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コラム

様々なスペシャリストが安部歯科医院に集まる理由ー後編ー

様々なスペシャリストが安部歯科医院に集まる理由ー後編ー
様々なスペシャリストが安部歯科医院に集まる理由ー後編ー

大阪府東大阪市の安部歯科医院には、医療スタッフのほかにもクリニカルコーディネーターや健康管理士、管理栄養士、ネイリストなど、様々な資格・特技を持ったメンバーが集い、地域とくらしに密着した治療や指導を行っています。
そんな安部歯科医院で活躍する方々に、仕事のやりがいやこれからの目標についてお聞きしました。

ーー歯科医師の尾形愛先生が安部歯科医院で取り組んでいる、子どもの口腔育成についてお聞かせください。

口腔育成のための診療では、口から見た、子どもの成長の発育を正しい方向に導くためのさまざまな指導を行っています。子どもが本来持っている“正しく成長する能力”を引き出すことが正しい歯並びに繋がるので、指導内容は姿勢や呼吸、舌の位置など、多岐に渡ります。
治療枠としては、指導+トレーニングでおおよそ30分強が目安で、トレーニング内容はトランポリンやバランスボールを使った運動、拭き戻しや風船、ガムを使った遊び感覚の筋力トレーニングなどを行うことが多いですね。また、姿勢の崩れは足元に起因する場合も多いので、子どもの足の形やサイズに合わせた靴や靴下の選び方、足指をほぐす運動方法などをお伝えすることもあります。ただ、歯科医院でできるのはあくまで指導と確認のみ。ここで覚えた習慣やトレーニングを毎日家でもすることが大事なので、口腔育成の診療では子どもが嫌がらず、自主的に楽しんで取り組めるようなトレーニングを提案するよう心がけています。

ーー多くの子どもの口腔育成に関わってきたからこそ感じる、今後の課題とはどのようなことでしょうか。

日々たくさんの子どもたちと接していて感じるのは、舌が正しい位置にない子どもがとても多いということです。口腔内で舌の位置が悪いと呼吸が浅くなりやすく、いわゆる「お口ポカン」や姿勢の崩れも招きやすい状況に…という、悪循環を生み出してしまいます。本来であれば正しい舌の位置、正しい舌や頬の筋肉の使い方というのは子どもが成長していく日常生活の中で獲得していくべきものですが、正しい授乳の仕方や離乳食の進め方、食べさせ方を母親が知らなければそうはいきません。子どもへの指導やトレーニングはもちろん大切なのですが、今後は母親へ啓蒙していくことが重要だと痛感しています。

ーー尾形先生は一般社団法人「ヘルシーオーラルプロジェクト」の代表もされていますが、こちらではどのような活動をされているのでしょう。

活動内容としては、幼稚園や保育園、地域の子育てサロンなどへ出向き、予防歯科や口腔育成の大切さを伝えるためのセミナーや指導を行っています。また、カンボジアを中心に海外へ出向くことも多く、現地の学校や孤児院で歯磨き指導や検診を行うことも。
ヘルシーオーラルプロジェクトの理念は「未来の子どもたちの笑顔のため」。今、子育てをしているお母さんたちが正しい知識を持てば、次の世代の子どもたちの口腔環境はもっと良くなり、良い循環が続いていくはずですよね。そのために、日々活動しています。
また、ヘルシーオーラルプロジェクトでは、歯科衛生士さんが活躍できる場をもっと作りたいとも考えています。というのも、歯科業界には優秀な歯科衛生士さんがたくさんいますが、業務がハードであるなどの理由から残念なことに離職率が高く、せっかくの知識や技術がいかされないまま埋もれていることも多いんです。離職した歯科衛生士さんが負担を感じることなく復帰できる場や、無理なく参加できる枠の中でやりたい仕事ができるような場を作るためにも、より積極的に活動の場や機会を広げていきたいと思っています。

ーーヘルシーオーラルプロジェクトの活動では、どのようなことを感じますか?

