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規格性のある口腔内写真を撮ろう【3】規格撮影に必要なカメラシステム

規格性のある口腔内写真を撮ろう【3】規格撮影に必要なカメラシステム
規格性のある口腔内写真を撮ろう【3】規格撮影に必要なカメラシステム
規格性のある口腔内写真を撮影するためには、規格撮影についての理論やコツを知り、繰り返し練習して技術を身につける必要があるのはもちろんですが、それと同時に、口腔内撮影に適した機材や器具を選ぶことも大切です。

口腔内写真撮影のセミナーをさせていただいて、受講者持参のカメラやレンズ、口角鈎やミラーなどを拝見すると、これでは規格撮影はできないなと頭を抱えることがよくあります。口腔内の規格撮影においては「弘法筆を選ばず」とはいかないようです。

そこで今回は、規格撮影に適した機材(カメラ、レンズ、フラッシュ)を選ぶときのポイントについて解説します。

まずはカメラですが、細かなマニュアル設定ができ、適切なマクロレンズが使える一眼レフカメラがおすすめです。また、一眼レフカメラは画質や色調が良く、コンパクトカメラと違って高性能レンズを使えるので、収差と呼ばれる画像の歪みが出にくいのも利点です。

レンズは最大撮影倍率が等倍で、焦点距離が60~100mmのマクロレンズが使いやすいと思います。レンズ先端から被写体までの距離を「ワーキングディスタンス」と呼びますが、焦点距離の短いレンズはワーキングディスタンスが短くなってしまうため、レンズやフラッシュが口唇などにぶつかってしまって、うまく撮影できないことがあります。逆に、焦点距離の長いレンズはワーキングディスタンスが長くなりますから、補助者なしでミラー撮影する場合、腕が伸びてしまって撮影しづらくなってしまいます。

ここでもうひとつ、規格撮影をするにあたって大切なポイントがあります。それは、レンズに撮影倍率を固定できるクリックストップ機構が付いていることです。規格撮影では、正面観なら1/2倍など、撮影部位によって撮影倍率を決めておくことが必須です。同一部位を違う倍率で撮影してしまうと、被写体の大きさが異なるために、写真の正確な比較ができなくなってしまうからです。クリックストップ式のレンズでは、

(図1)
レンズのリングに記された倍率に合わせれば、その倍率で撮影できますから、非常に便利です。

ちなみに、同じ理由から、ピント合わせはオートフォーカスを用いずに、マニュアルフォーカスで撮影します。オートフォーカスで撮影すると、同一部位を撮影しても、そのつど被写体の大きさが異なってしまい、厳密な意味での規格性が失われてしまうからです。

フラッシュはカメラ内蔵のフラッシュを用いずに、外付けのフラッシュを使います。一般的には、発光部がリング状のタイプと、発光部が左右に分かれたサイドフラッシュがありますが、どちらを選ばれてもとくに問題ありません。

ところで、口腔内規格撮影に適した機材を選び、こまかなマニュアル設定を自分でおこなうためには、多くの知識と技術、経験を要します。幸いなことに、面倒な初期設定のなされたカメラ・レンズ・フラッシュの口腔内撮影専用システムが入手可能ですので、上記の条件を満たしたカメラシステムを利用するのがよいと思います。

(図2)


図1:レンズ倍率を固定できるクリックストップ式
『成功例・失敗例で学ぶ 規格性のある口腔内写真撮影講座』(クインテッセンス出版)P32より。

図2:筆者が愛用しているカメラシステム(ソニックテクノ)
『成功例・失敗例で学ぶ 規格性のある口腔内写真撮影講座』(クインテッセンス出版)P37より。

規格性のある口腔内写真を撮ろう【1】はじめに
規格性のある口腔内写真を撮ろう【2】口腔内写真の規格性とは
規格性のある口腔内写真を撮ろう【3】規格撮影に必要なカメラシステム
規格性のある口腔内写真を撮ろう【4】口角鈎とピントについて
規格性のある口腔内写真を撮ろう【5】ミラー撮影のコツ・側方面観編
規格性のある口腔内写真を撮ろう【6】ミラー撮影のコツ・咬合面観編

著者須呂剛士

大分県開業

略歴
  • 1994年、九州大学歯学部卒業。
  • 2004年、大分県佐伯市にて、やよい歯科医院開設。
  • 2012年、日本大学松戸歯学部生化学・分子生物学講座にて、歯学博士号取得。

口腔内規格撮影―ミラーの使い方のコツ―
主な著書に『成功例・失敗例で学ぶ 規格性のある口腔内写真撮影講座』、
『箸の文化に適応した、前歯で噛み切れる保険総義歯のススメ(分担執筆)』(いずれもクインテッセンス出版刊)がある。

須呂剛士

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