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規格性のある口腔内写真を撮ろう【6】ミラー撮影のコツ・咬合面観編

規格性のある口腔内写真を撮ろう【6】ミラー撮影のコツ・咬合面観編
規格性のある口腔内写真を撮ろう【6】ミラー撮影のコツ・咬合面観編
ミラー撮影にはコツがあり、どの撮影部位にも共通の2つのポイントを理解すれば、意外と簡単に規格性のとれた写真を撮影できるようになります。最終回は咬合面観撮影でミラー使いのコツを解説します。

ミラー撮影のコツ・その①「ミラー後縁を歯列から離す」

図1 ミラー後縁を最後臼歯から離すと、実際の被写体が写真に写り込むこと回避できる。 ミラー後縁が歯列に近いと(図1a)、(図1b)のように実際の被写体が写り込んでしまいます。したがって、(図1c)のようにミラー後縁を最後臼歯から離すことで、実際の被写体の写り込みを回避します(図1d)。

ミラー撮影のコツ・その②「ミラーと歯列の角度を大きく」

図2 歯列とミラーの角度が小さい場合の写真例。 咬合面を真上から撮影すると、通常の歯軸の前歯では唇面は見えませんが、ミラーと歯列の角度(図2a)が小さいと、(図2b)のように咬合面を前方から斜めに撮影してしまうために、前歯の唇面が見えてしまいます。 そこで、ミラーの角度がそのままで、カメラの向きだけを変えて咬合面を真上から撮影しようとすると、(図2c)のように実際の被写体が写り込んでしまいます。 図3 歯列とミラーの角度が大きい場合の写真例。 したがって、(図3a)のようにミラーと歯列の角度を大きくすることで、実際の被写体の写り込みを防ぎつつ、咬合面を真上から撮影でき、ピントも全体に合いやすくなります。

咬合面観ミラー撮影・第3のコツ「撮影直前の声かけ」

咬合面観のミラー撮影には第3のコツがあります。ミラーを口腔内に入れて構図やピントを確認していると、その間にどうしても患者さんの口は少しずつ閉じてきてしまいます。そこで、構図とピントをチェックしてシャッターを押す直前に、「はい!大きくお口を開けて」「もう一度頑張ってお口を開けて!」と声かけをし、患者さんが最大開口した瞬間にミラーを起こしてシャッターを押すと、ミラーと歯列の角度が大きい状態で撮影できるので、咬合面を真上から捉えた写真を撮影できます。たったこれだけのことで写真のグレードが上がりますので、ぜひ試してみてください。 図4 咬合面観のミラー撮影のまとめ。 咬合面観のミラー撮影をまとめると、(図4)のようになります。まずはミラー後縁を歯列から離し(①)、歯列とミラーの角度を可能な限り大きくとり(②)、被写体が写り込まないギリギリの角度でミラーに写った咬合面を正面から撮影します(③)。このとき、ミラーにカメラを直角に向けようとしすぎると、実際の前歯が写り込んでしまうので注意しましょう。 咬合面観の撮影では必ずミラーを使わなければならず、患者さんの理解と協力も必要で難易度が高いと思われがちですが、これらのポイントを理解して練習すれば、きれいな規格写真が撮影できるようになります。 図5 『成功例・失敗例で学ぶ 規格性のある口腔内写真撮影講座』(クインテッセンス出版) 最後に、本コラムでは触れませんでしたが、舌側面(口蓋側)面観におけるミラー撮影のコツも、側方面観や咬合面観とまったく同じです。もしご興味がありましたら、ぜひ書籍(図5)をご参照ください。 規格性のある口腔内写真を撮ろう【1】はじめに 規格性のある口腔内写真を撮ろう【2】口腔内写真の規格性とは 規格性のある口腔内写真を撮ろう【3】規格撮影に必要なカメラシステム 規格性のある口腔内写真を撮ろう【4】口角鈎とピントについて 規格性のある口腔内写真を撮ろう【5】ミラー撮影のコツ・側方面観編 規格性のある口腔内写真を撮ろう【6】ミラー撮影のコツ・咬合面観編

著者須呂剛士

大分県開業

略歴
  • 1994年、九州大学歯学部卒業。
  • 2004年、大分県佐伯市にて、やよい歯科医院開設。
  • 2012年、日本大学松戸歯学部生化学・分子生物学講座にて、歯学博士号取得。

口腔内規格撮影―ミラーの使い方のコツ―
主な著書に『成功例・失敗例で学ぶ 規格性のある口腔内写真撮影講座』、
『箸の文化に適応した、前歯で噛み切れる保険総義歯のススメ(分担執筆)』(いずれもクインテッセンス出版刊)がある。

須呂剛士

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