子育て真っ最中の、お母さん方のニーズの高さを実感しています。あらゆる情報があふれている現代、何を信じたらいいのか分からなくなっているお母さんはとても多いんです。子どもが成長していくうえでどんなところをチェックすべきなのか、どんなことに注意を払うべきで、どんなことなら大らかに構えていていいのか。そんなちょっとした疑問を抱いても、誰に聞けばいいのか分からない、という人も多くいるのです。
そんなお母さん方が子どもの歯や口のことについて気軽に相談できたり、正しい知識を得たりすることができるのが、口腔育成やヘルシーオーラルプロジェクトの活動なんです。過剰な情報でがんじがらめになっているお母さん方の肩の力を抜くお手伝いをしていきたいと思います。

ーーこれまでの活動を通じ、最も伝えたいのはどのようなことでしょうか。

私は高齢者施設への訪問診療もしていますが、歯は弱ってからケアをするのではなく、予防することが何より大切だということを実感しています。失ってから「歯は大事なものだったんだ」と気づくのでは遅すぎます。例えば、現在、健康寿命と平均寿命を比べると、女性ならおよそ10年の差がありますが、この人生最後の10年のQOL(Quality of Life)を大きく左右するのは、楽しく口から食べられるかどうか。人間は年齢を重ねるほどに、日々の生活の中で「食べる楽しみ」の比重が大きくなってきます。最後まで楽しく生きるためにも、ちゃんと口から物を食べられる口作りが重要なのです。
そしてそれは、小さな子どものうちからトレーニングを続けることが必要なのです。元気な子どもは元気な大人になり、やがて元気なお年寄りになります。高齢者が抱える口周りの問題は、子どものころの習慣に起因していることも多いもの。だからこそ、子どものうちから歯科医院で定期的に口腔状態をチェックし、物をしっかり噛んで食べる習慣を身につけておくことが大事。生涯に渡って高いQOLを保ち続けるためにも、口腔育成の概念がさらに広まることを強く願っています。

ーー今後取り組んでいきたいことはありますか?

妊婦を含む、お母さん方に知識を持ってもらうための活動に力を入れたいですね。院内での診療でも、ヘルシーオーラルプロジェクトでも、海外でも。残念ながら現状では妊婦さんに口腔育成の重要性を伝える場所や機会が少ないのですが、母親が正しい知識を持つことができれば、生まれてくる子どもは良い生活習慣を身に付けることができ、一生をカバーすることができます。今後、産院や母親教室などとうまく連携を取っていくことができればと考えています。

ーー次にお話を伺うのは、クリニカルコーディネーターの石橋加奈子さんです。クリニカルコーディネーターとは、一体どのようなお仕事なのでしょうか。

歯科医院に来られた患者さんにどんな悩みや希望があって来院されたのかをじっくり聞き、それをドクターに伝えるのがクリニカルコーディネーターの役割です。患者さんの想いなどがドクターに伝わっているか、また、治療にいかされているかを確認し、患者さんと医療スタッフの認識を⼀致させるのも⼤切な業務のひとつ。コミュニケーションを取り、納得して治療を進められるよう、あらゆる⾯で配慮し架け橋となることが私たちクリニカルコーディネーターの仕事です。

ーークリニカルコーディネーターになろうと思ったきっかけは?

私はもともと歯科助手としてキャリアをスタートさせたのですが、あるときから先輩クリニカルコーディネーターと一緒に仕事をすることになったんです。先輩の話しを聞き、やりがいを感じたことから、「歯並びコーディネーター」や「トリートメントコーディネーター」、「ホスピタリティコーディネーター」、「ゆびのばインストラクター」、「ホワイトニングコンシェルジュ」などの資格を取得。先輩の退職後、クリニカルコーディネーターを務めることになりました。

ーー患者さんやスタッフとのやり取りの中で、気をつけていることは何ですか?

