競争が激しい歯科業界で売上をアップさせるコツは、経営者が正しい判断を行うことです。
経営者としてポイントを押さえた運営を行えるよう、今回は歯科医院の売上を上げるコツをお伝えします。
多くの歯科医院を成功させてきたコンサルタントが提案する、下記の6つの売上アップのコツを学び実践してみてください。
歯科医院の売上アップのコツ
【1】人件費が適正かを確認する
歯科医院の経営では、人件費を抑えることが非常に重要です。
人件費が高くなりすぎると、せっかく患者さんの来院が増えても利益が出ません。
1日の来院患者数を収入の指標とし、雇用スタッフ数を調整して対処することが基本です。
たとえば、1日10人までの患者さんなら、時間帯による予約制で院長とスタッフ1名でも対応できます。
1日20人では歯科医師1名の追加・・・と、患者さんの来院数が増えていくほどに増員することが一般的です。
しかし、安易に増やしすぎるのも危険です。
売上が増えている時には、忙しい中で人材の募集・採用を行います。
したがって、知らず知らずのうちに人件費の割合が大きくなりすぎて、売上を増やした意味がなくなる事例が非常に多いです。 目安として、その時点の売上に対して20%以内の人件費に抑えておきましょう。
また歯科医院経営において、キャッシュフローを常に把握しておく必要があります。
日々のキャッシュフローを確認することによって「何にお金をかけすぎているのか」「このお金は必要か」などが明確にわかります。
どれだけ売上を増やすかも大事なことですが、どれだけ無駄な費用を削減することができるかも歯科医院経営においては非常に大事なことです。
歯科医院の売上アップのコツ
【2】設備投資にお金をかける
儲かっている歯科医院ほど、設備投資にお金をかけています。
その理由は、他の歯科医院と差別化し、患者さんから選んでもらうためです。
現在の歯科医院は飽和状態で、徒歩10分の圏内に2ヵ所あることも珍しくありません。
例えば『待合室の雰囲気が良く、診療用のチェアには先生が来るまで退屈しないDVD用のモニター付きの歯科医院』と、『狭い待合室で、ただ座って待つだけの歯科医院』であれば、大部分の患者さんが前者を選びます。
このように、患者さんがより快適に過ごせる医院づくりのためには設備投資が必要です。
また、診療用のチェアの数は売上に直結するため、1日の来院患者数が1台10人の基準を上回ったら増設すべきです。
基本的に開業からいきなり1日10人以上とはならないため、まず2台のチェアで始めて、1年後に稼働数をチェックしながら3台目を検討するのがいいでしょう。
その他、スタッフの休憩室を充実させることで、優秀なスタッフの定着と全体的なモチベーションをあげることにもつながります。
初期費用でかなりの出費になっている状況での設備の追加はなかなか勇気がいる決断ですが、支払ったお金を上回る利益を得られれば、長い目で見て十分に帳尻が合います。
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歯科医院の売上アップのコツ
【3】WEB広告を上手く利用する
インターネットを利用しているユーザーへ向けてWEB広告を出稿することで、歯科医院の売上をアップできます。
売上の10%までが適正な広告費の基準であると言われており、たとえば年商1,000万円なら年100万円が上限であると考えましょう。
大手の検索エンジンでトップに表示される有料広告は、「歯科医院+(地名)」など特定のキーワードで探しているユーザーに刺さります。
かつての広告媒体といえば新聞の折り込みチラシや地域のチラシだけでしたが、今や老若男女を問わずにネットで検索する時代です。
コストパフォーマンスが高く、即効性があるため、集客に悩んでいる方はさっそく検討してみましょう。
自社メディアによる歯科医院のアピールは、WEB広告と連動させることで大きな効果を発揮します。
オシャレなデザインのWEBサイトを運営して、診療の説明や他の患者さんへの対応、歯科医院の想いなどについてブログ的に綴ることで、読み手=見込み客に親近感を持たせることができます。
歯科医院は、ユーザーが直接出向く必要があるサービスであるため、MEO対策も有効な手段です。
MEO対策とは、Googleマップ上の検索で上位表示をさせる対策のことを呼びます。
オンラインのマップ上で詳細な企業情報を表示させつつも、口コミの数を増やしてブランド化することで人気を高められます。
