:現在,スポーツ選手用に水で溶かせる経口補水液のタブレットも販売されている。
https://www.ors-jp.com/

続く

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著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識
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岡崎 好秀

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