口の中は自分ではよく見えないし、治療中の様子を見ることもできないため、歯の治療には「何をされているのかわからない」という不安がつきものです。また、治療過程において痛みを感じると安心できなくなり、その後足が遠のいてしまう方もいます。こうした不安を取り去り、安心して治療を完了してもらうためにも、自分が問診した患者さんが治療に入られるときは私もアシスタントとしてつき、その後のアフターカウンセリングも行うなどして、一貫して寄り添うようにしています。

ーー業務の中で、最もやりがいを感じるのはどのようなことでしょうか。

ドクターから「納得してもらってから治療を進めたいから、カウンセリングをお願いします」と患者さんとのコミュニケーションや、ドクターの立てたお口全体の治療計画についての相談を任されると、信頼され必要とされていると感じ、やりがいを感じます。患者さんからは「相談してよかった」「今まで知らなかった」「母も通院しているんですが安部歯科にいい方いるねと家で話していたんです」と言っていただけたときなど、院長からカウンセリングの仕事を任されていることをありがたく感じますし、この仕事に誇りを感じます。
歯科治療にはさまざまな方法があります。治療をするかどうか、どこで受けるか、そしてどの方法を選ぶのか、それを決めるのは患者さんご自身です。私たちクリニカルコーディネーターは医療従事者として、一人ひとりの患者さんに寄り添いながら、治療を受ける場合、治療を受けないままにした場合のメリット・デメリットをお伝えする義務があります。納得していただけるように分かりやすく、模型や資料を使ってお伝えすることが私たちの仕事。ドクターに相談しつつ、その方にとって最も良い、そしてその方が最も満⾜できる治療を提案します。治療後も、メンテナンスで定期的に通うことの大切さや、虫歯のリスクが上がらない食生活への改善につながれば、それが最⼤の喜びです。

ーー最後に、石橋さんの先輩にあたる、クリニカルコーディネーターの永山あづささんにもお話をお聞きします。永山さんはなぜ、クリニカルコーディネーターになられたのでしょうか?

すべての患者さんに治療の正しい知識を伝え、しっかりと寄り添いながら今できるベストな治療の選択を手伝いたいと強く思ったことが理由です。
以前、病気を患った私はとある医院を受診し、流れ作業的に淡々と行われた検査のあと、手術を受けたことがあります。ところがそこで、ごくわずかな可能性ではあるが、残念な結果もあるかもしれないとの判断があり…。しばらくはただただ不安でしたが、友人からセカンドオピニオンを勧められ、二軒目の医院に行ってみることにしました。診断も説明も一軒目とまったく同じ内容だったにも関わらず「私はここで治療を受けたい!」と前向きに感じることができました。なぜなら、二軒目の医院では担当ドクターや看護師さんが一つひとつ丁寧な説明で私の不安を解消し、治療に向かう気持ちを作ってくれたからです。“寄り添ってくれている”という安心感をもらえることが、患者さんにとってどんなに大切なことかを改めて実感できました。
この経験からクリニカルコーディネーターという役割の重要性を認識し、「もっと患者さんの気持ちを聞く時間を作りたい、治療を不安なく受けられるよう時間をかけて説明したい、コミュニケーションを通じて気持ちを元気にしてあげたい」と思うようになり増田。そして、それを院長に伝えたところ、院長が考えていた今後の方針とも一致。安部歯科医院初のクリニカルコーディネーターとなり、今では初診時の問診、治療内容の説明などはクリニカルコーディネーターが行うという一連の流れができあがっています。

ーー現在は、クリニカルコーディネーターとして活躍する日々。どのようなことを心がけて患者さんと接しているのでしょうか?

患者さんに寄り添うということは、医療人として一番大切なことだと思います。それだけではなく、ドクターの治療への思いを患者さんに正確に伝え、スムーズな治療が行えるようにすることもクリニカルコーディネーターの大切な役割。患者さん一人ひとり治療内容も生活環境なども異なるので、それぞれの患者さんに合ったオーダーメイドのカウンセリングを心がけながら日々頑張っています。

様々なスペシャリストが安部歯科医院に集まる理由 ー前編ー
様々なスペシャリストが安部歯科医院に集まる理由 ー後編ー
患者さんがリラックスできる医院づくりのために

安部歯科医院
https://www.ismedical.jp/

著者松下 陽子

大阪市在住。
2000年よりライターとして活動、2004年フリーランスに。
雑誌・広告・Webメディアなどで美容・健康に関する記事を執筆。
松下 陽子

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