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規格性のある口腔内写真を撮ろう
【4】口角鈎とピントについて

2019/5/15 デンタル〇〇デザイン

口腔内という限られた空間の中で、規格性を保ちつつ被写体を画像に収めるには、口角鈎と口腔内撮影用ミラーが必要です。ミラーの使い方については次回以降でご説明します。今回は被写体周辺の撮影環境作りに欠かせない口角鈎の使い方のコツと、写真の質を左右するピントにまつわる"アレコレ"についてお話ししたいと思います。

(図1:当院で使用している口角鈎。)
口角鈎の詳細

図1は当院で使用している口角鈎です。aのタイプの口角鈎は正面観や臼歯部舌側(口蓋側)の撮影に、bのフックタイプの口角鈎は側方面観や咬合面観の撮影に用います。

aのタイプの口角鈎は、左右に引っ張りながら少し前方に持ってきて使用するのがコツです。ただ左右に引っ張るだけだと口唇が歯肉に近くなるため、写真に口唇が写り込みやすくなってしまいますが、少し前方にもってくると口唇や頬が歯列から離れるので、口唇が写り込みにくくなります。


(図2:口腔前庭を広げることで口唇が写り込みにくくなる。)

bのフックタイプも同様に、口腔前庭を広げるようにするのがコツで、

(図3:フックタイプの口角鈎はミラーを使った撮影時に使用する。)
この口角鈎を上手に使うと、歯や歯肉といった被写体の背景を口唇や頬の粘膜面だけにすることができ、すっきりとした、とてもきれいな写真が撮れます。ただし、この口角鈎は強く引っ張りすぎると痛いので、口唇や頬の張り具合を確かめながら慎重に使うように心がけましょう。

ところで、乾燥した口角鈎を装着したり、口唇にかけて滑らせたりすると患者さんの違和感が強いので、必ず濡らして使います。また、冬などで口唇が乾燥している患者さんに口角鈎をかけて引っ張ると痛いので、チューブタイプのリップクリームを用意しておき、必要に応じて使いましょう。

次にピントについて解説します。口腔内写真では、すみずみまでピントが合っていて、ボケた部分が少ないことが理想です。したがって、なるべく絞りを絞って被写界深度(ピントを合わせた位置に対して、その前後のピントが合っているように見える範囲のこと)を深くして広い範囲にピントが合った状態にすると同時に、適切な位置でピントを合わせる必要があります。特に正面観では、前歯から最後臼歯までの奥行きがありますので注意が必要です。正面観では、レンズの種類によってピントを合わせる位置が異なり、ジャスピンのレンズ(ピントを合わせた場所に写真のピントも合うレンズ)では側切歯に、前ピンのレンズ(ピントを合わせた場所よりも手前にピントが合った写真が撮影されるレンズ)では犬歯にピントを合わせると、前歯から臼歯まで広い範囲でピントが合いやすいようです。口腔内撮影ができるマクロレンズにもジャスピンと前ピンのレンズがありますので、使っておられるレンズがどちらなのかを一度確認してみる必要があります(インターネットでピントチェックシートがダウンロードできますので、それを撮影する方法が簡単)。

ところで、ピントの合わせ方にはオートフォーカスとマニュアルフォーカスがありますが、オートフォーカスで撮影すると、同一部位でも撮影ごとに被写体の大きさが変わってしまい、規格性が失われてしまいます。規格撮影では部位ごとに撮影倍率を正確に固定する必要があり、そのためには手動でピントを合わせるマニュアルフォーカスが適しています。なお、マニュアルフォーカスの撮影では、ピントを合わせたい場所に反射した光の点やラインを見ながらピントを合わせると、簡単かつ瞬時にピント合わせが完了します。

(図4:マニュアルフォーカスでピントを合わせる。)