このMEO対策は、自社メディアやその他のSNSともつなげることが大切です。
歯科医院の売上アップのコツ
【4】採用にお金をかける
全てのスタッフが患者さんと接する歯科医院では、採用コストが売上にも影響します。
採用にお金をかけて、優秀なスタッフを揃えることが重要です。
歯科医院は他の医療機関よりも人気商売の側面が強く、「あのスタッフさんがいるから通院する」という理由で選んでいる患者さんも少なくありません。
したがって、腕が良くて集客力のある人材には、相場よりも費用をかけるだけの価値があります。
採用のお金を出し渋ると、自分自身の手間が増えるばかりか、歯科医院の売上が伸び悩む結果に結びつきます。
歯科業界のスタッフが集まっている人材紹介会社の活用や、既存スタッフの紹介によるリファラル採用などがおすすめです。
前者は担当のエージェントを通して経験者を集められるため、最小限の手間で歯科医院に大きな貢献をしてくれる歯科スタッフを迎えられます。
後者は採用までの工数や費用を抑えられる、かつ同じ考え方・価値観の人材を採用できる可能性が高く、ミスマッチが起きにくい採用方法です。
歯科医院の売上アップのコツ
【5】再診率を上げる
歯科医院で再診率を上げるコツは、患者さんへの丁寧な診療です。
丁寧な診療の定義には、インフォームドコンセント(医師が患者さんに診療の上で大事なことを説明し、同意を得ること)を徹底して、不安を和らげることも含まれます。
初回の診察でいなくなってしまう患者さんをいかに減らせるのかで、歯科医院の売上が大きく変わります。
限られた診療時間では1人の患者さんに必要最低限の説明しかできないため、歯科医院のWEBサイトや院内での案内などを活用し、詳しく解説することがポイントです。
例えば、院長や歯科スタッフのプロフィールや得意分野を掲載することで、いかに専門知識があって頼りになるのかを示すことができます。
固定の患者さんについては、よりきめ細やかな対応を心がけましょう。
歯科医院に入ってきた時の受付スタッフの挨拶や、診療前のちょっとした会話だけでも、「この歯科医院に通っていて良かった」と好印象を与えられます。
患者さんのミスマッチを減らす意味では、歯科医院のWEBサイト上でどのような診療で実績があって、どこまで対応できるのかを説明することも大切です。
そうすることで、実際に診療に訪れてみると期待していた処置がなされなかった・・・などというトラブルを防ぐことが可能です。
なるべく情報を適切に開示することが、患者さんが治療を受ける際の安心に繋がり、再診率アップへ繋げることができます。
歯科医院の売上アップのコツ
【6】固定費用の削減
歯科医院の経営状態の変化を常にウォッチし、売上アップのために固定費用の削減に努めることが必須です。
固定費用としては、人件費や家賃、設備のメンテナンス費用などが挙げられます。
既存でかかり過ぎているお金を毎月見直して、ムダな費用をなくしましょう。
よくあるムダな費用は、スタッフの雇いすぎによる人件費の増大です。
患者さんの数が減っているのに繁盛していた時期のまま雇っているケースや、売上に対してスタッフを増やしすぎたケースがよく見受けられます。
広告費についても要チェックで、歯科医院の集客率が改善した後には絞る必要があります。
まだ患者さんがいないオープニング時期や繁忙期の直前で集中的に広告を出し、それ以外では少なめにする方法も有効です。
ただし、固定費用の削減は、安易に行うと逆効果となる恐れがあるため、気をつけましょう。
経営の経験が少なく不安がある場合は、歯科医院向けの経営支援システムの導入や、豊富な実績がある税理士などの専門的なアドバイスの導入をおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回お伝えした歯科医院の売上アップのコツを実践することで、より充実した経営となります。
新規の患者さんへの周知を行いつつ、自社メディアや初診で満足度を高めて固定化させることが、売上アップの全体の流れとなります。
歯科医院は特に、スタッフと患者さんの距離が近いサービスであるため、採用するスタッフを厳選することも重要なポイントです。
複数の施策を試しながら、より良い経営を行っていきましょう。
▼ライタープロフィール
- 福岡在住のWEBコンサルティングフリーランス
- 主にMEO対策やWEBに関する集客に注力